はじめに
2024年、飲食業界にとって創業融資の追い風となるニュースが飛び込んできました。日本政策金融公庫が発表した2024年上半期の融資状況では、コロナ禍で一時停滞していた飲食店への融資が増加傾向にあるとのことです。飲食店、特に居酒屋を開業したいと考えている方にとって、今は絶好のチャンスといえるでしょう。
しかし、融資を成功させるためには「創業計画書」の出来が大きなカギを握ります。公庫のホームページで公開されている記載例を参考にして作成する方も多いですが、これだけでは不十分な場合もあります。本記事では、公庫が求める情報を深く理解し、審査を突破するための「創業計画書の書き方」を解説します。
創業計画書作成の基本と注意点
記載例に潜む落とし穴
日本政策金融公庫の創業計画書記載例は、非常に簡潔でまとまっています。しかし、これをそのまま使って審査を通過するのは簡単ではありません。なぜなら、公庫が求めているのは、単なる情報の羅列ではなく、経営者としての明確なビジョンと根拠ある計画だからです。
面談で問われる「記載例にはない質問」
融資面談では記載例に書かれていない細かな質問を受けることがあります。例えば、売上の見込みの根拠や、リスクをどう回避するかといった質問です。創業計画書を作成する段階で、これらの質問に備えた準備を進めておきましょう。
創業計画書の記載ポイントと書き方
①創業動機
創業動機は、審査側にとってその経営者の意欲や信頼性を判断する重要な材料です。以下の4点を押さえて記載しましょう。
ポイント
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経験
過去の勤務経験、役職、資格などを具体的に記載します。例えば、「複数店舗で店長経験あり」や「飲食業界で10年以上のキャリアを持つ」といった内容が信頼を生むでしょう。 -
人脈
現在の取引先や仕入れ業者、さらにSNSフォロワー数なども記載できます。特に飲食業では、安定した仕入れルートが大きな強みとなります。 -
創業する理由
なぜ今創業するのかを説明します。例えば、「好立地の空きテナントを発見した」などの具体的な理由が説得力を持ちます。 -
成功の自信
店長経験や業界での実績から得た成功の確信を明確に伝えます。「店舗運営に自信がある」など、ポジティブな表現を心がけましょう。
② 取り扱い商品とサービス
この項目では、提供するサービスの具体性を示すことが求められます。以下のポイントを意識して記載しましょう。
ポイント
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事業内容
「どこで、誰に、何を、どのように」の4つを簡潔にまとめます。
例)〇〇地区で会社員向けに創作料理とお酒を隠れ家的な店舗で提供 -
具体的な商品情報
メニュー案や商品価格帯を明記します。ランチとディナーに分ける場合、それぞれの価格帯や客単価も記載すると具体性が増します。 -
セールスポイント
他店との差別化ポイントを記載します。例えば、「地産地消の食材を使用」「リーズナブルな価格」「月1回の生演奏イベント」など。
③ 事業の見通し
最後に、事業計画の現実性を伝えるための数字が重要です。
ポイント
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月次収支の計画
創業初月から軌道に乗る店舗は少ないため、いつ黒字化するのかを明記します。初期赤字を融資でカバーする場合、計画に根拠を示す必要があります。 -
売上創出の具体的根拠
以下のような算式を用いて売上計画を記載します。
例)チラシ配布枚数 × 来店率 + SNSフォロワー数 × 来店率 + 新規来店数 × リピート率
M&Aや事業承継を活用した飲食店創業の選択肢
飲食店の創業には、「ゼロイチ創業」と「M&A起業」の2つの選択肢があります。M&Aを活用すれば、既に顧客基盤を持つ店舗を引き継ぐことでリスクを軽減し、成功の可能性を高めることができます。
M&A × 創業融資 × 起業の魅力
M&Aを活用した創業でも、日本政策金融公庫の創業融資が利用可能です。連帯保証なしで資金調達ができるため、初期負担を軽減しながら事業をスタートできます。
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YouTube動画で創業計画書の書き方を見る
この記事では触れられなかった細かいポイントを、YouTube動画で詳しく解説しています。動画では実際の記載例を用いて、分かりやすく説明していますのでぜひご覧ください!
まとめ
本記事では、日本政策金融公庫の創業計画書の書き方を、飲食店・居酒屋に特化して解説しました。成功のカギは、具体性と説得力を持たせることです。ぜひこの記事を参考に、創業計画書を完成させて融資を成功させてください。
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代表取締役 田中 琢朗(たなか たくろう)
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大手の金融機関・上場企業の財務部門責任者などを歴任し、2014年にファイナンスアイを創業。業界歴30年・創業10年のベテラン。中小企業・個人事業主・起業家と一緒に、現場で泥臭く汗をかいて靴をすり減らして財務を軸に経営者を支援し続け、のべ10,000人以上の圧倒的な実戦経験を持つ。ノウハウを「ファイナンスアイ式メソッド」として確立。中小企業や個人M&Aにはびこる悪質なM&Aの被害をなくすために、M&A支援を本格化。売手・買手のいずれの立場からも真のM&Aを提供。現在も毎月150件以上の新規相談に対応し、毎週セミナーも開催中。
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