融資の信用格付けと決算書

経営ハック 資金調達・資金繰りの方法

資金調達に重要な銀行融資の信用格付けを上げる決算書6つのポイント

2016年11月28日

日本政策金融公庫・信用保証協会・銀行などから、中小企業等が融資を受けるには、自社の信用格付けを上げて高い評価を獲得する必要があります。

この「信用格付け」は、主に中小企業の決算書をもとにスコアリングシートを作成しています。このスコアリングシートは、中小企業の融資に対する「成績表」のようなものです。

信用格付けの評価が高ければ、審査が通りやすくより低い金利で事業融資を得る事ができます。融資に対する「信用格付け」の仕組みはどのようになっているかを理解して、融資を獲得して資金調達を成功させるために、自社の「信用格付け」を上げていきましょう。

本記事では、銀行融資を成功させるために「資金調達に重要な銀行融資の信用格付けを上げる決算書6つのポイント」について説明します。

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■金融機関の「信用格付け」とは何か

「信用格付け」とは、元本や利息の返済能力があるかどうかの信用リスクを評価したものです。これらは企業だけではなく、国債などの金融商品を購入する際の重要な指標としても使用されています。

銀行による企業の信用格付け一覧

企業格付け区分 債務者区分 詳細
1:リスク無し 正常 財務状況が非常に優れており、債務履行の可能性が最も高い。
2:ほぼリスク無し 正常 財務状況は良好で、債務履行の可能性は非常に高い。
3:ややリスクあり 正常 財務状況は良好で、債務履行の可能性が高い。一定のリスクに注意したい。
4:リスクを含むが、良好な水準にある 正常 財務状況は良好だが、事業環境の推移や、一定のリスクに注意すべき。
5:リスクを含むが、平均的水準にある 正常 財務状況は平均的だが、不履行にならないよう注意すべき。
6:リスクは高いが、許容範囲にある 正常 財務の先行きが不安定なため、事業環境の変化に注意が必要。
7:リスクが高いため、管理が必要 要注意・管理債権 財務状況に問題があり、管理を徹底する必要がある。
8:警戒先 要注意・管理債権 財務状況に重大な問題が見られ、破綻の可能性が高い。
9:延滞先 破綻が懸念される 厳しい経営難で、破綻の危機に瀕している。
10:事故先 破綻先 深刻な経営難で、実質破綻している。

1~6:正常な企業と評価されています。
7~9:債務不履行のリスクが高いと評価されています。
10:実質的には破綻状況にあると評価されています。この場合、融資を受けれる事はまずありません。

※通常、「資金調達・融資コンサルタント」や「税理士・中小企業診断士」などの事業者が、相談に応じるのは「1~6」の企業になります。しかし、ファイナンスアイでは「7~9」「10」の事業者でも資金調達の相談に応じています。諦める前にまずは無料相談!

■決算書は「信用格付け」の重要書類

日本政策金融公庫・信用保証協会・銀行などの金融機関が決算書を見て、「信用格付け」をします。

決算書の「信用格付け」で、日本政策金融公庫・信用保証協会・銀行が融資をする際に、決算書を見て、いくらの融資が可能であるかを判断します。
この「信用格付け」の方法は、各銀行により独自の方法があります。

しかし、いずれの金融機関や銀行であっても次のポイントは重視して決算書を判断しています。

■決算書の信用格付けポイント1 収益性

決算書の信用格付けに用いられる「収益性」は、企業の本業における営業活動で継続的な利益を生み出しているかを見ています。

判断のステップとしては
1:単純に黒字経営であるかどうか
2:黒字の中身が本業による利益であるかどうか
3:継続性のある利益であるかどうか
という順番で判断しています。

■決算書の信用格付けポイント2 生産性

決算書の信用格付けに用いられる「生産性」は、経営資源である「ヒト」「モノ」「カネ」がどれだけ投資され、その投資対効率(生産効率)がどれだけかを見ています。

経営資源とは、
・投下資本によって得られる資本(設備費など)
・それらを動かす労働力(人件費)

に分けられます。

生産性とは、「資本生産性」と「労働生産性」の二つで判断するという事です。

どれだけローコストで素早く仕入れて、生産し、販売が行われているかが重要です。

■決算書の信用格付けポイント3 安定性

決算書の信用格付けに用いられる「安定性」は、安定感があり、経営のバランスが取られているかを見ています。

売上と、それに対する費用と利益のバランスが良く、将来も計画的にそれが継続していくと予想される事が重要です。
さらに、市場環境や経営環境の変化にも対応していけるリスクヘッジ(内部留保、商品開発、顧客開拓など)が計画されているかも判断します。

■決算書の信用格付けポイント4 成長性

決算書の信用格付けに用いられる「成長性」は、業績が順調に伸びているかを判断します。

銀行が融資審査をする際には、主に過去3期分と今期の月次決算書を確認します。
これは過去から現在まで計画的に成長しているかどうかを判断しています。

さらに、将来の成長に向けて、どのような改善や施策が成されるべきか把握しているかも重要です。

■決算書の信用格付けポイント5 資金性

決算書の信用格付けに用いられる「資金性」は、キャッシュフローが効率的に回されているかどうかを判断します。

投資した資本の回収状況、現金化可能な資産のバランスを見て、資金が健全な状態に保たれているかが重要です。

キャッシュを多く保持していると良いのですが、経営効率を高めるための投資を実行し、その上で、キャッシュを保持することがより良い経営と言えるでしょう。

■決算書の信用格付けポイント6 健全性

決算書の信用格付けに用いられる「健全性」は、投資以外の会社の財政状態や支払い能力を判断します。

例えば、本業の売上と利益が上がっていたとしても、社長に対する役員貸付金等が多いと健全ではないと判断されます。
他にも、高金利な金融機関からの借入、高金利なファクタリングによる資金調達、素性が判断しにくい個人からの借入などがあれば健全ではないと判断されます。

正しい資金調達により資金を調達しているか、調達した資金や利益を正しく投資しているかを判断しています。

■銀行による企業の債務者区分

上記のような要素から、日本政策金融公庫・信用保証協会・銀行などの金融機関は、企業に対して融資可能かどうかの一次評価をしています。この評価は、経営者らの自己評価よりも低くなると考えておきましょう。

債務者区分は、債務者を6段階に分類した、企業の信用格付け方法です。

■6つの債務者区分

銀行の債務者区分1.正常先

「正常先」とは、銀行の信用格付けにより、業績が良好で財務内容に問題がないと評価された会社。

銀行の債務者区分2.要注意先

「要注意先」とは、銀行の信用格付けにより、業績が低調または不安定と評価された会社。

銀行の債務者区分3.要管理先

「要管理先」とは、銀行の信用格付けにより、「債務者区分2:要注意先」と評価された会社の中で3か月以上の元本、または利息の延滞をしている会社。

銀行の債務者区分4.破綻懸念先

「破綻懸念先」とは、銀行の信用格付けにより、まだ経営破綻状態ではないが、経営難に陥っており、借入の完済が難しく、経営改善計画もない、もしくはその進行状況が芳しくないと判断された会社。

銀行の債務者区分5.実質破綻先

「実質破綻先」とは、銀行の信用格付けにより、法的には経営破綻してはいないが、深刻な経営難に陥っており、債務超過・元本または利息の長期延滞が続いているとが考えられ、実質的には破綻状態にあり、再建が難しいと判断された会社。

銀行の債務者区分6.破綻先

「破綻先」とは、銀行の信用格付けにより、民事再生・破産などの法的な経営破綻に陥っていると判断された会社。破産、清算、会社整理、会社更生、民事再生、手形交換所の取引停止などの処分を受けていると考えられます。

■企業信用調査会社「帝国データバンク」の信用格付け

決算書の信用格付けを行っているのは、日本政策金融公庫・信用保証協会・銀行などの金融機関だけではありません。
企業信用調査会社も決算書を使用して企業の信用格付けを行っています。

国内における企業信用調査は主に、帝国データバンクと東京商工リサーチの2社で実施されています。
企業信用調査会社の調査は、金融機関等が「与信枠の判断」や「信用性の判断」を目的として使用したり、企業が「大手企業との取引」や「大規模な契約」を行う時に使用されています。

これらの企業信用調査会社の信用格付けは金融機関の信用格付けとは異なります。融資の判断とは異なり、評価点が契約取引の判断自体に使われているため注意が必要です。

■銀行融資の信用格付けは決算書の良し悪しが決める

日本政策金融公庫・信用保証協会・銀行による企業の「信用格付け」は、決算書が全てを決定します。
この「信用格付け」で高い評価を得ていれば、資金調達をする時に、融資が受けやすく低い金利で融資を受けれる可能性も高まります。

必要な時に必要な金額をスムーズに資金調達するために、「信用格付け」を上げるための決算書作りを始めていきましょう。

※参考記事
日本公庫・保証協会・銀行が融資して資金調達させたくなる決算書を作るには

※ファイナンスアイでは、資金調達で融資を受けるために「信用格付け」を高める決算書についても相談に応じています。資金調達を考えるなら決算書が出来てからではなく、決算書をどのように作るかが重要です。資金調達と決算書の事は、ファイナンスアイに無料で相談。

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