フランチャイズとは?仕組みやメリット・起業までの流れを解説

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フランチャイズとは?仕組みやメリット・起業までの流れを解説

2023年3月4日

新規事業への参入は、資金や人的資源の不足が障害となるケースが多くあります。

とくに売上自体が少額の個人事業主の場合、可能な限りリスクは排除して始めたいものです。未経験の分野への参入も視野に入れている場合は、リスク管理の観点からも独力だけで進めるのは少し検討したほうがよいかもしれません。

このような場合に選択肢の一つとして考えたいのが「フランチャイズ」です。フランチャイズは契約方法によっては少額の自己資金で始められるほか、経営ノウハウなども含めたサポートを本部から受けられます。

本記事ではフランチャイズの仕組みを解説するとともに、実際にフランチャイズを利用した場合に開業までの手順について詳しく解説します。

 

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フランチャイズとは

フランチャイズとは、ブランドを展開している企業が加盟店を募集し、契約した加盟店がフランチャイズのブランドを名乗り店舗や販売などの経営を行うビジネスの仕組みです。

加盟店はフランチャイズ本部へロイヤリティを支払う一方で、本部からノウハウの提供や商品の供給を受けるなど、さまざまなサポートを得ることができます。

フランチャイズの大きな利点の一つは、すでに社会的認知度や商品力の高いフランチャイズ本部のブランドを使ってビジネスを始められるということです。

店舗の運営から商品の供給など、経営の全般に対して支援が入ることも多く、新規に事業を立てる個人事業主や法人にとっては、個人経営と比較してリスクを軽減しながら着実に事業を運営できます。

フランチャイズの仕組み

フランチャイズでは、フランチャイジーと呼ばれるフランチャイズ本部に対して加盟店が契約し、ロイヤリティを払うことで、ブランド名を使用した店舗経営の権利を得ます。

フランチャイズ本部は実店舗の経営の大部分を加盟店に任せることになりますが、徹底したマニュアル化やルール作りによって、ブランドの品質やカラーを崩さずにブランドの影響力を拡大していくことができます。

フランチャイズ本部は商品開発や供給など、中枢機能ならではの領域に集中しながら、同時に経営ノウハウや人材の育成なども含めて、加盟店に対して支援を行います。加盟店は本部から得た支援とブランド力を用いながら、売上の向上を目指していきます。

フランチャイズの大きなメリットは、多くの加盟店との関係のなかで確立された方法論がすでに存在しているということです。成功の法則がすでに準備されているため、事業を早期かつ安定的に軌道に乗せられます。

なお加盟店は本部とフランチャイズ契約を結びますが、事業者としては本部から独立しており、対等なパートナー関係として存在します。フランチャイズの仕組みによってフランチャイズの恩恵を受けられる一方で、契約内容に則り、一事業者として本部の経営理念や方針に合わせた経営を行う必要があります。

また従業員の雇用などに関しても、独立した事業者として自身で進める必要があります。

フランチャイズの代表的な業種

フランチャイズをイメージしやすい業種としては、コンビニエンスストアやファストフード店があります。しかし、それ以外にもさまざまな業種でフランチャイズの仕組みは取り入れられています。

ここではフランチャイズの代表的な業種について紹介します。

飲食

フランチャイズの代表的なものに飲食店があります。飲食は内装に加えて厨房機器を揃える必要があるため、開業資金が大きくなると思われがちです。しかしフランチャイズによっては店舗費用を加盟金に含むタイプの契約もあり、自己資金に応じて選べるのが特徴です。

追加で資金が必要な場合は金融機関などからの融資を検討することになります。一般的に、個人経営の場合は、新規事業への参入で融資を受けるのはかなり難しいといわれています。しかしフランチャイズの場合は融資の際に、間にフランチャイズ本部が入ってくれるケースもあり、一般の新規開業よりも融資は受けやすくなるでしょう。

飲食店のフランチャイズの醍醐味は、一度軌道に乗ればリピーターが定着しやすいということです。ブランドの大きな知名度を利用できるため、早期の売上の安定化が期待できます。

フランチャイズでは本部にロイヤリティを毎月支払いますが、歩合制が一般的です。売上が上がれば金額も大きくなりますが、優良店舗として本部からの支援も受けやすくなります。負担はありつつも、ビジネスをより上手に回すための支援も得やすいといえるでしょう。

またフランチャイズによっては、ロイヤリティを固定費でも支払えます。経営の見込みにあったロイヤリティ契約を選択するとよいでしょう。

小売

フランチャイズの代名詞的なものとして、飲食業に並ぶのが小売業です。コンビニエンスストアや100円ショップなど、フランチャイズといったらまず思いつくものの多くが、この業種に含まれています。

なかでもコンビニエンスストアはフランチャイズの仕組みを効果的に利用した業種です。商品開発や物流はもちろん、出店調査なども含めて、フランチャイズで得られるメリットを最大限に活かした業種といえます。

とくにコンビニエンスストアは本部のサポート力が強力です。経営の大部分もマニュアル化されており、小売業や経営の経験がない新規の事業者の場合でも、失敗や手戻りのない安定感のある開業が可能です。

またコンビニは大手のブランド力が極めて強く、その影響力を借りられるのも大きなメリットです。誰もが知っているブランド名でビジネスを始められるため、認知の獲得方法に悩まされることなく、すぐに店舗の運営にリソースを集中できます。

コンビニエンスストアは店舗を持つ業態のため、自己資金が気になるところですが、契約内容によっては物件取得や内装工事などをすべて本部に任せる形態のものもあります。契約前にどのような選択肢が選べるのか、しっかりと確認しておきましょう。

教育

フランチャイズの仕組みは、教育などの分野においても浸透しています。塾経営から幼児教育まで、多くのフランチャイズ事業が展開されており、新規事業者でも本部からさまざまな支援を受けながら開業できます。

とくに教育分野での経営は、初期費用が高くつく印象がありますが、フランチャイズによっては少ない自己資金で事業を開始できるものもあり、フランチャイズによっては加盟金なしのものもあります。月の売上の規模などを参照しながら、幅広い選択肢からフランチャイズを選べる状況といえるでしょう。

また最近では、運動系の教室やプログラミングスクールなど、学習以外の分野でも選択肢が増えてきています。

サービス

サービス業という言葉にはさまざまな業種が含まれますが、これまでに紹介してきた業種に当てはまらない分野でも、多くのフランチャイズが誕生しており、そのサポートを受けながら開業を目指せます。

ハウスクリーニングや修理業、ネットショップ、自転車店など、さまざまな分野でフランチャイズに加盟しながら事業をスタートできます。

小売や飲食などと比較するとブランドの認知度には劣る場合が多いですが、その分競合他社の存在も少ないため、条件によっては非常に狙い目のカテゴリです。

フランチャイズと個人経営の違い

新規事業で開業する場合、フランチャイズではなく個人経営を選ぶという選択肢もあります。フランチャイズと個人経営のいずれを選ぶにしても、それぞれの違いについてしっかりと認識しておく必要があります。

ここではフランチャイズと個人経営の違いについて、ポイントごとに解説していきます。

開業に必要な準備

フランチャイズと個人経営でまず異なるのが、開業までの準備です。個人経営の場合は準備に関するすべてを自身で進める必要があります。わからないことは自分で調べ、随時必要性を判断しながら準備を進めていくため、かなり手探り感の強い開業準備になりがちです。

一方でフランチャイズの場合は、本部が持つ強力なノウハウと開業までをしっかりと支えるサポート体制があります。開業を成功させるために必要なことがすべてマニュアル化されており、不明な点や心配な点があれば、本部の担当者に相談することも可能です。

また開業後に必要になる一連のオペレーションなども、しっかりと事前に確認できます。自身に経営の経験がない場合でも、本部との二人三脚で開業までを乗り切れるのが、フランチャイズの強みです。

開業に必要な資金

開業までの費用についても、フランチャイズと個人経営とでは大きく異なります。フランチャイズの場合は加盟金を本部に支払います。実際の金額は会社が業種によって異なりますが、平均でおおよそ100〜200万円台と言われています。

また契約によっては店舗を本部が準備する場合もあり、その場合は自分で用意するよりも加盟金がやや低くなることが一般的です。ただしいずれにしても、店舗を持つ場合は初期費用の総額が平均で1,000〜2,000万円程度かかることが一般的です。

一方、個人経営で開業する場合は、まず加盟金が不要です。その分初期費用が少なくなるともいえますが、商品開発や商品の仕入れルートの開拓、宣伝など、不安要素は多く残ります。その分の見えない費用が多くかかるともいえ、一概に低コストとは言い切れません。

店舗名や取り扱う商品

フランチャイズの場合は、店舗名や商品はそのフランチャイズから供給されるものを取り扱います。いわばブランドの一員として開業するため、高い知名度からいち早く認知を獲得できます。

一方で個人経営の場合は、店舗の名前や取り扱う商品はすべて自由です。自分の意のままに決められますが、認知度はほぼゼロに近く、自分たちが何者か知ってもらうところからスタートしなければなりません。

広告なども含めたPR戦略も必要になり、また商品の仕入れなどのルートの確保もすべて自分が行うことになります。

見えない運営コストが高くつくことは、しっかりと認識しておくべきでしょう。

経営方針

フランチャイズ契約の場合は、ブランドを借りている以上、本部の経営方針や理念に沿いながら事業を運営することになります。商品や経営スタイルは契約のなかで決まっていることが大半で、独自性をもったアイデアを経営に盛り込む余地はほとんどありません。

一方、個人経営の場合は、経営に関わるすべてを自分の思いどおりに決められます。自分の考え方や方針に沿った経営ができるのは大きな魅力です。

しかし自由度が高い一方で、事業に関連したノウハウやデータの提供はありません。これらの情報を得るためには、別途コンサルティング会社などに入ってもらう必要があります。

契約期間の有無

フランチャイズ契約には、契約期間が存在します。この契約期間中は、事業を継続しなければなりません。

事情によって勝手に店舗をたたむことは本部の了承なしに勝手にできません。中途の解約を認めている場合でも解約金が非常に高額な場合もあるため、注意が必要です。

また事情によっては契約の更新を断られてしまうこともあることは認識しておきましょう。

ロイヤリティの有無

フランチャイズ契約の場合は本部に対してロイヤリティを支払います。ブランドを使用させてもらい、サポートをしてもらっていることに対する手数料ともいえます。

ロイヤリティは定額制や歩合制など、仕組みはさまざまです。フランチャイズごとにスタイルや割合が異なるので、事前のチェックが必要です。

またロイヤリティが大きいと経営を圧迫することになり、事業を継続できなくなることもあります。ロイヤリティは毎月の固定費としてかかってくるため、割合については収支の見込みとともにあらかじめよく検討しておく必要があります。

一方の個人経営の場合はロイヤリティがなく、すべての利益を事業に還元できます。しかし経営に関してサポートしてくれる存在がいないため、すべてを自分で解決していかなくてはなりません。

フランチャイズの場合はロイヤリティを負担と考えるのではなく、サポートやノウハウ共有のために必要な費用と捉えるとよいでしょう。

フランチャイズで起業するメリット

フランチャイズで起業するメリットには次のようなものがあります。

経営ノウハウを提供してもらえる

フランチャイズで開業した場合、本部から経営ノウハウをしっかりと教えてもらえます。個人経営の場合は経験のない業種であっても、自分自身でノウハウを開拓しなければなりません。

一方でフランチャイズの場合はすでに方法論が確立されており、マニュアル化までされていることも少なくありません。また開業まではもちろんのこと、経営が軌道に乗るまでは、本部の支援を受けられることも多いため、リスクを下げた開業が可能です。

自己資金を抑えて起業できる可能性がある

フランチャイズの場合は、契約の内容によっては、少ない開業資金で起業できる場合があります。通常の契約では店舗費用を加盟店側が負担しますが、フランチャイズの一部の契約では、店舗費用を本部が負担するタイプのものもあり、この場合は店舗費用分が加盟金から割引されます。

ブランド力を利用して集客できる

フランチャイズの大きな特徴の一つが、ブランド力を利用できることです。フランチャイズはブランドの高い知名度にもとづいたビジネスモデルでもあり、選び方によっては、誰もが知っているブランドの一店舗として経営をスタートできます。

新規開店の場合でも何の店かがすぐにわかるうえ、一定の品質が担保されていることを客がすでに認識しているのは大きなメリットです。

一方で個人経営の場合はまず何の店であるかを客に伝えなければならず、認知してもらうまでに時間がかかります。取り扱う製品の品質についても信頼を獲得するまでに時間がかかることが多く、集客に苦労することも少なくありません。

安定した収入を得られる

フランチャイズはブランドの知名度の高さから、一定数の来客が見込めます。また客に提供するための商品やその仕入れルートも本部によって用意されており、必要数がしっかりと供給されます。

そのため商品がまったく売れないという可能性は極めて低く、一定の収入を安定的に得られます。

困ったときにサポートしてもらえる

フランチャイズは本部のサポートを受けられるのが何よりの強みです。経営ノウハウやマニュアルなどの提供のほかに、研修制度を設けている本部もあり、経営のステップアップが狙えます。

フランチャイズで起業するデメリット

フランチャイズでの企業には、デメリットもあります。

自由に運営できない

フランチャイズはあくまでも本部の決めたブランドのルールに従って事業を運営する必要があります。屋号はもちろん、取り扱う製品や営業日、営業時間など、すべて本部ありきの決定になっており、自由度は決して高くありません。

自分のイメージするかたちで事業を運営したい人にとっては、向いているとはいえないでしょう。

外的影響に左右されやすい

フランチャイズで事業を開始した場合、そのブランドの一員となるため、他店で起きた事柄の影響を受けてしまうことがあります。事件や不祥事など、ブランドイメージとして連鎖的にダメージを受けることがある点には注意が必要です。

ロイヤリティを支払わなくてはならない

フランチャイズは本部へロイヤリティを支払わなくてはなりません。

その代わりに経営のノウハウやサポートなどを受けられるため一概にデメリットともいえませんが、契約の内容によっては売上が満足に上がっていない場合でも、ロイヤリティの支払いは行わなければならない場合もあります。

また売上金額が上がれば、その分ロイヤリティの金額も上がります。継続的にロイヤリティの支払いが発生するのは、費用面ではデメリットといえるでしょう。

契約期間中の閉店には違約金が発生する

フランチャイズ契約には、契約期間が定められています。契約期間中の閉店は原則的にできないことはよく理解しておきましょう。契約期間中の閉店を認めている場合もありますが、高額の違約金が設定されている場合もあります。

閉店のリスクを抱えている場合は、契約前にしっかりと解決しておきましょう。

同業種経営が禁止されている場合がある

フランチャイズ契約では、契約期間終了後に同業種の経営を新たに始めることを禁止しているケースが大半です。これは競合避止義務といい、フランチャイズ時代に得たノウハウなどを利用されないようにするものです。

独立を前提にフランチャイズ契約を考えている場合には、注意してください。

契約を更新できない場合がある

フランチャイズ契約では、契約期間が終了した時点で契約を更新するケースが大半です。しかし本部の都合などにより、契約を更新できない場合があります。

また前述のように競合避止義務が課されているため、同業種での開業も困難なケースがほとんどです。

フランチャイズでの起業に向いている人

フランチャイズでの起業は必ずしも誰にでも向いているものではありません。性格ややりたいビジネスの方向性によってはフランチャイズが合わないという場合もあります。

向いている人

フランチャイズは、本部からビジネスのパッケージを借りて事業を運営するものです。個人経営と比べて自由度が少ないですが、本部のセオリーに沿った経営をする限りは大きな失敗がありません。

このように基本的な部分がすでに作り上げられているなかで、そのルールに従って経営を進められる人にとっては、フランチャイズは非常に向いているでしょう。

とくにフランチャイズは本部との関係性が経営の結果に大きく影響してきます。本部を信頼して行動できる人、また信頼できる本部であるかを契約前にしっかりと見極められる人であることも求められます。

また同時に、本部に頼り切りの依存的な経営では先が明るくありません。現場での課題を解決する力が必要です。経営者として自身の頭で考え、結果を導き出せる能力も求められます。

向いていない人

フランチャイズに向いていないのは、自分の好きなようにやりたいタイプの人です。フランチャイズでは、本部が定める枠組みのなかにしか経営の自由度は残されていません。それを不満に感じる人には、フランチャイズでの経営は難しいでしょう。

また本部との関係がうまく構築できない人にも、フランチャイズは向いていません。依存しきってしまう、あるいは敵対的なスタンスをとってしまうなどの場合には、本部との良好な関係を築きにくいため、フランチャイズではよい結果につながらないでしょう。

フランチャイズは本部からパッケージやマニュアルが供与され、ブランドの一員として経営しますが、あくまで独立した一事業者です。本部と有効なコミュニケーションを取りつつも、一人の経営者として、自分の力で課題の解決に向かうスタンスが求められます。

フランチャイズで起業する流れ

ここではフランチャイズで起業する場合にどのような流れで進んでいくのか手続きを解説します。

1.情報収集及びセミナーへの参加

最初はフランチャイズ本部の情報を収集するところからスタートします。自分の理想に合った本部を探すために、インターネット検索はもちろん、セミナーなどへの参加を含めて情報収集を行います。

おすすめは実際にフランチャイズに加盟しているオーナーに話を聞くか、セミナーや説明会に参加してみることです。インターネット検索だけでは情報が偏ることもあるので、生の声を集めることや実体験が大切です。

2.本部の担当者と面談

本部の担当者と面談を行います。フランチャイズに対する疑問や質問があればしっかりと確認しておきましょう。

またこの場面では、自身のビジネス観にマッチしないものでないかも十分確認しておきましょう。

3.加盟ブランドの決定

面談の結果などから、加盟するブランドを決定します。決定後はいきなりフランチャイズ契約を結ぶわけではなく、その前に法定開示書面が提示されます。

法定開示書面とは、契約書の内容をわかりやすく解説した書類のことです。法律で提示が義務付けられているもので、法律用語の多い契約書の内容が理解しやすく整理されています。

内容をしっかりと確認し、意思にそぐわない内容がないか、しっかりとチェックしましょう。

4.事業計画書の作成

事業計画書を作成します。資金計画や収支計画を中心に、今後の目標を定めていきます。

5.契約の締結

契約書の内容に納得したうえで、正式に契約します。契約を締結すると、契約書に記載の契約期間中は、フランチャイズの加盟店として運営を続ける義務が生じます。

契約期間が残っている間の締結解除にはペナルティが課されるケースもあるため、契約の締結は慎重に決定してください。

フランチャイズで起業した後のよくある失敗例

契約を終え、開業まで辿り着いたとしても、必ずしもそれで成功するわけではありません。ここではフランチャイズの起業で気をつけておきたい、よくある失敗例を紹介します。

見積もりが甘かった

ありがちなのが、資金計画の見積もりが甘く資金繰りに行き詰まってしまうケースです。たとえば店舗運営の場合などは、人件費や光熱水費、家賃などが継続的にかかります。収益の予想が甘いと収支が合わなくなり、事業の継続が難しくなってしまいます。

また景気の動向や同業の他店舗の出店などによって、収益に影響が生じることがあります。ある程度の変動に耐えられるよう収支の予想を立てておくことが重要です。

契約内容を十分に確認しなかった

契約前にしっかりと内容を確認していなかったことから、不利な内容での契約を行なっていることに後から気づくケースがあります。とくにロイヤリティを不当に高く契約してしまうと、後々まで経営に悪い影響を与えることになります。

フランチャイズ契約にしても、本部が自社の社員のように自分を守ってくれるわけではなく、あくまで関係はビジネス上のパートナーです。しっかりと主体性を持って向きあうようにしましょう。

未経験の業界だったがために上手くいかなかった

フランチャイズのなかには、その業界で未経験でも問題なく開業できることを謳い文句にしているものもあります。フランチャイズは本部が開業までの一連の流れをすべてパッケージにしているため、この謳い文句も決して誤りではありません。

しかし未経験者歓迎とあっても、経験者の方がビジネス上で有利に動けることは間違いありません。未経験者の場合は経験で劣る分を自己研鑽でカバーする必要があります。

本部に積極的にサポートしてもらいながら、しっかりと危機感を持って自身の経験値を上げていくことが重要です。

想定していたよりも集客できなかった

集客力はフランチャイズ運営の成功の大きな鍵の一つです。想定よりも集客できない場合はそもそもの収支計画が崩れてしまうので、失敗につながってしまいます。

集客において重要なのが、ブランドの知名度やPR戦略、そして店舗の場合は立地です。ブランドの口コミをよくチェックするとともに、その立地で開業した過去の店舗の状況などもしっかりと確認するようにしましょう。

ブームが去ってしまっていた

商材によってはブームによって爆発的に売上が伸びることがあります。一時のタピオカのように、次々と出店が相次いだ一方で、唐突なブームの終焉で大量閉店に至ってしまうケースもあります。

もちろん一過性のブームに関係なく、地道に事業を継続するケースもあります。しかしその場合でも、ブーム時と比べると収益の落ち込みは避けられないでしょう。

最盛期の状況に合わせた店舗経営を続けていると、ブームの終わりとともに行き詰まってしまうケースもあります。商機を逃さないことも重要ですが、流行に左右されない堅実な経営も重要です。

本部に頼りすぎた

本部に頼りきってしまい、自身でビジネスを前に進めるというマインドを失ってしまうことも、失敗のきっかけとなります。あくまで本部はビジネスパートナーであり、自身の店舗を舵取りするのは自分自身です。

経営者として現場をしっかりと見ながら、自分の頭で試行錯誤することは不可欠といえるでしょう。

フランチャイズ選びに失敗した

そもそものフランチャイズ選びに失敗してしまうケースもあります。フランチャイズを行なっている会社のすべてがまともな会社であるとは限りません。

悪質性の高い運営を行なっているところもあるため、事前のしっかりとしたリサーチはとても重要です。少なくとも契約書の内容は事前にわかるものです。不審な点はないかよく確認しましょう。

またネットなどでのフランチャイズの評判も、内部事情をリサーチするための方法の一つです。ネット上の情報は玉石混合ですので、実際にフランチャイズを利用した人の口コミのみを参考にするなど、情報の精査は必要となります。

フランチャイズで成功するためのポイント

フランチャイズは本部からの強力なサポートを受けられるため、開業が比較的順調に進んでいくのが特徴ですが、フランチャイズだからといって必ず成功するとは限りません。むしろフランチャイズで苦しむケースも多々あるため、成功するためにはしっかりとした心構えと準備が必要です。

フランチャイズで成功するためには、次のポイントについて意識するとよいでしょう。

徹底的にリサーチする

フランチャイズでは本部がサポートについてくれるため、支援や相談をするなかでつい安心してしまいがちです。しかし経営を行い最終的な責任を負うことになるのは自分自身です。

そのため本部任せにするのではなく、わからないことは自身で勉強やリサーチを行うなど、積極的かつ主体的に取り組んでいかなくてはなりません。

またフランチャイズ自体があまり評判がよくない場合もあります。そのようなケースだと、非常に条件の悪いなかで店舗経営を始めなくてはならず、失敗する確率が高まってしまいます。

資金計画を立てる

フランチャイズの場合でもしっかりとした資金計画が必要です。フランチャイズで開業する場合、加盟金などの初期費用に気を取られてしまいがちですが、いざ開業したらランニングコストが発生します。

つまり早期に一定の収益を出さないと資金が枯渇してしまううえ、黒字化した場合でも売上がすぐに手元に入ってくるわけではありません。売掛金として数か月は口座に入ってこないこともあるため、その期間を耐えられるだけの余力が必要になります。

このようにフランチャイズとはいえど、必要とされる資金や収支の計画は自己で開業する場合とまったく変わりません。コスト計算と売上の関係をシビアに見据えておくことが重要です。

契約内容は細部まで確認する

たとえば前職で経営や契約に関わった経験がない場合、契約書の取り扱いには警戒心を持って望むべきでしょう。フランチャイズ契約は必ずしも加盟店を活かす契約内容とは限りません。非常に不利な契約内容になっている場合もあるため注意が必要です。

ロイヤリティの相場は適切か、また自身の商圏に同社の他店舗の出店を許すような契約内容になっていないかなど、自身の安全をおびやかす懸念点がないかをしっかりと確認しましょう。

契約に慣れていないようなケースでは、本部の提示する契約内容をよく確認しないまま、契約を進めてしまうことがあります。しかしこの考え方や態度では、契約に関わる他の場面で大きな失敗を引き起こす可能性があります。細部までしっかりと読み込み、少しの懸念点も残さないようにして、契約を進めるようにしましょう。

ロイヤリティをしっかりと確認する

契約内容でも触れましたが、ロイヤリティが相場と比較して適切なものかどうかは非常に大切です。ロイヤリティは毎月継続的に支払わなくてはならないため、いわば固定費と変わりません。

一度契約書を交わしてしまうと継続的にそのロイヤリティが有効になってしまい、後々まで自身の首を絞めることになります。

たとえば店舗経営であれば、劇的に売上が向上することは実際上なかなか見込めません。一度決めたロイヤリティが負担といえるほどのものである場合、これを解決することは非常に難しくなります。

自分でも試行錯誤を重ねて運営する

くり返しになりますが、フランチャイズとはいえ経営するのは自分自身です。

事業の舵取りをするのは自分自身なので、本部に依存するのではなく、自分自身でしっかりと試行錯誤を重ねていくことがとても重要です。

本部とはあくまでパートナー関係であり、お互い自分自身の利益を最大化することが最終的な目標であることをしっかりと念頭において事業に携わることが重要です。

まとめ

自己資金は融資の審査材料としては非常に有効です。自己資金がなければ、融資の条件が厳しくなることも多く、なるべく自己資金を作った方がより有利に事業を進められます。

フランチャイズはその業界の未経験者でも開業しやすいのがポイントですが、本部に過度に依存するのではなく、自分自身のビジネスであることをしっかりと自覚することが重要です。自身の判断に責任を持ちながら、理想とするビジネスに近づけていくことが重要です。

またフランチャイズでは、開業資金の面で個人経営よりも有利な部分が多くあります。ただし本部の担当者はフランチャイズ側の人間でもあるため、フランチャイズでの開業に引き込みがちであることも確かです。

とくに融資に関してはビジネスの全体像の形成に大きく関わってきます。返済計画なども含めて、融資の専門家にも相談してみましょう。融資についてはフランチャイザーよりも資金調達支援サービス会社に相談すると、より具体的なアドバイスを受けられます。

無理のある融資は返済計画も難しくなりがちで、経営の首を絞めることにもつながりかねません。客観的な立場から融資計画について評価してくれる専門家にぜひ相談してみましょう。

お気軽にご相談ください。

ファイナンスアイでは、フランチャイズで独立・起業される場合、新たなフランチャイズに加盟して新規事業をされる場合などの融資の相談に応じています。

また、フランチャイズ本部の皆様が、加盟店および加盟店候補の方々への支援サービスとして、弊社の融資支援サービスをご活用頂くような場合もあります。お気軽にご相談ください。

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記事・コンテンツの監修者

起業創業開業の資金調達コンサルタント

株式会社ファイナンスアイ(経済産業省M&A支援機関登録済)
代表取締役 田中 琢朗(たなか たくろう)

大手の金融機関・上場企業の財務部門責任者などを歴任し、2014年にファイナンスアイを創業。業界歴30年・創業10年のベテラン。中小企業・個人事業主・起業家と一緒に、現場で泥臭く汗をかいて靴をすり減らして財務を軸に経営者を支援し続け、のべ10,000人以上の圧倒的な実戦経験を持つ。ノウハウを「ファイナンスアイ式メソッド」として確立。中小にはびこる悪質なM&Aの被害をなくすために、M&A支援も本格化。売手・買手のいずれの立場からも真のM&Aを提供。現在も毎月150件以上の新規相談に対応し、毎週セミナーも開催中。日本経済のために今日も邁進しています。

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