ローカルベンチマーク

経営ハック 資金調達・資金繰りの方法

ローカルベンチマークが資金調達(融資)の重要指標になる【保存版】

2016年12月7日

今後の資金調達に欠かせないツールになってくると考えられているツールで、経済産業省から「ローカルベンチマーク(通称:ロカベン)」というツールが発表されました。これにより、企業は自らの経営状態を診断する事ができ、この診断レポートを通して資金調達を行う際に、金融機関と円滑なコミュニケーションを進めて行く事ができるようになります。

2016年12月6日 金融庁と金融機関との意見交換会において、麻生太郎金融担当相は次のように述べています。

「担保を取ってカネを貸しているだけでは意味がない。中小、零細企業は資金繰りが極めて厳しい」と強調し、事業内容を見極めた融資を増やすよう要請した。「経営者や事業の内容をみたうえで中小企業を育てていってもらいたい」と述べ、担保は少なくても事業は有望な中小企業への貸し出しを積極的に増やすよう金融機関側に求めた。(出典:毎日新聞)

麻生氏はさらに「融資課長など融資の最前線にいる人に目利きを育ててもらい、中小企業が大きくなるためにはある程度リスクをとるような指導をしてもらわないといけない」と述べ、金融機関側に事業の成長力などを適切に評価できる行員の育成を求めた。「年末や年度末は資金繰りが苦しい。こういったときに親身になって融資などの相談にのってほしい」とも要請した。(出典:日経新聞)

それに対して、金融機関側も次のように述べています。

金融機関側は、全国銀行協会などの業界団体や政府系金融機関の代表が出席した。全銀協の国部毅会長(三井住友銀行頭取)は「(企業の)将来性を適切に評価していくことが求められている」と指摘し、全国地方銀行協会の中西勝則会長(静岡銀行頭取)も「柔軟かつ積極的にニーズに応えたい。過度な担保に依存することなく融資を推進する」と述べるなど、円滑な融資に取り組む意向を示す発言が相次いだ。(出典:毎日新聞)

今、金融機関も新しい局面を迎えています。
今回は、資金調達を考えた際に、銀行金融機関と共通指標になってくる「ローカルベンチマーク」について解説します。

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■資金調達に使う「ローカルベンチマーク(通称:ロカベン)」とは

ローカルベンチマークとは、企業の経営状態の把握、いわゆる「健康診断」を行うツール(道具)として、企業の経営者等や金融機関・支援機関等が、企業の状態を把握し、双方が同じ目線で対話を行うための基本的な枠組みであり、事業性評価の「入口」として活用されることが期待されるものです。
平成28年5月に経済産業省からローカルベンチマークの活用行動計画が提示されていますが、下記の内容となっております。

■ローカルベンチマークの「基本的な考え方 」

  1. ローカルベンチマークは、地域企業の経営課題の把握・分析や金融機関や支援機関との対話のための手段、ツールであり、それらの分析や対話も、個社の経営改善や成長、金融機関や支援機関等の目的達成、ひいては地域経済の振興のための手段である。
  2. ローカルベンチマークは、より深い対話や相互理解の「入口」であり、企業や金融機関、支援機関において、各機関の既存の手法との連携を含め、活用する際はこれをどのように組み込むことができるか検討し、それぞれの目的に応じてより使いやすいものにしていく。

■ローカルベンチマークの「行動計画の目的」

  1. 本行動計画は、企業の健康診断ツールである「ローカルベンチマーク」の普及に向けた活動の指針である。本行動計画に基づき、関係機関において、ローカルベンチマークの活用を促進する取組を行うとともに、有効事例の紹介などのフォローアップを行う。そのような活動を通じて、不断の検証と見直しを行い、活用を広げ、内容を深めていくことを目的とする。

■ローカルベンチマークの「関係施策との連携」

  1. 政府が検討している「中小企業等経営強化法」に基づき、中小企業等が作成する「経営力向上計画」における、企業による計算書類の自己診断にローカルベンチマークを活用。また、計画策定において参考とする事業分野指針の策定においてもローカルベンチマークの考え方を参考とする。
  2. 地方創生関連施策、各中小企業施策(よろず支援拠点、経営革新等認定支援機関、事業承継、税制、補助金等)とつなげる。
  3. 金融庁が金融行政方針等で促進している「金融機関と地域企業との深度ある対話」の「入口」としてローカルベンチマークを活用。

※この活用行動計画のなかで、最後の一文が企業の融資に直結していく部分です。

■資金調達(融資)に活用されるローカルベンチマーク

現在、金融機関は金融庁より事業性評価に基づく融資を強く求められています。その事業性の評価に、ローカルベンチマークを活用していく必要があるということなのです。

ローカルベンチマークには、6つの指標があります。
①売上高増加率(売上持続性)、②営業利益率(収益性)、③労働生産性(生産性)、④EBITDA有利子負債倍率(健全性)、⑤営業運転資本回転期間(効率性)、⑥自己資本比率(安全性)になります。

それでは、個別に解説をしていきますと、

ローカルベンチマーク6つの指標とは

1:売上高増加率(売上持続性)

売上高増加率(売上持続性) = ( 今期売上高 ÷ 前期売上高 )×100 - 1

これは毎年の売上の増加率です。その企業がトレンドとして成長しているのか停滞しているのか低下しているのか。そのトレンドから計画はどのように策定されるのか。この売上については個人的ですが最も重要な指標であると考えております。

2:営業利益率(収益性)

営業利益率(収益性) = ( 営業利益 ÷ 売上高 )×100

こちらはもちろん稼いだ売上高のうち、営業利益の割合です。

3:労働生産性(生産性)

労働生産性(生産性) = (営業利益+人件費+減価償却費)÷労働投入量(労働者数又は労働者数×1人当たり年間就業時間)

これは投入した労働時間あたりの付加価値額です。ひとりが1時間働くことで、どれだけの価値を生み出せる実力があるのかを他社比較できます。

4:EBITDA有利子負債倍率(健全性)

EBITDA有利子負債倍率(健全性) ≒ 有利子負債 ÷ (  営業利益 + 減価償却費 )

これは簡単に説明すると、金融機関などから借入している利子がある負債を営業におけるキャッシュで何年かかれば返せるか?という指標になります。一般的には10年の返済で正常と言われております。

5:営業運転資本回転期間(効率性)

営業運転資本回転期間(効率性) = (売掛金 + 棚卸資産 – 支払手形及び買掛金) ÷売上高

こちらは営業活動を行う場合、資本(資金)がどの程度効率的に回転しているかを示しています。回転が高いということは少額の資金で大きな売上を作ることができます。

6:自己資本比率(安全性)

全資産のうち、自己資本でどれだけまかなっているか?という指標です。

特に創業期を越えた企業は過去の利益のストックが重要になってきます。業歴が長くても、節税に積極的な企業は、この自己資本のストックは少なくなりますので要注意です。

ローカルベンチマークで重視される指標

上記6つの指標の中で、重要視される指標は「労働生産性」になります。
これは「中小企業等経営強化法」と同様に、「中小企業は経営の効率性について評価する」という流れと思われます。

■ローカルベンチマークで資金調達に定性評価も重視される

では、次は非財務となる定性的な指標について見て行きましょう。

1:経営者への着目

  1. 経営者自身について、ビジョン、経営理念
  2. 後継者の有無

2:事業への着目

  1. 企業及び事業沿革
  2. 技術力、販売力の強み
  3. 技術力、販売力の弱み
  4. ITの能力、イノベーションを生み出せているか

3:企業を取り巻く環境 関係者への着目

  1. 市場規模・シェア、競合他社との比較
  2. 顧客リピート率、主力取引先企業の推移
  3. 従業員定着率、勤続日数、平均給与
  4. 取引金融機関とその推移

4:内部管理体制への着目

  1. 組織体制
  2. 経営目標の有無、共有状況
  3. 社内会議の実施状況
  4. 人事育成のやり方システム

このあたりは、今まで金融機関において定性評価と言われていた部分で、金融機関にとってもヒアリングを受けている経営者にも馴染みのある内容かもしれません。しかし、今までこの項目は単に金融機関のシートを埋めるためにヒアリングされていたもので、決して融資の可否に影響を与えるものではありませんでした。

しかし今後、事業性を評価することにより融資の可否を判断する材料とした場合、この項目から企業の将来性を見出すことは、現在非常に困難な作業になると思われます。またこれは経営者も同様で、上記の質問に対し自身の企業の将来性を客観的に表現することは、すぐにできるものではありません。

資金調達の定性評価で重要なポイント

ここで最も重要なポイントは「客観的」であることです。

銀行担当者がヒアリングした事項は主観的です。経営者にこの項目を埋めさせたものも主観的です。

どのようなものが「客観的」であるか

当然、統計データも必要になりますが、最も重要なことは予算と実績管理です。

  1. 期初に経営方針をたて、活動目標を掲げ、計数目標に落とし込む
  2. 進行期においては予算と実績の乖離を検証
  3. 活動目標等の修正を行う等対策を打つ

このサイクルの繰り返しの積み上げが、その企業の予算管理資料となり、非常に説得力のある客観的な資料になり得るのです。

当然、最終的には決算書との連動により客観性が担保されますので、予算管理は管理会計ではなく財務会計で行うことが望ましいですし、決算書は単に納税に必要な資料ではなく、金融機関をはじめとする外部に自社の経営がどのように行われているかを証明していくものになります。

当然、上記により税理士、会計士との付き合い方にも大きな変化が生まれてきます。
このように事業性評価とは、企業の財務のみならず全般的な評価のことです。

銀行が企業に耳を傾けるようになるというと簡単に聞こえますが、主観的な情報では意味がありません。
客観的なデータを出していく、積み上げていくため経営者も今までの考え方を切り替えていく必要がある事項なのです。

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