美容室の開業資金はいくら?相場や内訳について解説

資金調達-創業融資

美容室の開業資金はいくら?相場や内訳について解説

2023年10月11日

美容師は、多くの店舗でスタッフとしての実績を積んだ後は、開業に乗り出す方が多いです。しかし開業には、これまでの美容師業とは異なるスキルや知識が必要になるため「どうやって準備を進めていけばいいの?」と悩む方も少なくありません。

今回の記事では、美容室の開業資金の大まかな金額や資金調達の方法、融資の準備方法や開業までのプロセスを紹介します。この記事を参考にすれば、はじめての美容室の開業をスムーズに進めることができます。

 

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美容室の開業資金の相場

美容室の開業資金は、おおむね店舗の広さに比例して高額になっていきます。開業資金だけでなく、店の規模が大きいとスタッフの雇用も必要になり、人件費や家賃などの運転資金も高くなりがちです。

資金不足に陥ることのないよう、開業する地域の人口動態や競合の美容室の状況などをふまえて、期待できる客数に合った規模で開業しましょう。

10坪の場合

10坪で開業する場合の相場は、次のとおりとなります。

美容室を10坪で開業する場合の相場

  • 物件取得費:110万円
  • 内外装工事費:400万円
  • 美容機器:80万円
  • 設備代:30万円
  • 備品代:20万円
  • 広告宣伝費:20万円
  • 運転資金:100万円
  • 合計:760万円

10坪で開業する場合には、当面は自分ひとりでも店舗を経営することは可能です。必要最低限のスペースと設備で、コンパクトに開業できます。

上記は、比較的安価に済ませたケースを想定しているため、都心部の家賃が高い地域に開業する場合や、店舗の内装にこだわった場合などには想定以上の費用がかかる可能性があります。多くのことにこだわり過ぎなければおおむね700万円~1,000万円程度におさまるケースが多いです。

15坪の場合

15坪で開業する場合は、次のとおりです。

美容室を15坪で開業する場合の相場

  • 物件取得費:165万円
  • 内外装工事費:600万円
  • 美容機器:120万円
  • 設備代:45万円
  • 備品代:30万円
  • 広告宣伝費:30万円
  • 運転資金:125万円
  • 合計:1,115万円

15坪で充分な売上をあげるには、同時に複数人のお客さまに対応して、回転率をあげる必要があります。スタッフは、最低でも2人以上いる状態で開業するのが望ましいでしょう。

ここでは、運転資金以外は10坪のケースの1.5倍と仮定して計算しています。物件取得費や内外装工事費は、実際に物件の広さに比例しがちな費用です。

また、店舗が広くなるにつれて設備や必要な材料も多くなるため、美容機器、材料代、備品代についても、ある程度店舗の広さに比例すると仮定して問題ありません。

広告宣伝費についても、店舗が広ければ多くの顧客を呼び込む必要があるため、簡易的に広さに比例させていますが、Web広告などをうまく活用すれば、低コストで運営する余地はあるでしょう。

店舗の家賃が高い場合や、内外装に費用をかけたケースまで想定すると、1,050万円~1,350万円におさまる可能性が高いと考えられます。

20坪の場合

20坪で開業する場合は、次のとおりです。

美容室を20坪で開業する場合の相場

  • 物件取得費:220万円
  • 内外装工事費:800万円
  • 美容機器:160万円
  • 設備代:60万円
  • 備品代:40万円
  • 広告宣伝費:40万円
  • 運転資金:150万円
  • 合計:1,470万円

20坪で開業する場合には、スタッフは3人程度必要です。ここでは、スタッフは知人・家族などでまかなうとして、開業時点では求人には費用がかからないと仮定しています。

物件取得費から広告宣伝費までは、先ほど同様店舗の広さに比例すると仮定して、10坪のケースの2倍としています。運転資金については、売上が安定的に入ってくるまで経営を継続するために必要な費用を織り込んでいます。

家賃が高い場合や、内外装の工事が高額になったケースなどを加味すると、1,400万円~1,800万円の範囲がひとつの目安となるでしょう。

美容室の開業資金の内訳

美容室の開業資金では、多くの項目の費用を用意しておく必要があります。闇雲に準備をして資金不足になっては大変なので、必要な費用を整理して、あらかじめ予算を立てて準備することが重要です。ここからは、美容室の開業資金の内訳について詳しく解説していきます。

美容室の開業準備は、たとえ個人店舗でもノウハウなしに進めるのは容易ではありません。予算策定や開業の経験がない方は、プロのコンサルタントのサポートを依頼するのも一案です。

ファイナンスアイでは個人の店舗開業や店舗経営のサポートにおいて豊富な実績を持っています。ひとりでの美容室創業に不安を感じている方は、ぜひ一度相談してみてください。

物件取得費

物件取得費は、店舗として運営するための場所を確保するための費用です。テナントを借りて賃料を支払いながら、店舗を経営していく場合が多いといえます。

テナントを借りる場合には、次のような費用を用意する必要があります。

美容室開業の物件取得費

  • 前払賃料:家賃1か月分
  • 敷金もしくは店舗保証金:家賃3〜10か月分
  • 礼金:家賃1か月分
  • 仲介手数料:家賃1か月分

家賃の6か月~13か月分が、開業時の物件取得費の目安です。たとえば家賃が20万円の物件なら、120万円~260万円が物件取得費としてかかる計算となります。ひとつの目安ではありますが、物件取得費は開業費用全体の10%~15%程度を占めるのが一般的です。

なお、開業後売上が入り始めるまでの期間に支払う賃料は「運転資金」に含めていますので、物件取得には加味しません。

賃料

賃料は店舗を借りていると月々発生するもので、家賃と呼ぶケースもあります。賃料は、都市の発展度合いや立地によって、大きく変動する要因です。たとえば、主要都市の1坪あたりの平均賃料は次のとおりです。

主要都市の1坪あたりの平均賃料

  • 札幌:16,217円
  • 仙台:14,177円
  • 首都圏:27,992円
  • 名古屋:17,263円
  • 大阪:18,081円
  • 福岡:17,523円

※2023年8月31日時点

仮に10坪のテナントを借りるとすると、月14万円~28万円程度かかる計算となります。とくに首都圏は高地価な地域が多く、突出して賃料が高額になる傾向にあります。立地がよく、人口が密集していれば集客がしやすい一方で、開業資金の予算が高額化します。

また、賃料を過度に節約して、人が少ない地域の物件を借りると、集客の難易度が高くなります。準備できる開業資金と集客のしやすさのバランスを取って、適切な物件を選ぶようにしましょう。

空家賃

空家賃とは、契約後入居するまでの期間の家賃を表します。仮に、契約日と入居日が一緒であれば空家賃はゼロとなりますが、日にちにずれがあれば、その分だけ空家賃が発生することになります。入居や開業タイミングをうまく契約日に合わせることで、空家賃を減らせるでしょう。

また、オーナーによっては交渉によって空家賃を減らしたり、一定期間のあいだ家賃がかからないフリーレントとしてくれたりする場合もあります。開業資金を少しでも節約したいなら、オーナーや不動産の仲介業者に相談してみましょう。

敷金・保証金

敷金や保証金は、店舗の破損や汚損があったときなどに修復するための費用として、オーナーに差し出す資金です。借主が原因で生じた修繕が少なければ、退去時に返金されますが、クリーニング費用などの名目で、一定額が徴収される場合もあります。

敷金・店舗保証金は、住居用の賃貸と比べて、高額かつ物件により格差が大きいので注意しましょう。開業資金を圧縮したいなら、家賃の低い物件を探すほか、敷金・店舗保証金が少ない物件を探すのも一案となります。

礼金

礼金は日本の賃貸の慣行として、入居時にオーナーに支払う費用です。こちらは敷金・保証金と異なり、退去時に返却されることはありません。家賃の1か月程度が目安ですが、2か月程度徴収するところや、逆に礼金ゼロとしてくれるオーナーもいます。

仲介手数料

仲介手数料は、テナントを探し、契約を仲介してくれる不動産業者に支払う費用です。仲介手数料は、おおむね家賃の1か月程度が目安です。

自力でオーナーと契約すれば発生しない費用ではありますが、個人で適切な店舗物件を探すのは難しいため、物件のあてがないのであれば、不動産業者を活用するのが無難といえます。

内外装工事費

美容室を開業するにあたっては、内装・外装を整える必要があります。通常は、施工業者に依頼して、自分のデザインや機能に関する希望を伝えたうえで、工事を進めてもらいましょう。

工事の規模や施工業者によって、費用は大きく変化します。開業資金の上振れを抑えるために、過度に割高な業者は避けた方がいいですが、安すぎる業者も工事品質に不安があるため避けましょう。

店舗経営の場合、内外装工事費は開業資金の最も多くを占めるケースが多く、開業資金全体の50%~60%が目安です。

内装費

店舗内を整備する工事を内装費といいます。そもそもテナント物件は、店舗が完全に空になった「スケルトン物件」と一定の設備が残った「居抜き物件」があります。

スケルトン物件では、美容室に必要な設備をすべて整備する必要があるので、相対的に施工費用が高くつくケースが多いです。坪単価25万円~50万円程度がひとつの目安で、10坪なら250万円~500万円程度かかります。

居抜き物件なら、美容室運営に必要な設備をそのまま使えるとすれば、施工コストを抑えられます。この場合は、坪単価で12万円~20万円、10坪で120万円~200万円が目安です。

外装費

外装は、主に店舗の外観や看板設営などを行う施工です。大規模な店舗でない限り、内装と比較して施工箇所は少なく、とくに商業施設に入居する場合などにはほとんど外装工事が発生しないケースも考えられます。

内装・外装一括で施工できる業者がいれば、その業者に任せた方が、費用や手間を減らせるでしょう。

美容機器費

美容室でサービス提供に必要な機器全般は、調達・設置しなければなりません。最低限必要な機器としては、以下のようなものが当てはまります。

美容機器の例

  • スタイリングチェア
  • シャンプー台と鏡
  • トリートメントやパーマなどの専用機材
  • ドライヤー
  • ヘアアイロン

これらは、おおむね開業資金の10%程度が目安です。店舗規模が大きくなれば必要な機器の数も増えるため、基本的には、店舗面積に比例すると仮定して試算しましょう。

設備費

設備のうち、内装工事で対応せず別途設置するものの費用です。予算を考える際には、たとえばエアコンや待合室の内装など、内装工事で設置されるものと重複しないように注意しましょう。

設備費の例

  • パソコン
  • 洗濯機
  • レジ
  • ワゴン

など

パソコンや洗濯機などは、高品質なものを選べば費用が比例して膨れ上がるので、開業資金とのバランスに注意してください。次の備品と合わせて、開業資金全体の5~10%に抑えるのが理想です。

レジなどは、最近はサブスクリプション形式で機材を購入せず、低コストで導入できるサービスなどもあるので、賢く活用して開業費用を抑えてください。

備品費

ここまでに含まれていなかった、美容室経営に必要な消耗品類です。資材不足でサービス提供が滞ることのないよう、あらかじめ余裕を持った数量を準備しておき、事業が回り始めて数が減ってきたら、随時補充していきましょう。

たとえば、以下のようなものが該当します。

備品費の例

  • シャンプー、トリートメント類
  • パーマやカラー剤など各種薬剤や消耗品
  • タオル、クロス、ケープ
  • イヤーキャップ
  • コーム
  • ハケ

広告宣伝費

広告宣伝費は、開業資金のなかで軽視しがちですが、早期に顧客を捉えて売上を計上していくためには、開業前から積極的に広告・宣伝を行うことが重要です。開業資金に占める割合は数%とわずかにとどまることが多いものの、一定の資金を投じて店舗の周知を進めましょう。

ロゴ

店舗の認知度向上やブランディングに役立つロゴを制作しておきましょう。ロゴは店舗の看板やチラシ、Webサイト上で店舗を象徴する存在となります。奇抜すぎず印象に残る、店舗の顔としてふさわしいロゴをデザインしてください。

ロゴはフリー素材を活用して自作することもできますが、専門のデザイナーに頼む場合には、一定の費用がかかります。それでもクラウドソーシングなどで依頼すれば、1~3万円程度の安価で制作可能です。制作会社やデザイン事務所を利用する場合には、10万円程度はかかるでしょう。

ショップカード

ショップカードとは、街頭で配ったり店舗に置いたりして、店舗の立地や営業時間、連絡先などを周知するためのカードです。もらった人が印象に残り、かつ店舗の情報が一目でわかるようデザインを工夫しましょう。

来店数に応じて割引などを行うような、ポイントサービスを導入する場合には、ポイントカードも作る必要があります。ただし、ペーパーレス化の時代のなかでポイントカードを作らない店舗も増えてきているので、集客上の重要性をふまえたうえで要否を検討してください。

ポータルサイト

美容系のポータルサイトに登録しておくと、サイトから検索して美容室に訪れる人を獲得できるため、集客効果が期待できます。掲載費用は非公開のところもありますが、たとえばBeauty Parkなら月額3,300円~33,000円です。

リーズナブルなプランから低コストで始めるのが望ましい一方で、集客力を高めるためでは、複数のポータルサイトに登録する必要があります。月額1万円~数万円程度はかかるとみておいた方がよいでしょう。

ホームページ

近年はWeb上から店舗を知ったり、予約したりするお客さまも少なくありません。店舗を開業する前に、あらかじめ店舗用Webサイトを用意しておきましょう。事業者やスタッフにWebデザインのスキルがないのであれば、ホームページ制作や運営を依頼する必要があります。

費用はホームページの機能性にもよりますが、店舗用の小規模なものなら10万円~20万円程度がひとつの目安です。また、更新や管理にも月数万円程度費用がかかります。

ホームページの制作・運営コストが気になるなら、基本的なWebデザインの知識をつけて自作してしまうのもひとつの考え方といえるでしょう。自分たちで制作・管理できる場合には、コストは月数千円のサーバー費だけで済みます。

求人費

求人費用は、自分だけもしくは自分と知人だけで起業する場合には、求人費はかかりません。そのため、冒頭の目安には求人費を含めていません。もし開業時点から別にスタッフを雇う場合には、求人費を見積もっておく必要があります。

なお、採用にかかる費用の目安は次のとおりです。

求人費の例

  • 中途採用:62.5万円
  • 新卒採用:53.4万円
  • パート・アルバイト採用:5.1万円

雇用スタッフの当面の給与については、運転資金の一部として見積もるのが一般的です。

運転資金

運転資金は、事業が軌道に乗れば売上から捻出していきますが、開業からしばらくは、予算どおりの売上を計上するのが困難です。想定外の費用上振れなどにも柔軟に対処できるよう、開業資金には、当初の運転資金を含めておく必要があります。

開業資金の目安は、月次のランニングコストの3か月分です。開業資金の全体の10%~15%程度は、当面の運転資金として確保しておきましょう。また、運転資金には次のような費用が含まれます。

運転資金の例

  • 賃料
  • 水道光熱費
  • 人件費
  • 広告宣伝費
  • 通信費
  • 消耗品の材料費
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こちらの記事では、開業資金と運転資金の違いを説明するほか、運転資金のさらに詳細な内訳を解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

開業資金を調達する方法

美容室の開業資金を調達する方法は、大きく分けて次の3つに分類されます。

開業資金の調達方法

  • 自己資金を貯める
  • 親族や知人から借りる
  • 融資を受ける

できるだけ自己資金を多く確保するのが望ましいものの、開業には多額の資金が必要なため、すべて自己資金というわけにはいかない方も多いでしょう。多くの美容室オーナーが融資や親戚・知人からの借金をうまく活用して、開業資金を確保しています。

自己資金を貯める

自己資金が開業資金の土台となります。サラリーマンや別店舗でのスタッフ勤務などを通じて収入を得て、一部を自己資金として貯めておくのが一般的です。

とくにこの後紹介する融資においては、自己資金の厚みが審査において重要な評価ポイントのひとつとなります。また、事業規模に対して自己資金が多ければ、元利金の返済負担が重くなりにくいため、少々の経営悪化も乗り切りやすくなるでしょう。

多いに越したことはないですが、最低でも開業資金全体の20~30%は自己資金で充てられるようにしてください。

親族や知人から借りる

融資を受ける前に、親族や知人から借りたというケースも少なくありません。両親や兄弟、応援してくれる友人など、資金を貸してもらえるあてがある場合には、相談してみましょう。

ただし、あとで返済に滞ると人間関係にひびが入る場合もあります。ときには、金銭にまつわる深刻なトラブルとなる場合もあるので、あくまで必要最低限度の額に留めるようにしましょう。

また、親しい仲の借金といえど、利息をつけて返済計画を書面に残すことをおすすめします。利息なしで返済計画が不明瞭な借金は、贈与と疑われて贈与税の課税対象となるおそれがあります。返済予定が明確な借入であることを証明できるようにしておくことが大切です。

融資を受ける

自己資金だけでは開業資金が足りない場合には、金融機関から融資を受けるのが一般的な方法です。開業融資は、金融機関から見ると事業の安定性・成長性の観点から、リスクの高い貸し付けとなるため、利用できる手法が限られています。

基本的には、日本政策金融公庫の新創業融資制度を活用するか、銀行など民間の金融機関で信用保証協会付融資を利用する方法に絞られます。いずれの方法にしても、審査においては自己資金の厚みが重視されます。ある程度自己資金を確保したうえで、融資を申し込んでください。

日本政策金融公庫の新創業融資制度

日本政策金融公庫では、新たに事業を始める方向けに、新創業融資制度という融資を行っています。こちらは、審査結果次第で無担保・無保証でも融資が受けられる可能性がある制度です。

通常の融資制度の場合は、限度額が7,200万円(うち運転資金が4,800万円)までとなっています。よほど大規模な美容室でない限りは、開業資金の調達に充分でしょう。

返済期間は設備資金が20年以内(据置期間2年以内)、運転資金が7年以内(うち据置期間2年以内)となっています。条件次第では、長期での借入が可能です。

民間金融機関の信用保証協会付融資

銀行などの民間金融機関を利用する場合、融資実績がない状態で開業資金の融資を無担保・無保証で受けるのは困難です。そのため、信用保証協会の保証を付与した形で融資を受けるケースが一般的です。

信用保証協会は、全国および一部の都市にある機関で、その地域の中小企業や個人の資金調達を促進するために保証業務を行っています。

債務返済が滞ったときには、信用保証協会が代位弁済をするため、金融機関としては資金回収のリスクが低減します。そのため、事業実績のない開業資金でも融資を受けられる可能性があるのです。

開業資金の融資の審査をスムーズに通過させるには、納得感の高い事業計画書の作成や面談準備などが大切です。個人が自力ですべての準備を進めるのは容易ではないため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

ファイナンスアイでは、美容室をはじめさまざまな個人店舗の開業資金の融資サポートやコンサルティングを行っています。開業資金を融資で調達しようとしている方は、ぜひ一度ご相談ください。

融資を受ける際に必要なものと流れ

融資を受けるためには、あらかじめそれぞれの審査を受けるうえで、必要な書類などを準備して提出しなければなりません。書類をひととおり準備したあとに審査を申し込み、書類審査や面談を受けることになります。

審査が完了して入金されるまでには1か月前後時間がかかるため、資金が必要になるタイミングから逆算して、早めに融資手続きを開始してください。ここからは、日本政策金融公庫の新創業融資制度と信用保証協会付融資に分けて、それぞれの必要書類や流れについて紹介します。

公庫の創業融資

まずは、日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用する場合の必要なものと流れについて説明します。融資を受けようと考えている方は、必要書類を準備したうえで日本政策金融公庫に連絡してください。

必要なもの

新創業融資制度を受けるうえでは、以下の書類が必要です。多岐にわたりますが、不備があると審査が滞るほか、評価が下がる原因となるため、事前にすべて準備しておきましょう。

借入申込書

融資を受ける方の基本情報や借入条件の希望などをまとめた申込書です。

創業計画書

いわゆる事業計画書にあたるもので、以下のような情報をまとめたものです。

創業計画書の情報

  • 創業の目的
  • 経営者の略歴
  • 取扱商品・サービス
  • 必要資金や調達方法
  • 事業の売上や利益などの見通し

事業の成長性や収益性、経営者の資質などを判断するうえで参照されるため、審査においてとくに重要な書類となります。借入申込書と創業計画書のフォーマットは、日本政策金融公庫の各支店やホームページからダウンロードできます。

月別収支計画書(資金繰り計画書)

開業後の売上高や仕入れ高、経費や利益を算出根拠とともに月次でまとめたものです。必須書類ではありませんが、作成しておくと収支計画の信憑性が高まるため、審査においてプラスに働きます。

見積書(資金使途が設備資金の場合)

設備に関する購入予定先や施工予定がまとめられた見積書です。購入予定先や施工業者が作成してくれます。

不動産の登記簿謄本もしくは登記事項証明書

不動産を担保に入れる場合に必要となる書類で、法務局で入手可能です。

以上が申し込み時点で必要となる書類ですが、面談時には、次から説明する書類の提出をしばしば求められます。あらかじめ準備しておくとスムーズに審査が進むでしょう。

創業計画書や月別収支計画書の計算根拠となる資料

根拠があったほうが、各計画書の信憑性が向上します。

預金通帳

6か月以上の履歴が記録されていて、かつ公共料金、住宅ローン、家賃やカード利用額が引き落とされた口座のものを提出しなければいけません。

自己資金の額、蓄積状況がわかるもの

有価証券など預金以外の形になっている資産があれば、該当する資産の存在が確認できる書類を出します。

そのほか、以下のような書類もしばしば提出を求められます。

その他の資料

  • 各種ローンの支払明細
  • 固定資産課税明細書と固定資産税の領収書(不動産を所有している場合)
  • テナントとなる物件の賃貸借契約書
  • 勤務時の源泉徴収票
  • 本人確認資料(免許証やマイナンバーカード、パスポートなど)

融資の流れ

融資の流れは、以下のような形となります。

step
1
融資相談

step
2
申し込み

step
3
面談

step
4
実地確認(必要に応じて)

step
5
審査結果の通知

step
6
融資実行決定後の手続き

まずは、近隣の日本政策金融公庫に出向くか、電話で相談するなどして融資相談を行います。開業予定の業種を説明しつつ、必要書類などについて事前に確認しておきましょう。

続いて、必要書類をまとめたうえで、融資を正式に申し込みます。申込は店舗でも郵送でも可能ですが、郵送する場合には記載ミスや不備の修正に時間がかかるため、とくに注意深く書類を準備してください。

申し込み後、数日をめどに面談の通知が郵送されます。面談通知には、面談の日時と必要書類が記載されているので、準備を進めてください。面談では、事業計画の信憑性や経営者のスキル、業界知識に対する理解度などを審査します。

また、創業に対する熱意や本気度なども審査結果に影響をあたえます。基本的な内容については事前に回答内容を準備しておき、納得の得られる回答がスムーズにできるようにしておきましょう。

面談後には、必要に応じて、店舗や事業所の実地確認が行われます。設備の説明などの目的で、同席を求められる場合もあります。

以上の手続きを経て、公庫内で審査が行われ、融資の可否や融資条件が調整されます。融資が可能となれば、申込人に融資条件が提示される流れです。条件に問題がないことを確認したうえで、正式に契約を締結したら、融資の手続きは完了です。

信用保証協会付融資

信用保証協会付きの融資を受ける場合も多くの必要書類があるので、事前にもれなく準備しておくことで、スムーズに審査を進められるでしょう。

また、申込から審査結果が出るまでは、1~2か月程度をみてください。信用保証協会と金融機関の双方が審査を行うため、より時間がかかる場合があります。

必要なもの

必要書類の多くは、公庫の融資を受けるときと共通しています。まずは、信用保証協会付融資においてのみ必要な書類です。

融資申込書

金融機関に融資を申し込むための書類です。基本情報や借入条件の希望などを記入しますが、フォーマットは金融機関によって異なります。

保証申込書

保証申込書は、信用保証協会の保証を申し込む際に記入するものです。協会に問い合わせてもらえるほか、融資を検討している金融機関でもらうこともできるので、融資申込書をもらうときに合わせて受け取るのがスムーズです。

フォーマットは、所轄の信用保証協会によって異なる場合がありますが、主に次のような情報を記入します。

保証申込書の記入情報

  • 申込人情報
  • 申込内容(融資の希望条件など)
  • 事業の状況(事業内容や売り上げなど)
  • 他協会の保証利用有無
  • 団信加入希望(保証協会団信に加入するかを記入)

そのほか、次の書類は、公庫の融資を受けるときと同様に必要になるものです。申込時に提出したり、面談時などに提示を求められたりします。

その他の資料の例

  • 月別収支計画書(資金繰り計画書)
  • 見積書(資金使途が設備資金の場合)
  • 不動産の登記簿謄本もしくは登記事項証明書(不動産を担保に入れる場合)
  • 創業計画書や月別収支計画書の計算根拠となる資料
  • 預金通帳
  • 自己資金の額、蓄積状況がわかるもの
  • 各種ローンの支払明細
  • 固定資産課税明細書と固定資産税の領収書(不動産を所有している場合)
  • テナントとなる物件の賃貸借契約書
  • 勤務時の源泉徴収票
  • 本人確認資料

融資の流れ

融資の申し込みや審査の流れは、次のとおりです。

融資の審査の流れ

  1. 融資相談
  2. 金融機関・信用保証協会に保証申し込み
  3. 信用保証協会の審査と面談
  4. 金融機関の審査
  5. 実地確認(必要に応じて)
  6. 融資実行
  7. 融資の返済

公庫の融資手続きと共通する部分も多いので、とくに異なる部分だけを中心に紹介します。

まず、金融機関に申し込む際に申込書や必要書類を提出するのは同様ですが、あわせて信用保証協会への保証を申し込みます。金融機関で申し込めば、信用保証協会にも通知が届き、審査が進むので便利です。

先に信用保証協会との審査や面談が実施されます。審査されるポイントは、おおむね公庫の融資審査と同様ですが、ここでは信用保証協会が保証を応諾すべきかを審査しています。

信用保証協会が保証に応諾したあとは、金融機関が審査を行います。ただし、協会が応諾した事実が加味されるため、プロパー融資と比べて柔軟に判断されます。

その後の流れはほかの融資と同様で、審査結果とともに融資条件が提示されるので、内容を承諾して融資契約を結べば手続きは完了です。

美容室を開業する際の流れ

最後に、美容室を開業する流れについて紹介します。大きく分けて、次の6つのプロセスが存在します。

美容室を開業する6つのプロセス

  1. 物件を探す
  2. 資金を調達する
  3. 保健所の許可を得る
  4. 開業届を提出する
  5. 設備や備品を購入する
  6. 集客する

それぞれのプロセスについて、詳しく紹介していきます。

1.物件を探す

融資審査を受ける際には、入居予定の物件の契約書を見せなければならないため、まず物件探しから始めます。家賃水準は開業資金の大きな変動要因となるため、ある程度予算のめどを立てて、予算内に収まる物件を探していきましょう。

また、物件の立地や品質は、開業後の集客力に大きな影響をおよぼします。以下のようなポイントに留意して、集客が見込める物件を選んでください。

物件探しの注意ポイント

  • 出店エリアの人口や年齢・性別などの構成
  • 物件のある場所の人どおりや人の流れ
  • 物件内や周辺の競合(とくに同業がはいっていないか)

適切な物件が見つかれば仮押さえし、資金調達の準備を始めます。このとき融資が通らなかった場合には、仮押さえを無条件で破棄できる状態にしておきましょう。

2.資金を調達する

資金調達の準備に入ります。まず、開業資金がいくら必要なのか計算して、自己資金額を見積ります。そのうえで、足りない部分の資金を調達しましょう。

親戚や知人から資金を借りられればよいですが、難しいケースが多いと想定されるため、銀行もしくは公庫に融資を申し込みます。入居予定の物件情報のほか、設備の見積もりが必要になる場合が多いので、大きな金額の設備については、このタイミングで見積もりを取っておいてください。

3.保健所の許可を得る

美容室は、保健所の許可が必要な事業のひとつです。保健所の許可は店舗の内装などが、基準に従ったものでなくてはなりません。

完成後に違反が発覚して、再工事となる事態を避けるために、図面の時点で保健所に相談して、必要な調整を済ませたうえで工事を進めてください。最終的には、内装が完成した段階で最終的な許可をもらいます。

4.開業届を提出する

保健所の許可がおりたあとに、開業届を提出します。美容室は個人事業主で開業するケースが多いですが、その場合は、店舗の所在地の管轄税務署に開業届(個人事業の開業届出書)を提出します。

また「所得税の青色申告承認申請書」も提出し、青色申告ができる状態にしておくことで、所得税の優遇を受けることが可能です。従業員を雇用する場合には、労災保険および雇用保険の手続きも必要になります。

5.設備や備品を購入する

内装工事の時点で大がかりな設備は設置済みですが、そのほかの備品や消耗品の購入を進めます。備品や消耗品の不足で事業が滞ることのないように、先ほど紹介した必要な備品・消耗品を、余裕を持って調達しておきましょう。

初期費用を抑えるためには、中古品の活用や、サブスクリプションサービスやリースなどを活用するのも有効です。

6.集客する

開業後に来てもらうお客さまを集める施策を打ちます。ホームページリリースやポータルサイト掲載などオンラインでの施策や、近隣でもチラシ配り、地元情報誌の広告掲載などが有効です。最近ではSNSを活用した集客を行う方もいます。

また、リピーターを獲得するために、アプリやポイントカードを通じたポイントサービスやクーポン、キャンペーンなどの施策を打つことも大切です。事業が軌道に乗ってきたら、美容室限定の整髪料やシャンプーなどの販売といったマーケティング施策を行うのもよいでしょう。

ファイナンスアイ
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こちらの記事では、美容室をはじめとして、独立開業しやすい傾向にある職種を17選紹介しています。独立開業しやすい仕事の特徴も紹介しているので、ぜひあわせてご覧ください。

まとめ

美容室の開業には多額の資金が必要なため、ほとんどの方は銀行や公庫の融資を活用して資金調達を行っています。今回の記事を参考に、必要となる開業資金を見積ったうえで、資金調達の準備を進めていきましょう。

公庫の新創業融資制度や信用保証協会付融資であれば、潤沢な自己資金があり、事業計画がしっかりしていれば、これまでの事業実績がなくとも融資を受けられる可能性が充分にあります。自己資金だけで無理に完結しようとせず、ぜひこれらの融資制度の利用を検討しましょう。

一方で、金融機関の担当者が納得する事業計画書など、各種書類の作成や面談の準備は、知見がない状態で進めるのは困難を極めるでしょう。ファイナンスアイでは、これまで美容室を含む多くの個人事業主の開業におけるコンサルティングや、開業資金の調達サポートを行ってきました。

美容室の開業や資金調達にお困りの方は、ぜひ一度相談してみてください。それぞれの状況にあったアドバイスやサポートを提供いたします。

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ご自身で資金調達の対応をする前に、まずは融資支援のプロである私に一度ご相談ください。相談頂ければ、アナタの成功のために必要なプランを無料で提案します。話を聞いてから、アナタが決めてもらえれば大丈夫です。

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ファイナンスアイではこれまで開業資金、運転資金など様々な資金の支援をしてきました。日本政策金融公庫・信用保証協会付け融資・信用金庫・銀行からの融資相談に8000社以上対応してきました。自分で融資をされるよりも融資額、成功率を飛躍的に高めます。融資に必要な事業計画、創業計画や審査担当者との面談対策などトータルでサポートします。ご興味があればお気軽にご相談ください。

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記事・コンテンツの監修者

起業創業開業の資金調達コンサルタント

株式会社ファイナンスアイ(経済産業省M&A支援機関登録済)
代表取締役 田中 琢朗(たなか たくろう)

大手の金融機関・上場企業の財務部門責任者などを歴任し、2014年にファイナンスアイを創業。業界歴30年・創業10年のベテラン。中小企業・個人事業主・起業家と一緒に、現場で泥臭く汗をかいて靴をすり減らして財務を軸に経営者を支援し続け、のべ10,000人以上の圧倒的な実戦経験を持つ。ノウハウを「ファイナンスアイ式メソッド」として確立。中小にはびこる悪質なM&Aの被害をなくすために、M&A支援も本格化。売手・買手のいずれの立場からも真のM&Aを提供。現在も毎月150件以上の新規相談に対応し、毎週セミナーも開催中。日本経済のために今日も邁進しています。

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