最近、手形の減少や貸金業法、出資法の利息上限規制から中小、零細企業向けの緊急時における資金調達手段が減少してきています。
この結果、現在ファクタリング会社が乱立し、様々な広告活動を行い集客しています。
ファイナンスアイでは、資金調達の手段が多様化すること自体は、非常に有意義なことと考えておりますが、目先の資金繰りや資金調達に追われる中で条件面やリスクについて十分検討できないままファクタリングを利用し、結果として事業自体を失ってしまうケースが散見されます。
ファイナンスアイに寄せられるご相談の中にも、悪質なファクタリング会社に会社を食い物にされた後、経営が立ち行かなくなり相談に来られる方も増えてきました。
今回は、安易にファクタリングを利用して資金調達をしよとされる方への注意喚起のため、ファクタリングで資金調達を行う際の注意点についてご説明したいと思います。
※「ファクタリング」は一種のドーピングのようなものです。できる限り使用しない事をお勧めします。ファクタリングを使用する前に、ファイナンスアイに相談ください。何かしらの解決策を御提案します。
1.3社間のファクタリングをまず検討する
ファクタリングには大きく分けて3社間のファクタリングと2社間のファクタリングがあります。
前者はファクタリング(=売掛債権を売却すること)を行うことを売掛先に通知すること(=売掛債権の持ち主が変更し、売掛金の入金先がファクタリング会社となる)ことを前提としております。このため、「売掛先の承諾を得ない」場合には利用できません。
従って、緊急時においては使い勝手の悪い仕様となっておりますが、3社間のファクタリングについては、2社間のファクタリングと比較して条件面(手数料等)がはるかに良いことが多く、また手数料においてファクタリングを資金調達手段として長期的に継続して利用することが可能な料率に設定されているケースが多くあります。このようなことからファクタリングを利用する場合はまず3社間のファクタリングを検討されるのが良いと思います。
ファクタリングが信用不安を起こすのではない。計画性のない経営が引き起こす現実。
そもそも緊急の資金を必要としないための準備を十分に行うべきで、ファクタリングを利用する際も「2社間のファクタリングしかない。なぜなら売掛先に伝わると信用不安が起き、取引自体が存続できなくなる」と決め付ける前に、3社間のファクタリングを利用できるよう売掛先と利用目的や必要性、時期、ファクタリング会社についてしっかりと説明を行い、理解を得るべきです。
ファクタリングを利用することが信用不安を引き起こすのではなく、計画性のない行動が信用不安を起こすと考えるべきです。
しっかり協議を行うことで、自然とファクタリング会社から批評を得る事ができ、その過程において悪質、違法行為を行うファクタリング会社は自然に淘汰されていくとも考えられます。
2.ファクタリング手数料について(2社間のファクタリング)
ファクタリングは現在の積極的な広告活動により、至急、即日の対応が可能なサービスに見えがちですが、実際はそのようなことはありません。
ファクタリングにも正常な債権かどうかの見極めや買取率の算定等、買取先の信用調査等、金融機関の審査さながらにチェックをする項目が存在します。
即日対応で手数料が高額なファクタリングとは
なぜ今、ファクタリング会社は即日対応等の広告を行っているのでしょうか。
それは、手数料を非常に高額に設定していることが理由の一つであると考えます。
ファクタリングもそうですが、融資をはじめとする金融商品は統計、つまり商品が失われてしまうリスクに基づき、利率や手数料が決定します。
そのため、高額な手数料は多くの貸倒を許容できるということになります。
ポイント
利用者が支払う法外な手数料はファクタリング会社が債権の確認作業を割愛すること、これは「早期の対応をすることによって生まれたリスクを単純に押し付けしているだけ」とも言えます。
しかし中には即日対応を言いながら、様々な資料を要求し、結局時間をかけるファクタリング会社もあります。
このような会社は、債権の確認を割愛することなく、早期対応より生まれる貸倒リスクを取らないまま、法外な手数料を得る、いわば詐欺的な営業活動を行っていると言えると思います。
このように即日対応等の広告を行うファクタリング会社において低い手数料を設定できることはないということがわかります。
ファクタリングは現在の積極的な広告活動により、至急、即日の対応が可能なサービスに見えがちですが、実際はそのようなことはありません。
ファクタリングにも正常な債権かどうかの見極めや買取率の算定等、買取先の信用調査等、金融機関の審査さながらにチェックをする項目が存在します。
ファクタリング(2社間のファクタリング)と資金繰り
売掛債権を売却する性質上、ファクタリングを利用した場合、資金繰りを見ると一括返済の短期融資と同様になります。
一括返済の融資であれば、契約のロールを行いそのまま継続的に利用していくことも可能ですが、ファクタリングの場合はその都度、高い手数料が発生しますし、売掛債権が減っている場合や信用の低い会社の売掛債権が含まれている場合は、高額な手数料を払っても同額の買取価格を提示してくれる保証はありません。
ですから、ファクタリングを利用する場合には連続的に利用しないこと、つまり次の入金の目算がついていることを利用の大前提としなければなりません。
ファクタリングを利用すると倒産するケースが多いのは何故
仮に、赤字運転資金を埋めるためにファクタリングを利用した場合、継続して利用することが当然になりますので、数ヶ月に1度高額な手数料を支払うことになります。元々の赤字に加え、手数料による赤字上乗せされると、最終的には資金繰りが回らなくなり事業全体が崩壊することになります。
事業の存続を第一に考えてた場合、ファクタリングの継続利用はできない。
このことは、融資と比較して、ファクタリングを利用する場合の資金繰り計画の策定は、非常にシビアに行う必要があるということになります。
3.悪質なファクタリング会社の見分け方
悪質なファクタリング会社には、成約に向けた交渉の中で一定の特徴があります。
全てを網羅しているわけではありませんが、下記に該当する場合はそのファクタリング会社に近づかないほうがよいでしょう。
1:どんな状態でも検討すると言う。甘い話しかしない。
例えば、「代表者変更登記手続前でも対応できる」といったように、不可能なことについても虚偽の情報を提示する業者です。
利用者の多くは銀行、事業ファイナンス会社に断らていることが多く、ファクタリングを受けることすら不可能ではないかと考えているケースが多く、このような甘い言葉を受け止めてしまいがちです。
2:買取価格や手数料をなかなか言わない
悪質なファクタリング会社には、買取価格の目処や手数料をなかなか言わないケースが多いです。
このケースの場合、想定される狙いは、利用者の時間を奪うことです。
利用者の時間を奪うと利用者は他の選択肢を取りえませんし、また時間をかけることにより他のファクタリング会社でも同様に時間がかかると考え、結論がでるまで身動きがとれなくなります。
3:こちらの期日ギリギリまで追加資料を提出させ引き伸ばしをする。
「2」と絡む話になりますが、この狙いは「どのような条件になろうとも、今相談しているファクタリング会社しか利用できない条件を作り上げること」が目的です。
特に、悪質なファクタリング会社から「大丈夫です。資金調達が実行できそうです。」と言うのを確認して、取引先等に支払の確約をしてしまうと、更に身動きが取れない状況となります。こうなってしまうとファクタリング会社の狙い通りになり、「言い値での売却や高額な手数料を支払うこと」を受け入れざるを得なくなります。
4:連帯保証人を要求する
債権の売却、つまり物を販売する側が販売する先に連帯保証を入れることはありえません。
このケースは2社間のファクタリングに多く散見されます。(まれに上場会社がバランスシート上のオフバランスを目的としてファクタリングを行い、金融機関に保証を入れるケースもありますが非常にまれです。)
2社間でファクタリングを行った場合、売掛債権の入金は、「債権の譲渡先であるファクタリング会社ではなく」、「売主である利用者に入金」されます。
このため、ファクタリング会社は利用者と債権回収代行の契約を締結することになります。
この債権回収代行契約に回収を確約させる文言と連帯保証人を徴求すれば、完全に実質的には借入になります。
例えば、売掛先が倒産した場合、通常であればファクタリング会社が未回収リスクを負いますが、このような条件で契約を行うと普通、ファクタリング会社が負うべきリスクも利用者が負うこととなります。
5: 契約書を事前に確認できない
売掛債権を売却後、ファクタリング会社がどのように取り扱うのか非常に不安になる部分です。
場合によっては、ファクタリング会社が反社会勢力に債権を譲渡する可能性も十分にありえます。
よって契約書の事前確認はファクタリング利用者にとって必須の確認事項ですが、この契約書を事前に提示しない業者も多くあります。
信じがたい話ですが、悪質なファクタリング会社の中には契約書の発行も行わない業者もあるようです。
ファクタリングの利用前に、専門家に相談して倒産回避
以上のように、安易な資金調達としてファクタリングを利用すると、取り返しのつかない事態に陥り、倒産に至るケースも多くでてきております。ファクタリングが必ずしも悪いというわけではなく、悪質なファクタリング業者が増えてきているという事です。
運転資金の補填として一度、ファクタリングを使用した企業の多くは、その利便性からファクタリングを繰り返し利用しがちです。
しかし、緊急時の「つなぎ融資」としてファクタリングを使うにしても、きちんとした資金計画を練り上げたうえで実行することを検討するべきです。
ファクタリングが経営を悪化させるのではなく、計画性のない経営が経営を悪化させるのです。
ファイナンスアイでは資金繰りが悪化し、日本政策金融公庫・信用保証協会・銀行等の金融機関に断られた中小企業の相談にも対応し、資金調達成功率98%以上の実績を成功報酬で対応しています。
ファイナンスアイの強み 大切な事は全てお客様と一緒に戦った実戦経験で学びました。 記事・コンテンツの監修者 株式会社ファイナンスアイ(経済産業省M&A支援機関登録済) 大手の金融機関・上場企業の財務部門責任者などを歴任し、2014年にファイナンスアイを創業。業界歴30年・創業10年のベテラン。中小企業・個人事業主・起業家と一緒に、現場で泥臭く汗をかいて靴をすり減らして財務を軸に経営者を支援し続け、のべ10,000人以上の圧倒的な実戦経験を持つ。ノウハウを「ファイナンスアイ式メソッド」として確立。中小にはびこる悪質なM&Aの被害をなくすために、M&A支援も本格化。売手・買手のいずれの立場からも真のM&Aを提供。現在も毎月150件以上の新規相談に対応し、毎週セミナーも開催中。日本経済のために今日も邁進しています。
代表取締役 田中 琢朗(たなか たくろう)