資金繰りとは?事業者なら押さえておきたい経営の基礎知識

資金調達-創業融資

資金繰りとは?事業者なら押さえておきたい経営の基礎知識

2023年4月6日

経営には資金繰りが必須であり、事業者なら押さえておきたい基礎知識の1つでもあります。「資金繰り=融資を受けること」とイメージされる方が多いですが、融資は資金繰りで必要な手段のひとつであって、融資を受けること自体が資金繰りという解釈は正しくありません。

資金繰りを正確に理解し、管理できていれば、資金が無くなってしまうリスクを防ぎながら事業を続けていけるでしょう。本記事では、資金繰りの基礎知識を詳しく紹介していきます。

資金繰りとは

資金繰りの管理とは、これからの資金の出金・入金を把握し、資金が不足して支払いができない状態とならないように、表を作成して見える化し、調整できるようにすることです。

売上が現金や即日の銀行振込で入金される方法ではなく、月末締め・翌月払いなど入金まで1〜2カ月かかる場合、手元の資金に余裕がないと支払い能力がなくなってしまうおそれがあります。

資金繰り管理をせずに「売上は確保しているから大丈夫」と思っていても、予想以上に支払いが必要になり、従業員への給料や取引先への支払いができなくなる時に気づくことになりかねません。

会社として支払う義務があるものは、不足なく支払えるよう、資金繰りをして先々の出金・入金の状況を把握しましょう。

資金と利益は同じではない?

円滑に資金繰りを進めていくうえで、資金と利益の違いについて理解しておく必要があります。資金と利益を同じものだと認識していると、支払うべきタイミングで資金が足りない事態に陥ってしまうおそれがあるため、確実に違いがわかるようにしておきましょう。

資金とは

資金は、すぐに引き出し可能な現金・普通預金・当座預金を意味します。売却しなければキャッシュ化できない設備や不動産、回収までに時間がかかる売掛金などは、資金に含まれません。

そのため、資金が枯渇した場合、支払いに使えるお金がないので、突然の支払いや従業員への給料などが支払えなくなります。支払えない事態とならないように資金繰りを行い、現在の資金はどれほどあって、今後いつ・どれだけの資金が必要かを把握しておくことが大切です。

支払い能力がない状態が続けば、取引の停止や従業員の解雇が必要になり、事業が続けられなくなる可能性もあります。いつでも支払いができるよう、余剰に資金を確保しておきましょう。

利益とは

利益は、確定申告の際に必要な損益計算書で計算され、事業年度ごとの売上高から、仕入れ原価や経費を引いて出る金額です。

計算する売上高は、売上が発生した時点で計上されるため、現金や普通預金に実際に入金になった金額のほか、売掛金など未回収の金額も売上に含まれています。

そのため、認識しているよりも支払いで使えるお金が少なく、支払い能力が乏しい場合があるため、利益ではなく資金の金額を認識しておかなければいけません。

資金繰りとキャッシュフローの違い

資金繰りと同じものと認識される場合が多いですが、資金繰りとキャッシュフローは、作成する目的に明確な違いがあります。

資金繰り・経営者のために作成する
・これから出入りのある売上や支出を記載したもの
・経営者が資金の不足が発生しないかを確認するために必要
キャッシュフロー・主に投資家のために作成する
・お金の増減のバランスを表したもの
・増減の理由を「営業活動(本業)・投資や資産の売却・借入や増資」に分けて表す
・投資をするかの判断材料となる

キャッシュフローを確認するキャッシュフロー計算書は、上場会社は作成する義務があるものとして法律で定められています。

会社を経営するうえで欠かせないものであるものの、あくまで投資家に向けた情報であって、日常的に経営者が確認するには手間とコストがかかります。

資金繰りが悪化する原因

資金繰りが悪化してしまうのは、以下のような原因があります。

資金繰り悪化の原因

・赤字経営

・売上の急激な増加

・売掛金の回収が遅い

・過剰在庫

・得意先の倒産

・資金繰りの管理不足

以下より、それぞれの原因について詳しく解説していきますので、資金繰りが悪化する前に対処しましょう。

赤字経営

創業して間もない場合は、一時的な赤字となる場合が多いですが、赤字が長期間続くと資金繰りが悪化します。

利益が出ない間でも、家賃の支払いや経費などの発生を止めることはできません。赤字が継続する期間も経営を行うためには、事前に足りなくなる資金の予測をする必要があります。

売上の急激な増加

売上の減少だけでなく、急激な売上の増加によって資金繰りが悪化するケースがあります。サービスや商品を提供する取引が増えると、取引に必要な人材や商品を確保しなければならず、支払いが売上とともに増えてしまうためです。

売上の金額増加だけ見ていると安心しがちですが、いつ、どれだけの支払いが必要かも冷静に把握しておかなければいけません。これまでの期間より急激に売上が増加した場合は、資金繰りが悪化するおそれがある点を頭に入れて、お金の出入りに注意しましょう。

売掛金の回収が遅い

売掛金の回収が翌々月末など、売上発生時点から遅いタイミングでしか回収できない場合、資金繰りが悪化するおそれがあります。いつでも引き出せる資金に余裕があれば問題ないですが、余裕がない場合、出ていくお金の方が多くなる可能性があるためです。

売掛金の回収が遅い場合、回収ができるまでに必要な支払いの額を把握し、資金不足とならないように注意しなければいけません。

過剰在庫

提供するために仕入れた商品の数が多く、過剰在庫となっている状態では、必要以上に管理代がかかり、資金繰りが悪化する原因となります。

また、商品によっては一定の期間が過ぎたら商品価値が下がり、値下げや廃棄が必要になるため、売上に繋げられない可能性が高いでしょう。売上が増えず抱えている在庫だけが増えていけば、出ていくお金だけが増えていくため、資金繰りが悪化する前に改善が必要になります。

得意先の倒産

資金繰りが悪化する原因には、経営者や自社だけでなく、得意先の倒産も含まれます。多くの売上に関与していた得意先が倒産すれば、次の取引先を探すまで売上は減り、場合によっては赤字となるでしょう。

取引のある会社について常に情報を収集し、倒産などの不測の事態に対応できるように備えておくことが大切です。

資金繰りの管理不足

資金繰り表を作成していなかったり、最新の情報を反映させていなかったりすると、収支のバランスがわからず、資金繰りが悪化する可能性があります。

収支のバランスを把握していなくても好調であるうちはいいのですが、ビジネスとは、いつ何が起きるかわからないものです。

もし気づかないうちに赤字経営となっていた場合、対応が遅れ、改善できるチャンスを逃すおそれがあります。経営が好調であっても慢心せず、資金繰りの管理は続けるようにしましょう。

資金繰りを改善する方法

資金繰りが悪化した場合、以下の方法で改善に向けて動きましょう。

資金繰りの改善方法

・資金繰り表を作成する

・資金を調達する

・売上最大・経費最小を徹底する

・入金は早く支払いは遅くを徹底する

・決算書を読めるようにする

以下より、それぞれの改善方法について詳しく解説していきます。

資金繰り表を作成する

お金がいつ入ってきて、いつ出ていくのかを把握するには、資金繰り表の作成が必要です。資金繰り表を作成しておけば「◯月◯日に100万円の支払いが必要だから、資金を確認しておこう」と、事前にチェックできます。

もし、支払いに必要なお金が用意できなかったり、赤字となる予測ができたりする場合は、売掛金の回収を早めるなどの対策が可能です。

ほかの改善方法を実践するためにも、資金繰り表は必須になります。自分で作成が難しいのであれば、税理士など専門家に作成を依頼しましょう。

資金繰り表の作成方法について、こちらの記事でも解説しています。

資金を調達する

資金繰りが悪化傾向にあるなら、新しく資金を調達して、手元の資金を増やしましょう。資金の調達は、以下の方法があります。

資金調達の方法

・銀行からの融資

・新株を発行する

・活用できる補助金や助成金を活用する(国や自治体など)

・ファクタリング

・クラウドファンディング

資金繰りの状況によって選ぶべき方法は異なりますが、資金にまだ余裕があるのなら、銀行からの融資や補助金・助成金の活用がおすすめです。

ファクタリングは手数料がかかる点、クラウドファンディングは資金が集まらない可能性がある点に、それぞれ注意しましょう。

売上最大・経費最小を徹底する

銀行からの融資などで資金を調達する方法もありますが、事業の根本的な改革として、売上最大・経費最小を徹底することが大切です。一時的に資金を調達できても、売上が少なく経費が多いのでは、また近い将来資金繰りが悪化します。

安定した黒字経営となるよう、資金繰り表をチェックし、削減できる経費がないか、売上を伸ばすために必要なことはなにかを見直しましょう。

入金は早く支払いは遅くを徹底する

売上が発生した時点から1日でも早く入金されるように、売掛金の回収日を見直し、支払い日は遅くできるように徹底しましょう。営業活動に必要な支払いや定期的にかかる固定費を、売上で回収した資金で支払えば、資金繰りが悪化することはありません。

しかし、入金が遅く支払いが早いと、手元の資金から支払う必要があります。手元の資金が減れば、資金繰りの悪化の原因となるので、付き合いが長い得意先や新規の取引先から交渉し、入金日と支払日の改善を進めましょう。

決算書を読めるようにする

確定申告に必要な決算書(損益計算書や貸借対照表)を読めるようにすることで、資金繰りの改善ができます。決算書を読めないと、なぜ資金繰りが悪化しているのかを自分で理解できません。原因が理解できなければ、改善に動き出せず、対応が遅れてしまいます。

作成は税理士に任せることもできますが、決算書の仕組みや、記載されている数字の根拠をひととおり理解しておくことは大切です。長く事業を続けていくために必要な基礎知識となるので、早めに決算書の知識を頭に入れておきましょう。

資金繰り表の作成方法とポイント

実際に資金繰り表の作成を進める方のために、作成方法やポイントについて解説していきます。

資金繰り表の作成に必要なもの

資金繰り表の作成には、以下のものが必要です。

資金繰り表の作成に必要なもの

・決算書(損益計算書と貸借対照表)
・融資の返済予定表
・月ごとの試算表
・現金と預金の出納帳

多くの方は、パソコンのエクセルや、会計ソフトを使って作成しています。日本政策金融公庫では、中小企業事業者向けに資金繰り表の雛型をエクセルデータで公開しているので、会計ソフトを使っていない場合は活用してみてください。

>>日本政策金融公庫|経営計画策定に役立つ各種資料について|資金繰り表

資金繰り表作成の流れ

資金繰り表の雛型や会計ソフトを準備できたら、表の作成を以下の流れで進めていきます。

項目内容
1:売上・発生日ではなく「入金日」で記載する
・損益計算書とは記載する日付にズレが生じる点に注意
2:売上以外の入金・補助金や助成金の活用などで入金がある場合に、入金日を記載する
3:営業・販売に必要な支出・売上を出すために必要な商品の仕入れやサービスの提供にかかった支出の「支払日」を記載する
・損益計算書とは記載する日付にズレが生じる点に注意
4:人件費の支出・従業員に支払う給料の「支払日」を記載する
・退職金や賞与など一時的な支出も含める
5:家賃や光熱費などの支出・営業や販売に必要な支出や人件費以外にかかる家賃や光熱費、消耗品などを記載する
6:法人税・消費税などの支出・事業をするうえで支払うべき税金の支払日を記載する
7:設備など固定資産の入金・支出・オフィスや倉庫などで使用する設備を売却したり、購入したりする際に発生する入金と支出を記載する
8:借入の入金・返済・融資などで借り入れが発生した場合は、入金日を記載する
・借入金の返済をした際は支払日を記載する
9:完成-

記入する項目が多いですが、流れを覚えれば、短時間で作成ができます。

資金繰り表作成時のポイント

資金繰りを作成していく際に、入金や出金のタイミングが正確に判明していないときは、入金であれば遅めに、出金であれば早めに予想されるタイミングで記載しておきましょう。

心理的に入金は早め・出金は遅めで記載したくなりますが、資金が不足する最悪のケースに備えるためには、入金は遅め・出金は早めで記載する必要があります。

また、自分が予測したタイミングと、実際に入金・出金があったタイミングが合っていたかをチェックすることも必要です。

もし予測と異なっていれば、予測できなかった理由はなぜなのか、必ず分析しましょう。原因まで突き止めるようにしておけば、タイミングがわからない入金・出金について正確な判断ができるようになります。

資金繰り表は黒字となるように作るのではなく、事業を続けていくための経営判断材料として作りましょう。

まとめ

資金繰りとは経営者が事業を始め、続けていくために、入金・出金の流れを把握するためのものです。管理を怠っていると、知らない間に赤字経営や経費による経営圧迫などが起こり、資金繰りが悪化します。

資金繰り表を作成していれば改善に向けて動き出せますが、問題が起こってから後手で作成を始めるのでは、状況はどんどん悪化してしまうでしょう。事業を続けていくためにも、いつ入金があって、いつ出金があるのかを把握できる資金繰り表を早期から作成すべきです。

また、事業を始めるための創業融資を受けるには、資金繰り表の提出が求められます。税理士や金融機関の担当者と打ち合わせをしながら、作成方法を理解し、創業計画の資金繰り表の作成から始めましょう。

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記事・コンテンツの監修者

起業創業開業の資金調達コンサルタント

株式会社ファイナンスアイ(経済産業省M&A支援機関登録済)
代表取締役 田中 琢朗(たなか たくろう)

大手の金融機関・上場企業の財務部門責任者などを歴任し、2014年にファイナンスアイを創業。業界歴30年・創業10年のベテラン。中小企業・個人事業主・起業家と一緒に、現場で泥臭く汗をかいて靴をすり減らして財務を軸に経営者を支援し続け、のべ10,000人以上の圧倒的な実戦経験を持つ。ノウハウを「ファイナンスアイ式メソッド」として確立。中小にはびこる悪質なM&Aの被害をなくすために、M&A支援も本格化。売手・買手のいずれの立場からも真のM&Aを提供。現在も毎月150件以上の新規相談に対応し、毎週セミナーも開催中。日本経済のために今日も邁進しています。

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