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エステサロン開業時に必要な資金目安と失敗しない準備手順

2023年5月9日

エステサロン開業にあたって、資金面の不安は大きな課題です。実績も経験も豊富なエステティシャンの方であっても、経営者としての知識や経験は乏しいケースが多く、失敗しないためには開業準備が重要です。

本記事では、開業に必要な資金調達方法や創業融資に関する情報を中心にまとめました。将来、エステサロン開業をお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。

エステサロン開業における初期費用目安

エステサロンの開業には、さまざまな初期費用が発生します。ここからは、開業時にかかる初期費用の目安をご紹介します。

自宅での開業

個人がエステサロンを開業しようと考える際、初めに候補に挙がるのは、自宅の活用ではないでしょうか。自宅サロンの場合に必要となる開業費用の内訳は、以下のとおりです。

自宅でエステサロンを開業する際の費用

  • 内装工事費用: 20万円~50万円
  • 施術用機器・備品: 20万円~50万円
  • ベッド・シート類: 10万円~20万円
  • 広告費(チラシやウェブ広告): 20万円~30万円

これらの費用を合計すると、自宅での開業にかかる初期費用目安は、70万円~150万円程度になります。施術用機器はシンプルなものを選び、内装工事を簡単なリフォーム程度に留めるなど工夫すれば、コストを抑えられるでしょう。

後から広告費がかさみやすい

自宅でエステサロンを開業する場合、最初は広告費をあまりかけずに始めることができますが、集客のために徐々に広告費が増える傾向があります。

自宅で営業する場合、流動客につながる通行人や近隣住民の目に触れる機会が少ないため、集客が難しい場合があります。そのため、インターネット広告やSNSマーケティング、チラシや看板など、積極的な広告活動が必要になります。

また、1回広告を出して終わりではなく、継続的な集客活動が求められます。とくに、インターネット広告やSNSマーケティングは継続的な投資が必要になるため、広告費がかさみやすくなります。

賃貸マンションでの開業

賃貸マンションでエステサロンを開業する場合、自宅での開業に比べて費用はやや高くなりますが、自宅のプライバシーを保ちつつ、専用の空間でサービスを提供できる利点があります。

ただし、物件選びには注意が必要です。店舗営業が可能な物件であることを確認し、契約内容をしっかりと把握することが大切です。

賃貸マンションでの開業にかかる初期費用目安は、以下のとおりです。

賃貸マンションでエステサロンを開業する際の費用

  • 敷金・礼金: 賃料の8~12か月分
  • 内装工事費用: 30万円~100万円
  • 施術用機器・備品: 20万円~50万円
  • ベッド・シート類: 10万円~20万円
  • 広告費(チラシやウェブ広告): 20万円~30万円

注意点として、店舗営業を行う場合の賃貸マンションでは、敷金や礼金が通常よりも高額になるケースがあります。これは、店舗営業による騒音や負担が住宅用マンションに比べて大きいため、オーナー側がリスクをカバーするために敷金・礼金を高く設定することが一因となっています。

また、物件のオーナーや立地条件によっては、契約金がさらに高額になることも考えられます。まずは、店舗営業可能な物件を見つけ、必要な設備や内装工事の費用を把握することが重要です。

店舗営業可能な物件でのみ可能

賃貸マンションでエステサロンを開業する場合、事業用途が許可された物件を選ぶことが重要です。すべてのマンションが店舗営業を認めているわけではなく、適切な物件選びが求められます。

まず、不動産ポータルサイトなどの物件紹介ページを確認し、事業用途が許可されているかどうかチェックしてください。

その後、物件のオーナーや不動産業者に直接確認し、エステサロンの営業が可能かどうかを尋ねることが望ましいです。また、建物の管理規約や自治会のルールも忘れずに確認してください。

店舗営業可能な物件を選ぶ際には、以下のポイントを踏まえておきましょう。

店舗営業可能な物件選びのポイント

  • 周辺環境: エステサロンに適した、静かな環境である。また、駐車場や交通アクセスの利便性が高い。
  • 間取り: 想定するエステサロンに適した間取りや、広さが確保されている。
  • 安全性: 防犯面や耐震性など、安全性が確保されている。
  • 賃料: 予算内で賃料が収まる物件である。高い賃料の物件を選ぶと、利益を上げるために高額な施術料金を設定しなければならず、集客に影響を及ぼします。

テナント利用での開業

テナント利用でエステサロンを開業する場合、専門的な店舗スペースを確保できるため、集客力やプロフェッショナルなイメージが向上します。

テナント利用での開業は、自宅や賃貸マンションでの開業と比較して、初期費用は高額になりますが、集客が期待できる商業施設や駅ビルなど周辺住民の生活導線となっていて、人の往来が活発な物件であれば、相対的に広告にかける費用を圧縮できる可能性があるため、契約条件以外にも事前に物件周辺のリサーチを行うことも重要です。

また、テナント物件にはスケルトン物件と居抜き物件があり、それぞれの特徴や開業の際に必要な初期費用が異なるので、予算やコンセプトに合わせて選択する必要があります。

スケルトン物件と居抜き物件

スケルトン物件は、内装が一切されていない状態の物件で、自由に内装を施すことができます。

一方、居抜き物件は前のテナントが使用していた内装や設備が残っているため、それを利用することが可能です。

スケルトン物件の場合、内装工事費用が必要で、150万円~300万円程度が一般的です。お店の雰囲気やコンセプトにこだわりたい場合は、自由度が高いスケルトン物件の方が、自分の理想とするエステサロンを実現できます。

居抜き物件の場合は、前のテナントが使用していた内装や設備を利用できるため、内装工事費用は50万円~100万円程度と、安く済むことが多いです。お店のコンセプトにそれほどこだわらず、予算をできる限り抑えたいと考えているのであれば、居抜き物件を検討するのが良いでしょう。

物件選びの際は、自分の理想とするエステサロンのイメージや運営スタイル、予算に合った物件を選ぶことが重要です。

また、テナント物件の契約には敷金・礼金が必要となり、賃料の6か月分~12か月分が一般的です。物件の立地や広さ、設備なども考慮して、初期費用や運営費用を見積もることが大切です。

費用が高額になりやすいポイント

エステサロン開業において、費用が高額になりやすいポイントがいくつかあります。これらのポイントを理解して、効率的な予算配分を行うことが重要です。

内装やインテリアの非日常感・高級感

エステサロンの内装やインテリアには、お客様にリラックスしてもらうために非日常感や高級感が求められます。しかし、これらを本格的に演出するためには、多くの費用がかかります。

コストを抑える方法として、DIYで内装やインテリアを手がけることが考えられます。DIYでは、自分の好みに合わせたデザインや色使いを実現できるだけでなく、材料費や施工費を節約できます。

しかし、DIYの場合、プロの技術や知識がないために高級感を出しにくいことがデメリットです。また、自分で作業を行うことから、時間や労力がかかることも考慮する必要があります。

DIYで高級感を出すためには、インテリアや照明の選び方が重要です。たとえば、間接照明やアクセント照明を取り入れることで、空間に奥行きや温かみを与えることができます。

また、家具や装飾品を上手く配置することで、空間を広く見せたり、目線を誘導したりすることができます。

業務用エステマシンの導入

エステサロンでの業務用エステマシンの導入には、機能や価格帯の面で、非常に幅広い選択肢があります。

とくにフェイシャルエステサロンの場合、美顔器の値段は20万円から300万円前後と、非常に幅広い価格帯で用意されています。

開業時に選ぶ美顔器は、自分のサロンのコンセプトやターゲット層に合わせて慎重に選ぶことが重要です。たとえば、アンチエイジングや美白に特化したサロンであれば、高機能の美顔器を導入することで、効果を実感してもらいやすくなります。

一方で、リラクゼーションを重視したサロンであれば、ハンドマッサージやオールハンドの施術に力を入れることで、高額な美顔器の導入を抑えることができます。

また、リユース品の業務用エステマシンの導入で、コストを抑えることも可能です。ただし、リユース品の場合は、動作の確認や保証期間、アフターサービスなどの面で注意が必要です。

費用を抑えすぎないほうがよいポイント

開業するエステサロンの費用を抑えることは大切ですが、お客様に対する印象やサービスの質を損なわないために、ある程度の投資が必要なポイントも存在します。

以下から、費用を抑えすぎないほうがよいポイントについて説明します。

お客様の目に触れる内装

お客様の目に触れる内装は、サロンの雰囲気や印象を大きく左右します。適切な内装投資は、お客様がリラックスできる空間を提供し、リピート率や口コミ評価にも直結します。

何よりも重要なのは、清潔感を保つことです。壁や床などの材料選びや、メンテナンスのしやすさにも注意が必要です。

また、店のコンセプトと内装デザインに統一感を持たせることも重要です。これにより、お客様にとって印象に残るサロンになり、ブランド力を高めることができます。

安価な内装材料や家具を選ぶと、劣化が早く、お客様に悪い印象を与える可能性があるため、適度な質感やデザインの内装に投資することが望ましいです。

お客様が使用する備品

エステサロンでお客様が使用する備品には、以下のようなものがあります。

お客様が使用する備品

  • 施術ベッド
  • タオルやシーツ類
  • クッションや枕
  • 美容液や化粧水
  • マッサージオイル
  • 使い捨てスリッパ
  • カウンセリング用のテーブルと椅子
  • 店内BGMと関連機器

これらの備品は、お客様が施術を受ける際に直接触れるものであり、サービス品質に大きく影響します。トータルでいくらかかるかは、品質や量によって異なりますが、おおよそ50万円~100万円程度が目安です。

開業時には、これらの備品をある程度揃えておくことが重要です。とくに施術ベッドやタオル、シーツ類は、清潔で快適なものを用意することで、お客様に安心感を与えます。

また、美容液や化粧水、マッサージオイルは、肌に触れるものなので、品質にこだわることが大切です。良質な備品を揃えることで、お客様からの評価やリピート率の向上が期待できます。

毎月のランニングコスト項目

エステサロンを経営する際、毎月発生するランニングコストは無視できません。適切な経営計画を立てるためには、これらのコストを把握し、売上とのバランスを見極めることが重要です。

以下では、エステサロンを経営するうえで適切なランニングコストを解説していきます。

家賃

家賃は、サロンの固定費のなかで最も大きな部分を占めます。安定した経営のためには、家賃の10倍の売上が見込めることが望ましいとされています。

固定費である家賃コストを下げる方法として、以下のような方法があります。

家賃コストを下げる方法

  • 閑静な住宅街やビルの中にサロンを構える
  • 広さを最小限にして、スペースを効率的に活用する
  • ほかの美容関連ビジネスと共同で物件を借り、家賃負担を軽減する

水光熱費

エステサロンの水光熱費は、売上の約5%前後にとどめるようにすることが良いとされています。この比率を維持できるよう、適切な節約対策を講じることが重要です。

たとえば、月間売上が100万円の場合、水光熱費は5万円前後が適切な範囲となります。

水光熱費にかかる経費を抑えるために、節水型の設備の導入やLED照明の使用、適切な温度設定によるエアコンの節電も効果的です。冬季は暖房器具の選択や、断熱材を活用することで暖房効率を上げることもおすすめです。

消耗品費用

エステサロンにおける消耗品費用は、化粧品やマッサージオイル、脱毛用ワックスなどの施術用品、手袋、マスク、ガウン、キャップなどの使い捨てアイテム、清掃用品、美顔器やマッサージ器具などが含まれます。

これらのアイテムは、定期的に購入・補充が必要で、売上比率10〜15%が理想とされています。消耗品のコストを抑える方法として、まとめ買いや取引先との交渉、効果的な使用方法の検討があります。

また、独自のブレンドやオリジナル化粧品を作成することで、化粧品費用を抑えることもできます。ただし、この方法は独自のブランドを確立できる場合に限るので、知識や経験が関わってきます。

宣伝広告費

宣伝広告費は、売上に対して一般的には5%から10%程度が適切です。

過去には、チラシや新聞広告、看板、雑誌広告などの紙媒体が主流でしたが、現在ではインターネットが普及し、ウェブサイトやSNS、インフルエンサーマーケティングなど、デジタルメディアが重要な役割を果たしています。

デジタルメディアを活用することで、狙ったターゲット層に対して効果的にアプローチすることが可能になり、広告費の効率化が図れるでしょう。

人件費

エステサロンでの人件費は、売上に対して一般的に20〜30%が適切な比率とされています。しかし、個人サロン経営の場合、最初は自分で施術を行うことが多いため、人件費は最小限に抑えられます。

将来的に事業拡大してスタッフを雇用する場合には、適正な給与や雇用条件を設定し、スタッフの教育や研修費用も考慮する必要があります。

人件費を抑える方法として、パートタイムスタッフや業務委託スタッフの活用がひとつの選択肢です。スタッフの雇用形態や働き方によって、サービス品質や顧客満足度に影響があるため、適切なバランスを見極めることが重要です。

予約サービス・決済端末など利用料

個人経営のエステサロンでは、オンライン予約システムや決済端末を導入するケースも多いです。これらのサービスは初期費用や毎月の利用料がかかるため、継続的なコストがかかります。

開業してすぐは、無料プランや低コストプランを提供している予約サービスを選ぶことで費用を抑えることがです。決済サービスは、ターゲットの決済ニーズを満たせる決済サービスを利用する、一つの端末で複数の決済方法を利用できるスマホ・タブレット型の決済を導入するなどの工夫をすることでコストを抑えられるでしょう。

サービス導入による利便性向上や顧客満足度の向上が、売上増加につながることも考慮して、コストと効果のバランスを見極めることが大切です。

エステサロン開業時に必要な資格と届け出

エステサロンを開業するにあたっては、資格や届け出に関する知識が必要です。

エステティシャン自体には国家資格は存在せず、民間資格が主となりますが、それぞれの資格がどのようなものか把握しておくことが大切です。また、開業時には必要な届け出や保健所への申請がありますので、それらについても理解しておくことが求められます。

エステティシャン自体に資格は不要

前項で述べたとおり、エステティシャンになるには厳密には資格や免許は不要です。

しかし、民間資格がいくつか存在し、それらを取得することで技術や知識を客観的に証明できます。以下、代表的な資格を紹介します。

AJESTHE認定エステティシャン

AJESTHE認定エステティシャンは、日本の民間資格であり、日本エステティック協会(AJESTHE)が認定しています。資格を取得するためには、以下の条件が求められます。

AJESTHE認定資格取得条件

  • エステティシャンセンター試験に合格する
  • 協会認定校での300時間以上のコースまたは1000時間以上のコースを修了するか、実務経験が1年以上ある

同資格の取得には、専門的な知識や技術が求められますが、研修や教材を活用すれば、一定期間の努力で取得が可能です。

CIDESCO国際ライセンス

CIDESCO国際ライセンスは、スイスを拠点とする国際エステティック連盟(CIDESCO)が認定する国際資格です。

基本的には誰でも取得することが可能です。ただし、資格取得には一定の条件があります。CIDESCO認定校での研修を受け、最低600時間の理論と実技のカリキュラムを修了する必要があります。また、その後の試験に合格することが求められます。

日本国内にもCIDESCO認定校がいくつか存在し、そこで学ぶことで資格取得の道が開けます。ただし、CIDESCO国際ライセンスは世界共通の資格であり、試験も英語で行われるため、ある程度の英語力も必要です。

CIDESCO衛生管理資格

CIDESCO衛生管理資格も、国際エステティック連盟(CIDESCO)が認定する国際資格です。同資格は、エステティシャンが衛生管理に関する基本的な知識や技術を身に付けることを目的とした資格です。

CIDESCOの資格を有する同連盟の会員であることが受験資格であるため、CIDESCO資格を持っている方なら比較的容易に取得できます。

衛生管理は、エステサロンでの感染症予防において重要な要素であるため、開業前に取得しておくとよいでしょう。

エステサロン開業時に出すべき届け出

開業時には、個人事業主の場合と法人の場合で異なる届け出が必要です。それぞれ、どのような届け出が必要かまとめました。

個人事業主の場合

個人事業主としてエステサロンを開業する場合、国税庁に「個人事業の開業届」を提出する必要があります。開業届を提出することで、国税庁から確定申告や消費税の手続きに関する情報が送られてきます。

また、個人事業主の場合、確定申告の際に青色申告と白色申告の2つの方法があります。

青色申告は、一定の条件を満たす事業主が選択できる申告方法で、経理の方法や記帳の仕方が一定の基準に則っていることが求められます。青色申告を選択すると、所得控除額が高く節税効果があります。

一方、白色申告は、青色申告を選択しない場合に適用される申告方法です。白色申告では、経理や記帳の方法について厳格な基準が求められないため、手続きが比較的簡単です。ただし、所得控除額が青色申告よりも低いため、節税効果は少なくなります。

開業する際にどちらを選択するかは、事業規模や経営状況、経理や記帳にかけられる時間や労力などを総合的に考慮して決めましょう。

また地域によっては、所得税や住民税の支払い、事業所の所在地に関する届け出が必要な場合があります。市区町村の税務課や、管轄の税務署に確認してください。

法人の場合

法人としてエステサロンを開業する場合、会社設立手続きが必要です。法人設立の日以後2か月以内に「法人設立届出書」を管轄の税務署に提出します。これには、定款の作成、資本金の払い込み、登記申請などが含まれます。

法人になることで、労働保険や社会保険への加入が義務付けられます。労働保険(労災保険・雇用保険)は労働基準監督署で、社会保険(健康保険・厚生年金保険)は日本年金機構で手続きを行います。

保健所への申請

エステサロンを開業する際、基本的に保健所への届け出は必要ありませんが、開業前には保健所へ問い合わせを行い、施術内容や資格に応じた適切な手続きを確認しておくことが重要です。

基本的には届け出の必要なし

エステサロンを開業する際、施術内容によって保健所への届出が必要かどうか異なります。一般的なエステサロンの施術(フェイシャル、ボディトリートメント、マッサージなど)では、保健所への届出は必要ありません。

必要なケース

一般的なエステサロンメニューに加えて、医療行為に関わる施術や、針を使用する施術など、規制の対象となる施術が含まれる場合は、保健所への届出が必要となります。

たとえば、民間資格である「あん摩マッサージ指圧師」などの資格を持っていて、その範囲内で施術を行う場合は、保健所への届け出が必要になります。

また、まつ毛パーマやまつ毛エクステに関しては、美容業法の範囲内で行われるため、美容業として保健所への届け出が必要です。

美容師免許を持っている場合、まつ毛に関する施術が可能ですが、持っていない場合は、美容師免許を持ったスタッフを雇うか、別の資格が必要になる場合があります。

鍼灸治療を行う場合は、日本では鍼灸師として国家資格を取得する必要があります。鍼灸治療を提供するエステサロンを開業する際には、保健所への届け出が必要になります。

レーザー脱毛やケミカルピーリングなどの施術は、医療行為とみなされることがあります。このような施術を提供する場合、各自治体の美容所の基準を満たす必要があります。

開業資金を調達するには

エステサロンを開業する際には、資金調達が重要な要素となります。開業資金は、店舗の設備やインテリア、広告費、初期在庫などの費用をカバーするために必要です。

ここでは、日本政策金融公庫からの創業融資や信用保証協会付融資など、資金調達の方法を解説します。

融資と出資・投資との違いは、こちらの記事で詳しく解説しています。

日本政策金融公庫からの創業融資

日本政策金融公庫は、国の支援を受けている金融機関であり、創業者向けの融資制度を提供しています。主に、女性や若者、シニア起業家向けの支援資金や、新創業融資制度が用意されています。

女性、若者/シニア起業家支援資金

女性、若者/シニア起業家支援資金は、新たに事業を開始する方や事業開始後おおむね7年以内の女性を対象とする融資で、過去の実績がなくても融資を受けられます。

通常の銀行融資に比べて低金利で資金を借りることができるため、資金調達コストを抑えられるのが特徴です。また、最長20年の長期借入が可能で、起業家は長期的な事業計画を立てやすくなり、単月ごとの返済負担を軽減できます。

また融資を受けた後に一定期間返済を猶予されることがあるため、ビジネスが軌道に乗るまでの間、返済を考慮しなくて済むのも魅力です。

新創業融資制度

新創業融資制度は、創業や新規事業を始める予定の方に対して、資金調達をサポートする制度です。

この制度では、創業に必要な運転資金や設備投資など、さまざまな資金需要に対応して融資が行われます。また、審査基準が比較的緩やかであるため、ほかの金融機関から融資を受けられない方でも利用しやすいとされています。

新創業融資制度の特徴は、以下のとおりです。

新創業融資制度

  • 融資限度額: 最大3,000万円(うち運転資金1,500万円)
    対象者: 新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方
    金利: 担保を提供するか、しないかによって変動します。詳細は『主要利率一覧表』をご確認ください。
  • 返済期間: 各種融資制度で定める返済期間に応じます。新創業融資制度はほかの融資制度と組み合わせて利用されることが多いため、返済期間もそれに準じます。

信用保証協会付融資

信用保証協会とは、主に中小企業や個人事業主を対象に、金融機関からの融資を円滑に行うために、融資先の信用を保証する団体のことです。全国各地にあり、企業や個人事業主が融資を受ける際に、信用面での不安要素を取り除く役割を果たし、融資を受けやすくします。

信用保証協会付融資とは、信用保証協会が保証を行った融資で、金融機関は信用保証協会の保証を受けた融資先に対して、より安心して融資を行うことができます。信用保証協会付融資は、保証協会が一定の保証料を受け取ることで、融資先の信用リスクを補償します。

これらの仕組みにより、信用面で不利な中小企業や個人事業主でも融資が受けやすくなるというメリットがあります。

信用保証協会付融資は、新規事業の立ち上げや設備投資、運転資金など、さまざまな用途で利用されています。信用保証協会と連携している金融機関や、地域の信用保証協会に相談することで、エステサロン開業に適した融資プランを見つけることができます。

創業融資を受ける際は事業計画書が必須

創業融資を受ける際は、事業計画書が必須です。事業計画書は、事業の目的や戦略、収支計画などを記載した文書で、融資先が事業の将来性を評価するための重要な資料です。

この事業計画書を効果的に作成することで、融資を受けやすくなります。この項目では、事業計画書作成のコツをいくつか紹介します。

事業計画書のコツ

エステサロンの開業に際して、事業計画書が非常に重要な役割を果たします。事業計画書は、資金調達先や投資家にビジネスプランを理解してもらい、融資や投資を受けるためのツールとなります。以下の見出しで、事業計画書作成のコツをそれぞれまとめました。

わかりやすく説明する

事業計画書では、エステサロンで提供するサービス内容や、ターゲットとなる客層を明確に伝えることが重要です。融資先や投資家にわかりやすく伝えるために、専門用語は避けるか、説明を加えるようにしましょう。

エステサロン開業の目的や目標を明確にし、それに沿った計画を提示することで、資金提供者が理解しやすくなります。とくに、図解・ビジュアルを用いて、サービス内容を分かりやすく説明することも効果的です。

根拠に基づいているか注意する

事業計画書において、収支見込みに数値を用いる場合、根拠に基づく情報を用いることが必須です。

根拠を集めるために、エステサロンの市場調査を行い、業界の動向やターゲット顧客のニーズを把握します。サービスや価格設定、販売戦略などが現実的であることを示しましょう。

調査したデータをもとに、将来の売上予測や利益率を算出し、適切な投資計画や人件費の見積もりを立てたうえで、事業計画書に記載します。

また、事業計画の信頼性を高めるために、過去の実績や業界での成功事例を参考にし、自社のビジネスモデルの妥当性を裏付けることも重要です。

具体的に記載する

事業計画書作成時には、資金提供者に対して企業のビジョンや計画だけでなく、背景や経緯についても理解してもらえるような情報を盛り込むことが重要です。

以下のような要素を含めることで、開業したいエステサロンの概要や今後の取り組みがより具体的に伝わり、資金提供者に信頼感を与えられます。

エステサロン開業の事業計画に記載するポイント

  • 企業の沿革や創業者のプロフィール:創業者の経歴や実績を具体的に記載することで、信頼性・信ぴょう性が向上する
  • 従業員数やビジネスモデルの概要: 事業規模や事業展開の仕組みを明確にして、資金提供者に将来性や成長ポテンシャルを示す
  • 解決すべき問題点や強み・弱み: 直面している課題や、将来に向けた取り組みを明示する

競合を意識する

エステサロンにおける競合とは、同じ市場で顧客を獲得しようとするほかのエステサロンや、類似の美容サービスを提供する企業のことを指します。事業計画書作成において、競合を意識する効果的な方法は、まず競合分析を行うことです。

同業者や類似サービスを提供するサロン・企業をリストアップし、それぞれのサービス内容、価格設定、営業エリア、顧客層などを比較分析することで、競合との相違点や自社の強み・弱みを明確にできます。

さらに、競合が狙っていないニーズや顧客層に注目し、独自のサービスやアプローチで差別化を図ることで、競争を避けつつ新たな市場を開拓することが可能になります。

競合の動向は常に変化しているため、定期的に情報収集や分析を行い、事業計画をアップデートしていくことが重要です。

女性の起業支援に強いサービス

女性の起業支援に強いサービスは、女性のニーズや事業運営の特徴に合わせて支援を行っています。とくに、女性起業家支援プログラムや、女性向けビジネススクールなどが注目されています。

女性起業家支援プログラムでは、資金調達やビジネススキルの向上、メンタリングなど、女性起業家に特化した支援が行われます。また、女性向けビジネススクールでは、女性のライフスタイルや働き方に合わせたコースが提供され、ビジネスの基本から専門知識まで学ぶことができます。

これらのサービスは、女性の起業を支援するために設立された団体やNPO、地方自治体が主に運営しており、利用者に合わせた柔軟な支援が行われています。

また、経済産業省は2020年12月に、女性の起業や経営を支援する全国ネットワークを設立しました。同ネットワークは、女性起業家や経営者、支援機関、地方自治体などが連携し、情報交換や協力を通じて、女性の起業や経営を促進することを目的としています。

具体的な取り組みとしては、全国の支援機関や自治体が提供する女性向けの支援情報やイベント情報を一元的に集約しています。また、各地域で実施される女性向けのセミナーやワークショップ、ネットワーキングイベントなどを支援し、女性起業家や経営者同士の交流を促進しています。

まとめ

エステサロンを開業する際には、さまざまな点に留意する必要があります。個人資金200万円以下でも開業が可能ですが、創業融資を利用することで、自分の理想とするエステサロンを実現することもできますし、より安定した資金繰りも期待できるでしょう。

創業融資には日本政策金融公庫の「創業融資」や、民間金融機関の「信用保証協会付融資」がありますが、創業時に申請できる融資のため、審査は厳しくみられます。事業計画書や試算書表などの書類は、数値的根拠にもとづいているか、ビジネスモデルに妥当性はあるかが伝わる内容になっていることが重要です。

また創業後に利用できる資金調達方法として「助成金・補助金」や「地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ型)」があります。

助成金は、社会保険料を支払っていることが基本的な条件で、創業時に活用できるお金ではありませんが、開業後には一定の支援を受けられる可能性があります。

補助金は、すでに費用を支払っている物事に対して後から給付されるお金であり、今現在融資を必要としている人が先に受けるものではありませんが、開業後に適切な使い方をすれば、資金繰りの助けとなるでしょう。

地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ型)は、地域密着型の事業に対する支援策で、開業後に活用することができます。

開業後は、融資資金と「助成金・補助金」なども活用して予定とおりの収益を上げ、返済を遅延なく行っていくことが重要です。そのためには、事業計画書に根拠に基づき数値化された計画を立て、売掛金管理台帳を用いて、適切に売上管理を行っていきましょう。

エステサロン開業には資金調達、事業計画、競合分析、独自性の追求、地域密着型営業戦略、マーケティング戦略など、多くの要素に注意しなければ成功させることはできません。

ファイナンスアイでは、資金調達だけでなく、事業計画から開業後の返済までトータルでサポートを行っています。エステサロンは自分の身ひとつで開業する方も多く、不安も大きいでしょう。これから開業しようとしている方は、ファイナンスアイへ気軽にご相談ください。

エステサロンを開業した女性起業家の資金調達、エステサロンのフランチャイズ各店舗開業時の資金調達など、様々な美容サロンの資金調達を実現してきました。ご相談頂ければ女性の専任コンサルタントが対応させて頂きます。

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記事・コンテンツの監修者

起業創業開業の資金調達コンサルタント

株式会社ファイナンスアイ 代表取締役
田中 琢朗(たなか たくろう)

これまで8,000社以上の経営者の資金調達の相談に応じ、現在も新規で毎月100社以上の起業家・経営者・個人事業主の悩み相談に対応しています。大手金融機関にて、上場企業・中小・ベンチャーまで様々な企業のファイナンス支援を実施。その後、金融企業の起業に参画。財務の専門家として上場企業の経営企画部も兼務し、ハードなM&A等のプロジェクトを歴任。事業計画の策定やネゴシエーションに強みがあり、様々な企業再生のプロジェクトに財務コンサルタントとして関わり、多くの企業再生を成功させる。起業家、経営者の多くがファイナンス分野で苦労している現場を目の当たりにし、これが企業の成長と継続のボトルネックの一つになっていると感じ、自身の知識・経験・ノウハウを活かして、日本の経済成長に貢献できるのではと考え、2014年に株式会社ファイナンスアイを創業。以来、日本全国の多くの起業家の創業融資、個人事業主や中小企業の経営者らの資金調達や融資等を活用した経営改善を実現している。ハンズオンで起業を支援した中には、創業から数年で年商5億円を突破する経営者も続出しており、日々起業家・経営者・個人事業主のために邁進しています。

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