ネイルサロンの開業手順や開業資金の目安とは?事業計画書についても解説

資金調達-創業融資

ネイルサロンの開業手順や開業資金の目安とは?事業計画書についても解説

ネイルサロンを開業する場合、資金調達や届け出、資格など、事前に確認しなければならない準備や手順が多くあります。

また、ネイルサロンを開業する場合の店舗確保の手段や、開業資金の調達についての知識、どのような保険に加入すればよいのかなど、把握しておくべき内容は多岐にわたります。

当記事では

  • ネイルサロン開業の流れ
  • ネイルサロンを開業する際の資金調達
  • 開業にかかる費用
  • 加入するべき保険

などについて、詳しく紹介していきます。ネイルサロン開業を検討している方は、ぜひ最後までお読みください。

 

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創業融資・資金調達

ネイルサロン開業の流れ

ネイルサロン開業は、どのような流れで進めていけばよいのでしょうか。ここでは、ネイルサロン開業の流れについて詳しく紹介していくので、チェックしてみましょう。

ネイリスト資格保持で競合と差をつける

ネイルサロンは無資格でも始められる職業のため、資格取得は原則不要になります。

しかし、ネイルサロンを開業して長期的に経営していく場合、特定の資格を所有していた方がよいと言えます。なぜなら、専門資格はネイルに関する知識や技術を備えていることの証明になり、競合他社にサービスの面で差をつけられるからです。

顧客に安心して施術を受けてもらうためにも、ネイルに関する資格を取得したり、さらに関連する専門的な知識を開業前に身につけたりしておくとよいでしょう。

ネイルに関するおすすめの資格は、以下のとおりです。

ネイルのおすすめ資格

  • JNECネイリスト技能検定
  • JNAジェルネイル技能検定試験
  • ネイルサロン衛生管理士

JNECネイリスト技能検定とは、日本ネイリスト検定試験センター(JNEC)が主催する検定試験です。資格は3級・2級・1級の3段階から構成されており、ネイルに関する正しい知識と技術を習得していることを測る資格です。

JNAジェルネイル技能検定試験とは、日本ネイリスト協会(JNA)が主催の検定試験を指します。資格は初級・中級・上級の3段階から構成されており、ジェルネイル施術に関する正しい知識と技術を習得していることを測る資格です。

ネイルサロン衛生管理士とは、ネイルサロンの衛生管理に関する知識を習得していることを証明する資格になります。

店舗形態別の特徴

以下では、店舗形態別の特徴やメリット、デメリットについて紹介していきます。それぞれの店舗形態の特徴を把握して、自分に合うタイプを探してみましょう。

自宅開業

自宅をそのまま店舗として使用できるため、敷金や礼金などの物件取得費がかからない点がメリットに挙げられます。また、通勤の必要がないため、予約時間を調整すれば、家族との時間も作りながら店舗運営が可能である点も魅力でしょう。

しかし、自宅で運営すると生活感が出てしまいやすく、非日常空間としての演出が難しい点がデメリットに挙げられます。また、自宅がサロンになるということは、衛生面への配慮も必要なので、フロアを大々的に公開できないケースもあります。

自宅を店舗として使用する場合には、清潔感はもちろん、内装をおしゃれな雰囲気にするなど、工夫するようにしましょう。

マンション開業

マンションで開業をする場合、開業場所を自由に決められたり、ネイルサロン経営に集中しやすかったりするなどのメリットが期待できます。そのほかには、ある程度自由に内装をアレンジできるのもマンション開業の特徴です。

一方、マンションで開業するとなると、開業資金や賃料がかかったり、密室になることから、安全面に対する配慮をしなければならない点がデメリットに挙げられます。

テナント開業と違い、店舗自体が認知されづらい環境になるため、集客が難しくなる傾向があります。そのため、チラシやSNSを活用するなど、宣伝活動にも工夫が必要です。

テナント開業

テナント開業のメリットは立地を選べるため、資金の折り合いがつけば、需要が高い駅前などに店舗を構えられます。人通りの多い場所に開業できると、多くの人の目につきやすく集客に有利でしょう。また、プライベートとの区別をはっきりつけられるため、営業に専念できる点も魅力だと言えます。

一方、初期費用やランニングコストが高くなりやすい傾向にある点が、デメリットに挙げられます。

とりわけ立地がよい場合、集客はしやすくなりますが、その分高額の賃料がかかるため、多額の資金が必要になります。キャッシュフローの計算をしっかり行わないと資金繰りに行き詰まりやすくなるため、注意が必要です。

間借り開業

間借り型ネイルサロンとは、ヘアサロンやエステなどの店舗の一部分を間借りして、サービスを提供するスタイルです。

メリットは初期費用を抑えやすく、フリー客を確保しやすい点が挙げられます。そのほかには、間借りをしている店舗のキャンペーンなどを利用して、相乗効果を狙える点もメリットです。

一方デメリットは、間借りをしている店舗の集客能力に売上が左右されるほか、急に間借りNGとなり契約終了になるリスクがある点です。また、間借り可能な店舗を探すのが大変な点もデメリットでしょう。

急に間借りNGを言い渡されることを考慮し、あらかじめ資金を貯めて、店舗型や自宅型などの別形態に変更するなど、リスク管理をするのもよいでしょう。

間借り開業を希望する場合、大型ショッピングセンターの空きスペースなどを利用できるケースもあるため、希望するエリア内の商業施設に事前確認をするようにしましょう。

なかには歯科医院を間借りして、診察の待ち時間にネイルサービスを提供しているところもあり、工夫次第で競合他社と差別化を図ることも可能です。

フランチャイズ開業

フランチャイズによる開業のメリットは、大手チェーンであれば、すでに知名度があり、集客に有利な点が挙げられます。仕入れコストを抑えられたり、経営のノウハウを学べたりするため、未経験の方も始めやすいのが魅力です。

一方デメリットは、契約内容によって異なりますが、売上のよしあしに関わらずロイヤリティの支払いが必要な点が挙げられます。独自の営業スタイルで運営をしたくても、本部の方針やマニュアルが決まっているため、守らなければならない点もデメリットのひとつです。

出張ネイリスト開業

出張型ネイルサロンとは、ネイリストが顧客から指定された場所まで出掛けてサービスを提供するスタイルです。

初期費用を抑えやすく、賃料が不要である点がメリットに挙げられます。営業時間を自分の都合に合わせやすいのも特徴です。一方、移動時間や交通費がかかったり、渋滞などの予測ができないことが発生したりする点がデメリットに挙げられます。

ネイルサロン開業資金の目安

ネイルサロンを開業するためには、どのくらい資金を貯めればよいのでしょうか。ここでは、開業資金の目安について詳しく紹介していくので、チェックしてください。

店舗形態ごとに発生する費用

ここでは、店舗形態ごとに発生する費用について説明します。

マンション開業の場合

テナント開業の場合、以下の費用が必要です。

物件取得費 約100~500万円
改装費用 約200~1,000万円
家具や照明に関する費用 約10~30万円
施術に必要な備品 約20~30万円
広告宣伝費 約5~50万円

必要な資金は、借りる店舗の立地によって大きく異なります。居抜き物件を利用して開業する場合、内装や外装費用を大きく抑えられるでしょう。

家具や照明などのインテリアにもこだわりたいところですが、全体的な予算を考慮しなければなりません。リサイクルショップを活用するなどして、費用を抑えることも可能です。また、お店について知ってもらうためにも、開店前から広告宣伝費を十分に準備する必要があります。

テナント開業の場合

テナント開業の場合、以下の費用が必要です。

物件取得費 約100~500万円
改装費用 約200~1,000万円
家具や照明に関する費用 約10~30万円
施術に必要な備品 約20~30万円
広告宣伝費 約5~50万円

必要な資金は、借りる店舗の立地によって大きく異なります。居抜き物件を利用して開業する場合、内装や外装費用を大きく抑えられるでしょう。

家具や照明などのインテリアにもこだわりたいところですが、全体的な予算を考慮しなければなりません。リサイクルショップを活用するなどして、費用を抑えることも可能です。また、お店について知ってもらうためにも、開店前から広告宣伝費を十分に準備する必要があります。

フランチャイズ開業の場合

フランチャイズを利用して開業する場合、以下の費用が必要です。

加盟金・保証金 約20~200万円
物件取得費 約100~300万円
資材・設備費 約100~200万円

フランチャイズ開業は、物件を本部が準備するのか、オーナー自身が準備するかによって準備資金が異なります。

研修費用などがプラスされる場合もあるため、あらかじめ確認が必要です。フランチャイズは、すでに同モデルでの成功例があるので、銀行からの融資を受けやすいメリットもあります。

ネイル機材・設備費用

ネイルサロンを開業するには、機材や設備、備品などの準備が必要です。機材や設備にかかる諸費用は、約7〜43万円程です。

ただし、上記は顧客1名分を想定しているため、事業規模が大きくなれば、比例して費用が高額になります。ネイルサロンの機材・備品は価格の幅も大きく、こだわればそれだけ費用も高くなるため、注意が必要です。以下の表にまとめたのでご覧ください。

機材・設備 費用目安
照明器具 1〜10万円
ネイルチップディスプレイ 1〜3万円
家具 5〜30万円

その他什器費用

ネイルサロン開業をする場合、ネイルテーブルやネイルチェアなどの什器も必要です。費用目安は以下をご覧ください。

什器の費用目安

ネイルテーブル 3〜10万円
ネイルチェア 1〜10万円

什器についてもこだわり過ぎると費用がかかるため、リサイクルショップを活用するなどの工夫が必要です。

水道光熱費

ネイルサロンを開業するためには、水道光熱費についても考慮しなければなりません。運営していくうえで、毎月の電気代も賢く抑えてランニングコストを削減しましょう。

毎月発生する水道光熱費は、売上高の1〜5%程が相場だとされています。もし、売上が100万円程の店舗であれば、1〜5万円かかることになります。以下に、光熱費を抑えるポイントを説明していくので、チェックしてみましょう。

ネイルサロン開業で水道光熱費を抑えるポイント

  • エアコンの使い方を工夫する
  • 照明をLEDに変更する
  • 電気会社の乗り換えを検討する
  • 経費に計上する

照明をLEDに変更すると、スポットライトの費用を抑えやすくなります。水銀灯と比較して、LEDは電気代を80%削減することも可能です。

光熱費は日々の工夫によって抑えられるため、取り組めそうなところから着手していきましょう。

人件費

サロン運営に関する諸業務を一人でこなすのは、多くの労力を要します。営業時間や勤務日数にもよりますが、スタッフを雇う場合の給与として、フルタイムのスタッフ1名につき20〜30万円程の人件費が発生します。

ネイルサロンで発生する人件費は、1か月の売上の40〜45%が目安とされており、経費を圧迫しないようバランスを取らなければなりません。

広告宣伝費

開業して間もないサロンにとって、広告宣伝にかかる費用は十分に確保しておく必要があります。とくに、集客に不利とされるマンションや自宅で運営する場合、より多くの広告宣伝費を用意しましょう。

集客方法には、以下の方法が挙げられます。

集客方法

  • ホームページを開設する
  • SNSを活用する
  • 地方紙やフリーペーパーなどの広告を活用する
  • ネイルサロン専門の予約サイトを利用する

ネイルサロンのホームページ制作にも費用がかかりますが、10万円程は見ておいた方がよいでしょう。広告掲載も合わせた広告宣伝費用として、総額25〜30万円程を用意しておくのが望ましいです。

ネイルサロン開業時に入るべき保険

ネイルサロンを開業する際、忘れてはならないのが保険です。保険に加入しておくと、万が一トラブルが発生してしまったときに保障してもらえます。

加入が任意のものやオプションもあるため、自分のサロンにとって必要なものを選ぶことが重要です。とはいえ、ネイルサロンにはさまざま費用がかかるため、予算面についても考慮しなくてはなりません。

予算や保険について迷っている場合、保険会社やコンサルティング業者に相談してみるとよいでしょう。ここでは、ネイルサロン開業にあたり、加入が必要な保険について説明していきます。

火災保険

店舗物件の火災保険とは、店内の内装設備・什器備品に対して補償される保険です。具体的には、店舗の借主が発注した店舗内の内装設備工事一式の範囲と、店舗内にある家具や家電などに対して、火災発生時に補償されます。

※建物自体は貸主資産であり、借主が加入している火災保険では補償の対象になりません。

また、火災事故等で営業できないとき、復旧期間中に仮店舗をオープンするのであれば、必要な資金確保、休業損害リスクの補填について検討する必要があります。

長期休業せざるを得ない場合、仮店舗の家賃支払いの資金確保をしたり、従業員の給与を確保したりするなどの対策をしなければなりません。

借家人賠償責任保険

借家人賠償責任保険とは、大家に対して借家人(物件の借主)が賠償義務を負った場合に保証する保険のことを指します。

民法において、火災の場合のみ失火法と呼ばれる法律が適用され、、過失によって火事を発生させて第三者に被害を与えても、賠償しなくてよいとされています。

しかし、店舗物件を借りた際、賃貸借契約書には原状回復義務という「借りたときの状態に戻してから返却する義務」について明記されており、失火法は適用されません。

つまり、家事を発生させた場合、借りている部分の原状回復義務は免除されないため、借家人賠償責任保険へ加入しなくてはならないのです。

施設賠償責任保険

施設賠償責任保険とは、業務中のミスや店舗内の設備が原因で発生した事故について、広く補償する保険のことを指します。たとえば、美顔エステによって顧客の皮膚状態の悪化を招いてしまったのであれば、業務中に発生したトラブルだと言えます。

そのような際、施設賠償保険に加入していれば全額補償されるため、サロン経営において加入が必須だと言えるでしょう。

受託者賠償責任保険

ネイルサロンやエステサロンの場合、店内では顧客の荷物を預かるのが基本です。そのような際、預かっていた顧客の荷物を紛失してしまったり、バッグなどの持ち物を傷つけてしまったりするケースもあります。

紛失や傷などはトラブルに発展する可能性があるため、十分注意しなければなりません。受託者賠償責任保険に加入していると、顧客の持ち物に対する補償や賠償をカバーできるのが特徴です。必須ではない保険ですが、加入していると万が一に備えられるでしょう。

生産物賠償責任保険(PL保険)

生産物賠償責任保険(PL保険)とは、店舗で販売されている商品によるトラブルを補償する保険です。ネイルサロンの場合、店舗のネイルで顧客の爪や皮膚にトラブルが生じた際に必要になります。

前述の施設賠償責任保険は、施設内や業務中のトラブルに対するものであり、店舗内で販売されている商品は対象外です。

生産物賠償責任保険に加入しておくことによって、化粧品や美容機器などの商品の販売後であっても、補償されるのが特徴です。

店舗休業保険

万が一、給排水設備の水漏れや火災、盗難などが発生して休業した際、損失への補償が行える保険のことを指します。賠償責任補償のオプションとなっているケースが多いです。

上述したトラブルは頻繁に起きるものではありませんが、いざというときのために加入しておくと安心につながります。

サロン事業の総合保険

サロン運営による火災をはじめ、水災などで店舗什器設備の損害発生等に対する補償までがセットになった総合保険もあります。

ネイルサロン開業資金の調達

サロンを開業するためには、開業資金を調達する必要があります。自己資金の目安や、受けられる融資の種類と特徴などについて解説します。

女性を対象とした融資や、新しく事業を始める方に適した制度などをまとめたので、ぜひチェックしてみましょう。

自己資金目安

ネイルサロンを開業したい場合、300万円前後の自己資金を用意しておく必要があります。出店するエリアや店舗形態によって、必要な費用が変動するのが特徴です。

創業融資を自己資金がない状態で申し込む場合、自己資金がない合理的な理由について説明できなければ、融資が通らない可能性が高くなります。

自己資金なしで開業を考えている場合、経営支援や資金調達支援コンサルティングを行っている専門家に相談して、適切なアドバイスをもらうようにしましょう。

日本政策金融公庫の創業融資

日本政策金融金庫国民生活事業では、若者や女性、シニア世代の方や、廃業経験があって創業に再チャレンジする方、中小会計を適用する方など、幅広い方の創業に関する新規事業資金を支援する事業を行っています。

新たに運営しようとしている事業について、適正な事業計画を策定していて、計画を遂行する能力があると認められたケースにのみ利用可能です。希望する方は、事業計画書の提出が必要となるため、しっかりと作成しておく必要があります。

なお、以下のいずれかに該当する方は、通常よりも有利な条件で利用できるのが特徴です。

通常よりも有利な条件で利用できるケース

  • 女性
  • 若者
  • シニア
  • 廃業経験があって創業に再度チャレンジしたい方
  • 中小会計を適用していて創業したいと考えている方

利用を検討している方は、利用可能な条件や返済期間、利率などをチェックしておきましょう。

新規開業資金

利用できる方は、新しく事業を始める方か、もしくは事業を開始しておおむね7年以内の方です。

資金の使い道は、新しく事業を始めるため、もしくは事業を開始した後に必要とする設備資金や、運転資金となっています。融資限度額は7,200万円となっており、そのうち運転資金は4,800万円です。

女性、若者/シニア起業家支援資金

新たに事業を始めた方、もしくは開始してからおおむね7年以内で、女性または35歳未満か55歳以上の男性を対象に公庫が行う創業関連融資を指します。

※女性の年齢制限はありません。

利用の条件は以下のとおりです。

利用条件

  • 金融業や一部の遊興娯楽業、投機的事業に該当していないこと
  • 35歳〜54歳の男性でないこと
  • これから創業する方、もしくは創業から7年以内の方

となっています。

融資限度額は7,200万円となっていて、うち4,800万円は運転資金の限度額です。原則として、第三者の連帯保証や担保については求められない傾向となっています。

しかし、融資金額が1,500万円以上など大きければ、後継者の連帯保証や不動産担保が必要となるケースが出てきます。

新創業融資制度

新創業融資制度の使い道は、新しく事業を始めるため、もしくは事業を開始した後に必要になる設備資金、および運転資金になります。

この制度は、無担保なおかつ無保証で融資を受けられたり、金利が変動したりするのが特徴です。ほかの融資制度と組み合わせて利用できるのもポイントです。融資の限度額は3,000万円、そのうち運転資金は1,500万円です。

信用保証協会付融資

信用保証協会とは、中小企業や小規模事業者の方が金融機関から事業に関する資金を調達する際、保証人となって融資を受けやすくなるよう、サポートしている公的な機関です。信用保証協会は全国にあり、各エリアに根付いた事業を展開しています。

金融機関との取引経験が少ない小規模事業者や中小企業が融資を受けるとなると、信用保証協会の保証を求められるケースがあります。保証付き融資と呼ばれている融資は、信用保証協会が補償しているのが特徴です。

保証付き融資は、もしも借主の返済が滞ってしまった場合、信用保証協会が借主の代わりに金融機関に立替払いを行います。なお、保証を利用する対価として、中小企業や小規模事業所は、定められている信用保証料を支払います。

地域によってさまざまな保証制度があるため、詳しくはお住まいのエリアにある信用保証協会もしくは地方自治体、金融機関などに相談するとよいでしょう。

ネイルサロン開業時に必要な届け出

ネイルサロンを開く際に、年間で20万円以上の所得が発生する場合には、開業届の提出が必要です。

以下では、ネイルサロン開業時に必要な届け出や注意点などについて、詳しく説明します。開業に向けて、しっかりとチェックしましょう。

個人事業の開業・廃業等届出書

開業届とは、新しい事業を始める際、これから収入が発生することを税務署へ申告するための書類を指します。正式名称を「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」と呼び、作成後にお住まいの地域にある税務署へ提出しなければなりません。

事業を始めた日から1か月以内に提出が必要なので、ネイルサロンを開業したらなるべく早めに用意しておきましょう。

年間20万円以上の所得があれば開業届を提出

国民には納税の義務があり、一定以上の所得がある方は申告して、所得に応じた額を納税しなければなりません。フリーランスや副業でも継続して事業を行うのであれば、基本的には提出が義務付けられています。

開業届は、年間で20万円以上の所得が生じるケースでは、提出が必要となるのも覚えておきましょう。開業届を提出しないと、節税可能な青色申告ができなかったり、銀行開設が行えなかったりするなどのデメリットが生じます。

開業届を提出しなかった場合も、所得を申告する確定申告は必ず実施しなければならないため、注意が必要です。

会社を退職して開業する場合も必要

会社を退職してネイルサロンを開業する場合、基本的には確定申告が必要です。

以下の条件を満たす場合は、確定申告が免除となります。

確定申告が免除される条件

  • その年度の年末調整を実施後に会社を退職した
  • 退職金を受け取っていない
  • 退職金を受け取った後「退職所得の受給に関する申告書」の提出をした

確定申告や開業届などで不明点がある方は、お近くの税務署や役所などの公的機関に相談するとよいでしょう。

青色申告承認申請書

ネイルサロンを始める場合、開業届と一緒に青色申告承認申請書と呼ばれる書類を税務署へ提出しましょう。これらの書類は、必ず提出しなければならないものではありませんが、税務署へ提出すると青色申告の対象となり、多くのメリットが得られます。

主なメリットは以下のとおりです。

青色申告の主なメリット

  • 最大で65万円の青色申告控除が適用されて、納税額が減る
  • 赤字が発生してもその翌年から3年間繰り越せるため、翌年以降の税金が減る可能性がある
  • 青色にすると経費が増えるため、所得を抑えて節税効果が期待できる

事業計画書作成のポイント

サロン開業をするためには、綿密に練られた事業計画書を作成しなければなりません。ここでは、事業計画書を作成するポイントについて、詳しく説明します。

なぜ事業計画書が必要なのか

事業計画書とは、これから始めるネイルサロンの具体的な内容や実行計画などを記載したものです。

事業は、経営者の理想だけではうまくいきません。せっかくのアイデアも思いつきの域にとどまり、実際の行動に移せないケースも多々あります。事業計画書を作成すると、頭のなかを整理でき、事業の目標や行動計画が明確化できるのです。

また、一緒に働くパートナーを募集したり、金融機関から融資を受けようとしたりするときにも、事業計画書は大切なツールのひとつになります。事業計画が明確であり、なおかつ詳細な形で提示されると、将来性があると信頼を得られるはずです。

事業計画書を作成する目的は、以下の3つになります。

事業計画書を作成する目的3つ

  • 自分の計画や行動を見直す
  • 一緒に事業を運営する人材確保のため
  • 事業を始めるのに必要な資金調達を行うため

一緒に運営するパートナーを集めたり、金融機関から融資を受けたりするためには「自分や事業について知らない相手」に読んでもらうことを意識しながら書かなければなりません。事業を実現し成功させるために、根拠に基づいた事業計画書を作成する必要があります。

事業計画書を難しく感じる原因

事業計画書を作成していくとき、難しく感じてしまう方もいるでしょう。ここでは、難しく感じてしまう原因について、詳しく解説します。

書き方がわからない・時間がない

事業計画書の書き方は、学校の授業などで習うわけではありません。教えてくれる人がいないと書き方がわからず、記入できないケースもあります。本で勉強したりセミナーで学んだりする方法もありますが、なかなか思うようにいかない方もいるでしょう。

また、計画書を書く時間がとれないことも挙げられます。書き方を知っていたとしても、普段の業務に忙しくて時間を捻出できないケースも多々あるでしょう。

そして、事業計画書は書いて終わりではなく、月1回は計画に対して実績の振り返りを行う「PDCAサイクルを回す」ことを意識しなくてはなりません。

計画書通りに進められると思えない

なかには「事業計画書を作っても、計画どおりに進まないのでは?」「サロンを開業しても、計画書のとおりに顧客が来店しない」と思っている方もいることでしょう。

この理由を考えている方のほとんどが、売上だけにフォーカスしていると考えられます。売上は、事業計画書の一部分です。事業計画書を作成する目的は、仕入れや給料をはじめ、戦略経費や設備費など全体を把握して、事業の戦略を立てることです。

「どうせ計画どおりにいかない」と考えて事業計画書を作成しないのは、航海にたとえると、地図とコンパスを持たずに海を漂流していることになります。

よい事業計画書の作り方とは

ここでは、よい事業計画書の作り方について詳しく解説するので、チェックしてみましょう。

具体的かつ整合性の取れた内容を考える

事業計画書は、具体的かつ整合性の取れた内容となるよう心がけましょう。自分やビジネスパートナーだけではなく、誰が読んでもすぐに理解できるように、簡潔に記載しなければなりません。

事業計画書はさまざまな項目について記載する必要がありますが、すべて記入すると膨大な量になります。読み手が理解しやすいように、なるべく簡潔な資料に仕上げていくことが重要です。

グラフや図を入れて分かりやすくするのはもちろん、書き上げた計画書の整合性が取れているのか、確認をしっかりと行ってください。

競合相手を考慮する

事業を始めるとき、競合調査を考慮することが重要です。集客を軌道に乗せ、リピーターを増やすためには、競合の調査や分析が欠かせません。

また、競合の現状を企業戦略に活かせることもあるので、調査や分析はしっかりと実施しましょう。そのほかには、市場環境を調査して、ターゲット層や目標となる収益も明確にしておくのが望ましいです。

起業支援専門家に相談する

事業計画書の作成は、経営に関する知識を持たないまま行うと計画が不十分だったり、いざ開業しても経営がうまく行かなかったりするリスクがあります。

起業支援専門家やコンサルタントなどの専門家に相談することで、アドバイスをもらえたり、開業までにクリアしておかなければならない課題を抽出してもらえたりするのが魅力です。

そのほかには、資金計画の現実性や、開業までのスケジュールなども専門家にしっかりとチェックしてもらえるため。安心感につながることでしょう。

まとめ

ネイルサロンを開業するにあたって、資格取得は不要です。しかし、競合他社に差をつけ、顧客に安心して施術を受けてもらうためにも、ネイリスト技能検定やJNAジェルネイル技能検定試験などの資格を取得しておくのがおすすめです。

サロン開業は、マンション開業や自宅開業、フランチャイズ開業など、さまざまな店舗形態があります。それぞれのメリットやデメリットなどをしっかり把握して、自分に合ったものを見つけるのがよいでしょう。

また、開業する際には、万が一の事態を想定して、借家人賠償責任保険や火災保険などの保険に加入しておかなければいけません。加入が必須のものと、状況に応じて加入を検討すべき保険があるため、保険会社などに相談して必要な保険に加入しておくのをおすすめします。

一定の所得が発生した場合、確定申告をする必要があります。開業届と一緒に青色申告承認申請書を税務署へ提出すると、さまざまなメリットが期待できるのも覚えておきたいポイントです。

開業後に申請可能な助成金や補助金等もあるため、条件や内容をしっかりと確認してから申請を行いましょう。原則として後払いのものが多いため、注意が必要です。

創業融資を自己資金なしで申し込みをする場合、自己資金がない合理的な理由を説明できなければ、融資が通らない可能性が高くなります。

自己資金なしで開業を考えている場合、経営支援や資金調達支援コンサルティングを行っている専門家に相談するとよいでしょう。

ファイナンスアイなら、融資や資金繰りの相談はもちろん、事業計画など各種提出書類の作成のサポートも対応してもらえます。電話やメール、ラインで無料相談に乗ってもらえるため、気になる方は気軽に問い合わせてみるとよいでしょう。

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ファイナンスアイではこれまで開業資金、運転資金など様々な資金の支援をしてきました。日本政策金融公庫・信用保証協会付け融資・信用金庫・銀行からの融資相談に8000社以上対応してきました。自分で融資をされるよりも融資額、成功率を飛躍的に高めます。融資に必要な事業計画、創業計画や審査担当者との面談対策などトータルでサポートします。ご興味があればお気軽にご相談ください。

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記事・コンテンツの監修者

起業創業開業の資金調達コンサルタント

株式会社ファイナンスアイ(経済産業省M&A支援機関登録済)
代表取締役 田中 琢朗(たなか たくろう)

大手の金融機関・上場企業の財務部門責任者などを歴任し、2014年にファイナンスアイを創業。業界歴30年・創業10年のベテラン。中小企業・個人事業主・起業家と一緒に、現場で泥臭く汗をかいて靴をすり減らして財務を軸に経営者を支援し続け、のべ10,000人以上の圧倒的な実戦経験を持つ。ノウハウを「ファイナンスアイ式メソッド」として確立。中小にはびこる悪質なM&Aの被害をなくすために、M&A支援も本格化。売手・買手のいずれの立場からも真のM&Aを提供。現在も毎月150件以上の新規相談に対応し、毎週セミナーも開催中。日本経済のために今日も邁進しています。

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