日本政策金融公庫の金利は高い?金利一覧と下げる方法を紹介

資金調達-創業融資

日本政策金融公庫の金利は高い?金利一覧と下げる方法を紹介

金融機関から融資を受ける際の最重要事項は、言うまでもなく金利です。低い金利でお金を借りたいというのは全事業者共通の希望でしょう。

政府系金融機関である日本政策金融公庫の金利は、一般的に民間金融機関(銀行や信用金庫)よりも低いと言われています。税金を投入して金利を抑える政策をとっていて、行政が介入しているので、当然と言えば当然なのですが、どのくらい金利が低いのでしょうか?

また、その金利をさらに下げる方法はあるのでしょうか?

今回は日本政策金融公庫の金利について、その一覧と下げる方法を紹介します。

日本政策金融公庫の金利の種類について

日本政策金融公庫の金利には「基準利率」と「特別利率」の2種類があり、両者の違いを理解することが大切です。金利は基準利率よりも特別利率の方が低いので、可能ならば特別利率の適用を目指したいものです。

それぞれの詳細について下記で解説します。

基準利率とは?

基準利率とは、日本政策金融公庫の金利のベーシックとなる基本の利率です。これをベースに何か特段の事情や配慮すべき事項がある場合、金利を下げた特別利率が適用されます。

基準利率は日本政策金融公庫で担保・連帯保証人なしで融資を受ける場合に適用される金利です。

特別利率とは?

特別利率は基準利率に特段の事情を配慮して、低い値で適用される金利です。

新規性のある事業、災害性がある場合などに適用されます。東日本大震災や新型コロナウィルスなど突発的な事情で、資金調達が難しくなった時などは、政府系金融機関として積極的に金利を下げた特別利率の適用を促します。

現在、日本政策金融公庫では合計13種類の特別利率が設けられていますが、自分で種類を選ぶことはできません。

日本政策金融公庫の審査の金利一覧

現在の日本政策金融公庫の基準利率および特別利率A〜Uの金利は以下の表のとおりです。

基準利率基準利率A基準利率B基準利率C基準利率D基準利率E基準利率F基準利率J基準利率N基準利率O基準利率P基準利率Q基準利率R基準利率U
無担保2.15~3.151.75~2.751.50~2.501.25~2.251.50~2.300.75~1.751.10~2.101.85~2.351.25~2.051.95~2.751.75~2.751.95~2.451.65~2.15
新創業融資2.45~3.452.05~3.051.80~2.801.55~2.551.80~2.601.05~2.051.40~2.402.25~3.052.05~3.05
有担保融資1.20~2.800.80~2.400.60~2.150.55~1.900.55~1.950.55~1.400.40~1.750.90~2.000.30~1.701.00~2.400.80~2.401.00~2.100.70~1.80
災害、コロナ1.30~2.300.90~1.900.65~1.650.55~1.400.65~1.450.55~0.900.40~1.250.40~1.201.10~1.900.90~1.90
マル経融資1.30
日本政策金融公庫の基準利率および特別利率A〜Uの金利一覧(2023年3月1日現在)

大まかな金利の高さは

創業融資>無担保融資>有担保融資≧災害時の緊急融資

の順となっています。災害やコロナなど突発的事態へ対応する融資については金利を下げて、負担がかからないようにしていることがわかります。

特別利率が適用される主な融資

特別利率が適用される融資は条件に当てはまることが必要です。どの条件に当てはまるかを確認したうえで申し込みをしますが、どの金利が適用されるかは公庫側の判断になります。

急激な世界的情勢の変化や災害など経営判断だけでは避けられないものについては、なるべく低い金利が適用されるように公庫側で判断します。日本政策金融公庫としては、公庫として利益を出すのが目的ではなく、中小企業、小規模事業者が倒産するのを防げるのを第一目標にしています。

#セーフティネット貸付

災害ややむを得ない事情によって売上が落ちた際に受けられる融資。コロナや最近の資源、エネルギー価格高騰なども対象になります。

#中小企業経営力強化資金

新規事業の開拓や異業種連携など、新たな試みを検討している中小企業向けの融資です。条件を満たすことで特別利率Aが適用されます。

#女性、若者/シニア起業家支援資金

女性・35歳未満の若者・55歳以上のシニアが起業する、もしくは事業開始7年以内に受けられる融資です。条件を満たすことで特別利率A・B・Cのいずれかが適用されます。

新規開業、特に女性や若者の開業については、自治体の補助金もあるので可能な限りそちらも検討しましょう。

#新規開業資金

新規開業および事業開始7年以内の人が対象の融資です。条件を満たすことで特別利率A・B・Cのいずれかが適用されます。

#新事業活動促進資金

事業転換など、新たな事業を始める際に受けられる中小企業向けの融資です。条件を満たすことで特別利率A・B・Cのいずれかが適用されます。

それ以外にも商工会議所の「マル経融資」など特徴的なメニューがあり、特別利率が適用されるものがあるので何に申し込めるか、日本政策金融公庫の担当者に聞いてみましょう。

日本政策金融公庫から融資を受けた際の金利計算

日本政策金融公庫から融資を受けた場合、支払金利はどのように計算するのか、簡単に解説します。

運転資金のために「新規開業資金」で500万円の融資を受けたと仮定します。

例)新規開業資金で500万円の融資を受けた場合

融資制度:新規開業資金
融資額:500万円
返済期間:7年
金利:3.15%(基準金利の最大金利)
最初の2年は措置期間なので、500万円×3.15%で、各年157,500円の利息の支払いのみです。

3年目から7年目は元利均等とすると、返済は下記になります。

年数 返済額元利計 うち元金 うち利息
1年目 157,500円 0円 157,500円
2年目 157,500円 0円 157,500円
3年目 1,143,064円 1,000,000円 143,064円
4年目 1,111,564円 1,000,000円 111,564円
5年目 1,080,062円 1,000,000円 80,062円
6年目 1,048,562円 1,000,000円 48,562円
7年目 1,017,061円 1,000,000円 17,061円

日本政策金融公庫のHPに「事業資金用 返済シミュレーション」が公開されています。融資の金額や利率、融資期間を入力し、融資の金利や返済金額などの返済条件を自分で計算することが可能です。
URL:https://www.jfc.go.jp/n/finance/simulation.html

条件を満たすことで特別利率A・B・Cのいずれかが適用されるかを確認できます。

日本政策金融公庫の金利を下げる方法とは?

日本政策金融公庫の融資にかかる金利は民間金融機関の金利と比較して低い傾向にありますが、さらに下げる方法があります。うまく実践できれば、無利子に近い形で利子負担を減らせます。

担保を提供

上記表を見ていただくとわかりますが「無担保」と「有担保」では金利が違います。もし、提供できる担保があれば、金利が1%ほど下がる可能性があります。何かあれば抵当権は実行されてしまいますが、公庫の場合可能な限り事情を斟酌し、実際に担保が競売されないようにまずは取り組みを行います。

代表者が連帯保証人になる

代表者が連帯保証人になることで、貸し倒れのリスクが下がります。それに伴い金利も下がる可能性があります。

代表者個人が連帯保証人になるので、会社資産以外の個人の資産もいざという時に失う可能性があります。会社と一蓮托生でも融資を受けたいと覚悟が決まれば、この方法もありです。

やや金利が高い無担保無保証人の融資を選択できますので、あとはみなさんの判断になります。

特別利率の適用を目指す

自分で選べないものの、「新規創業資金制度」などは特別利率が適用されやすくなっています。自然災害やコロナの影響で売上が下がっていることを証明できれば、特別利率の適用も可能です。

認定支援機関を活用する

日本政策金融公庫の新創業融資など開業資金にかかわる融資については、「認定支援機関」(認定経営革新等支援機関)によって事業計画の認定を受け、新創業融資に申し込むと、金利が0.2%〜0.5%下がります。

この特別利率の適用のためには、税理士や弁護士、中小企業診断士など約17,000以上が登録されている認定支援期間に相談しましょう。

金利が下がるだけではなく、各種アドバイスをもらえるため、創業後の経営についても大きなメリットがあります。

日本政策金融公庫の金利についてまとめ

日本政策金融公庫の金利は民間金融機関よりも低いうえ、さらに金利が下がる特別利率の適用ができるケースがあります。

 特別利率が適用されれば、金利が1%切ることもあり、事業者の負担がとても軽くなります。1%を切るような融資は民間金融機関ではなかなか難しい可能性があります。

 まず日本政策金融公庫の融資を考えることは経営者として適切な判断になります。政府系金融機関で公的資金が投入されていますが、経営が厳しい事業者だけが対象ではなく、優良な事業者ももちろん借りられます。

 金利には幅があり、優良顧客ならばその中で低金利が適用されます。「コスパ」として優れている金融機関が日本政策金融公庫ですので、ぜひ活用を検討してみて下さい。

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記事・コンテンツの監修者

起業創業開業の資金調達コンサルタント

株式会社ファイナンスアイ(経済産業省M&A支援機関登録済)
代表取締役 田中 琢朗(たなか たくろう)

大手の金融機関・上場企業の財務部門責任者などを歴任し、2014年にファイナンスアイを創業。業界歴30年・創業10年のベテラン。中小企業・個人事業主・起業家と一緒に、現場で泥臭く汗をかいて靴をすり減らして財務を軸に経営者を支援し続け、のべ10,000人以上の圧倒的な実戦経験を持つ。ノウハウを「ファイナンスアイ式メソッド」として確立。中小にはびこる悪質なM&Aの被害をなくすために、M&A支援も本格化。売手・買手のいずれの立場からも真のM&Aを提供。現在も毎月150件以上の新規相談に対応し、毎週セミナーも開催中。日本経済のために今日も邁進しています。

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