経営ハック

起業のファイナンス-スポンサーの資金提供で起業するリスク

2018年3月2日

飲食事業を中心として、開店資金等をスポンサーから出資または借入をするというケースを良く聞きます。これは果たして手放しに良いと言ってよいことなのでしょうか。ファイナンスアイでは、日々様々な経営者の資金調達・資金繰りなどの経営支援を行っています。ファイナンスアイには、このような形で事業を開始した経営者が、失敗したり後悔して、相談を持ち込まれるケースが非常に多いです。
今回は、『スポンサーから資金を提供してもらう事』のリスクを通して、その是非について検証していきます。

1.経営者の心理

初めて起業する時、多くの経営者は将来に対する大きな不安を抱えています。今まで仕事は与えられるモノでしたが、今後は自ら生み出していかないといけません。また、資金調達等の経営実務も自らの責任で行わなければいけません。

そのような不安を抱えて起業に踏み切れずにいるタイミングで、同業者の先輩や顧客等が「君は成功すると信用している、資金を出しても良い。」と言われると非常に心強くなり、起業に踏み出すキッカケになる事もあり得るでしょう。
また、経営者本人も正直な所、絶対的な自信が無いため、「赤の他人であるこの人は最悪、資金が返ってこなくても大丈夫かも知れない。お金持ちだろうし・・・。」等と甘い考えを持ってしまうのも無理はありません。

このような場合、スポンサー側の心理を見誤る事が、その後の失敗に至る重要なポイントになります。
では、次にスポンサーの心理を考えてみましょう。

2.スポンサーの心理

スポンサーは業として、『貸金業』を行っているわけでも『投資業』を行っているわけでもありません。本当に経営者のことを心配して協力を申し出ている可能性も十分にあります。しかし、その気持ちがあればあるほど逆に経営者にとって大きなマイナスポイントになります。

何故なら、『気持ち』が先行し、資金提供において『返金されない』ことに対して、具体的に備えているわけでもありません。また、『どの程度リターンを望んでいるか』も明快ではありません。

「気持ち」が先行しているがゆえに、事業開始当初は様々な要件(本来は事前に決めておくべき要件)が曖昧なまま始まり、経営者の事業の進み具合によってスポンサーの態度が「豹変」する可能性があります。『豹変』という言葉を使いましたが、これは経営者から見た場合の印象です。スポンサーからすれば、『態度を決めた』という認識になります。

この時間軸のズレが、事業の成功や失敗に関係なく大きなトラブルを生じさせることになります。

3.時間軸の相違が生む結果

事業が上手くいった場合

スポンサーとしては『資金の提供者=オーナーである』という認識を持てば、利益の分配や利息以上のリターンを求めてきます。

事業が上手くいかなかった場合

スポンサーとしては、良くて『返済を待つ』のが関の山です。状況によっては事業の維持、存続を無視した資金回収を図ることになります。

事業の成否に関わらず、結果として後出しじゃんけんのようになってしまう事になります。
これはフィクションではなく、現実として本当によくある話です。しかし、これは資金提供者であるスポンサーが悪いのではありません。全ては、経営者の甘い判断が招いた結果です。資金提供を受ける前に、互いの要件を定義し、スポンサーとの合意を固めておかなかったことから生じる問題です。

では、スポンサーとの『合意』にはどのようなものがあるのでしょうか。

4.スポンサーから資金を借りるために抑えておかなければいけない事項

  1. 資金提供形態(融資なのか?出資なのか?)
  2. 融資の場合、返済条件はどのようになるか
  3. 経営主体は誰なのか
  4. リターンは具体的に何を望んでいるか、どの程度の金額なのか
  5. 最後(イグジット)はどうするのか

上記のような事項を明文化し『合意』するかどうかが、非常に重要なポイントになります。

この交渉において、スポンサーから「君が成功すれば良い。」という言葉だけで、具体的な合意への落とし込みができない場合が多くあります。
この場合は、非常に心苦しいと思いますが、例えスポンサーの善意であったとしても、『創業時の資金提供者としてはふさわしくない。』ので、経営者のアナタは、資金提供を丁重にお断りする判断をしましょう。

5.経済合理性のある比較検討

スポンサーからの条件提示があれば、次は、銀行融資など他の資金調達との比較を行う必要があります。

しかし、これから創業する経営者には「スポンサーがいるのに、銀行から資金を借りる。」という事に、反射的に嫌悪を示す経営者が多くおられます。(※その様な経営者の多くが事業に失敗して、資金調達・資金繰りに行き詰まり相談に来られます。)

融資の嫌悪感を生む要因1~恐怖心

この嫌悪感を生み出す要因の一つは、「返済できなかった場合、自分はどうなってしまうのか?」という恐怖心です。
しかし、銀行をはじめとする金融機関は、法令により無用な取り立てを禁じられています。また、経営者の事業が改善するための協力をしていく義務があります。個人から融資を受けている場合、このような義務は貸し手にはありません。

※融資を受ける場合、個人からではなく、金融機関から融資を受ける方が安全性が高いと言えます。

融資の嫌悪感を生む要因2~自分は融資を受けれないという思い込み

また次の要因は、「自分は銀行から融資を受けれない」という思い込みです。
特に、カードローン等の審査で否決を受けた方は、創業融資の審査は、カードローン審査より当然厳しいから自分は受けることが出来ないと考えます。

しかし、カードローンと日本政策金融公庫などの創業融資では、審査ポイントが大きく異なります。そのため、カードローンの審査が通らなくても、創業融資が承認されるケースは多々あります。ファイナンスアイは、そのように多くの起業家の資金調達を支援してきています。

融資の嫌悪感を生む要因3~人間関係の過信

最後の要因は、「人間関係を重視しすぎること」です。
このため、「自分を信用してくれる人から資金提供を受けた方が良い」と盲目的に考え、銀行からの融資を低く見てしまうことです。

確かにビジネスにおいて人間関係は非常に重要です。しかし、その人間関係は、ビジネスを通じて信頼関係を一つ一つ積み上げていくものです。創業前の人間関係は、実際のビジネスにおいて重要では無くなる事も多々あります。

6.起業のファイナンス-スポンサーの資金提供で起業するリスクのまとめ

創業する場合、自分を信用してくれる人が金銭的な協力をしてくれる事は非常に心強く感じることと思います。
しかし、アナタがその安心感に包まれて、『借り手としての責任』『経営者としての経営ビジョンを明確化させること』を怠り、スポンサーとの『明確な合意』を得ずに進む事は、将来のトラブルを必ず生じさせる結果になります。安易な資金提供に甘える自分を戒め、経営者として経済合理性を軸に判断しましょう。

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記事・コンテンツの監修者

起業創業開業の資金調達コンサルタント

株式会社ファイナンスアイ 代表取締役
田中 琢朗(たなか たくろう)

これまで8,000社以上の経営者の資金調達の相談に応じ、現在も新規で毎月100社以上の起業家・経営者・個人事業主の悩み相談に対応しています。大手金融機関にて、上場企業・中小・ベンチャーまで様々な企業のファイナンス支援を実施。その後、金融企業の起業に参画。財務の専門家として上場企業の経営企画部も兼務し、ハードなM&A等のプロジェクトを歴任。事業計画の策定やネゴシエーションに強みがあり、様々な企業再生のプロジェクトに財務コンサルタントとして関わり、多くの企業再生を成功させる。起業家、経営者の多くがファイナンス分野で苦労している現場を目の当たりにし、これが企業の成長と継続のボトルネックの一つになっていると感じ、自身の知識・経験・ノウハウを活かして、日本の経済成長に貢献できるのではと考え、2014年に株式会社ファイナンスアイを創業。以来、日本全国の多くの起業家の創業融資、個人事業主や中小企業の経営者らの資金調達や融資等を活用した経営改善を実現している。ハンズオンで起業を支援した中には、創業から数年で年商5億円を突破する経営者も続出しており、日々起業家・経営者・個人事業主のために邁進しています。

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