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資金調達に困らない経営をしていくためには、銀行(金融機関)評価が大切
スムーズな経営を続けていくためには、必要な時に必要な資金調達を行う必要があります。しかし、意味もなく融資などの資金調達をしてはいけません。融資などの資金調達をするには融資の目的を明確にしておきましょう。
- 融資の資金調達 事業拡大に必要な投資をするための融資
- 融資の資金調達 事業成長を加速させる「つなぎ融資」
- 融資の資金調達 スケールメリットを得るための融資
- 融資の資金調達 返済実績を作るための融資
- 融資の資金調達 運転資金融資で苦境を乗り切る
さて、いざ融資で資金調達をしようという場合、多くの企業にとってその候補先は、「日本政策金融公庫(日本公庫)」・「信用保証協会」・「銀行(金融機関)」の3つがメインになります。
起業創業したスタートアップベンチャーや中小企業が融資による資金調達を行う場合、1:日本政策金融公庫、2:信用保証協会、3:銀行(金融機関)になります。
企業を経営していくと、銀行(金融機関)が資金調達の中心になってきます。
ここで重要な事は、付き合いが深まっていく銀行(金融機関)との信頼関係をどのように得るかです。
銀行との信頼関係を築くためには、まずは「良い決算書」を作る事です。
決算書の内容次第で、銀行は融資をしたくなる事もあれば、融資をしてくれない事もあります。
今回は、どのような決算書を作成すれば銀行との信頼関係を構築し、融資を受けられるのか。そのポイントをご紹介します。
■銀行融資を受けられる決算書1 自己資本比率が高い
銀行が決算書で重要にしている要素が「自己資本比率」になります。
融資借入など、外部から調達している資本(他人資本)に影響を受けにくい財務体質であれば、銀行評価は高くなります。
では、どれくらいの自己資本比率を銀行は評価してくれるのでしょうか。
一般的な例は次の通りです。
自己資本比率が50%以上 → 倒産リスクがほぼ無い超優良企業
自己資本比率が40%以上 → 倒産リスクの少ない優良企業
※中小企業では、自己資本比率の平均は15%前後
※業種により平均値は変わります。
マイナス評価を受ける「債務超過」とは?
自己資本比率がマイナスになっている財務状態を「債務超過」と言います。
「債務超過」になっている企業は、融資による資金調達が大変厳しくなります。
通常、資金繰りが厳しく、追加融資を受けないと経営していけないような企業には、返済能力が無いとみなされるためです。
※ファイナンスアイでは、このような「債務超過」で苦しむ企業からの相談も多く持ち込まれます。資金調達成功率98%以上の実績で資金調達を成功報酬で支援しています。
■銀行融資を受けられる決算書2 フリーキャッシュフローが多い
銀行は、キャッシュフロー計算書の「フリーキャッシュフローが多い」と、融資の返済能力があると判断できます。
返済原資が明確になれば、銀行評価が高くなります。
フリーキャッシュフローとは?
フリーキャッシュフローとは、「営業キャッシュフロー」と「投資キャッシュフロー」を足した数値になります。
フリーキャッシュフロー = 営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー
「企業の営業活動により生まれたキャッシュから、企業経営に必要な経費を払ったキャッシュの残り」
※フリーキャッシュフローは、「融資借入」などの財務活動で得たキャッシュを含みません。純粋な営業活動のみでどれだけのキャッシュを生み出す能力があるかを測る指標です。
フリーキャッシュフローを見る比率に、「自由資金比率」があります。
「自由資金比率」は、会社が得た利益がキャッシュとして残りやすい財務体質かどうか、キャッシュが潤沢かどうかを示す指標です。
■自由資金比率の計算方法
「自由資金比率=フリーキャッシュフロー÷投資キャッシュフロー×100」
次の事例をもとに算出します。
A社の財務状況
営業キャッシュフロー 1,000万円
投資キャッシュフロー 500万円
利益剰余金 1500万円
フリーキャッシュフロー=500万円(営業キャッシュフロー - 投資キャッシュフロー)
500万円÷1500万円×100=33%
このケースでは、「自由資金比率は33%」になります。
では、どれくらいの自己融資金比率を銀行は評価してくれるのでしょうか。
一般的な例は次の通りです。
自由資金比率~100% → 理想的な企業
自由資金比率70~99% → 優秀な企業
自由資金比率40~69% → 安定した企業
自由資金比率20~39% → 対策を検討する企業
自由資金比率19%以下 → 至急改善が必要な企業
※ファイナンスアイでは、「フリーキャッシュフロー」や「自由資金比率」が悪い企業からの相談も多く持ち込まれます。資金調達成功率98%以上の実績で資金調達を成功報酬で支援しています。
■銀行融資を受けられる決算書3 税金支払をしている企業
当然のことですが、税金滞納や未払いの状態では、融資による資金調達は難しいです。
もちろん「社会保険料」「消費税」等も同様です。
「融資を受けられれば税金が払える。だから融資を・・・」という考えをもってはいけません。
このような発想をもつ経営者を、銀行は信用しません。
※ファイナンスアイでは、「税金を滞納」している企業からの相談も多く持ち込まれます。資金調達成功率98%以上の実績で資金調達を成功報酬で支援しています。
■銀行融資を受けられる決算書4 保有不動産に担保余力がある
経営者もしくは会社が保有している不動産に担保余力が認められた場合、融資を受けやすくなります。
この場合、根抵当権を設定される可能性があります。
根抵当権とは?
根抵当権とは、「不動産などの不特定の債権に極度額を設定した担保物権」の事をさしています。また、通常の抵当権とは、「特定の債権を被担保債権にすること」になります。
※極度額とは、「融資金額の利用上限」の事です。
登記簿「乙区」には次のように記載されます。
- 債権の金額(融資を受けた金額)
- 債権者の住所・氏名(貸した側の人物・法人・金融機関)
- 債務者の住所・氏名(借りた側の人物・法人など不動産の所有者)
■不動産担保融資の事例(会社が1,000万円の融資を受けたい場合)
所有不動産を調査後、所有不動産には3,000万円の担保価値があると判明。
銀行金融機関は、「極度額3,000万円と設定」し、希望の1,000万円を融資します。
これは信用枠を押さえるという行為で、この場合、残り2,000万円まで融資が可能と考えられます。
※根抵当権を設定すると、この不動産担保を使用した他融資をする行為を防ぐ事ができます。
■銀行融資を受けられる決算書5 不動産・投資有価証券に含損が無い
会社が不動産や有価証券を持っている場合、「含み損」が認められると、「リスクの高い投資を行った」と銀行から評価されます。
含み損とは?
不動産や有価証券が「取得原価より値下がりし、現時点で売却すると損益が出てしまう状態」のことです。
※しかし「含み損」があっても、評価額自体が高ければ担保価値があると判断されますので、融資を受けれる可能性が高まります。
■銀行融資を受けられる決算書6 固定資産を現金化できる可能性があるか
1年以内に現金化する事ができない資産は、固定資産として仕訳されます。
しかし、固定資産の中でも、「早期に現金化しやすい資産」や「減価償却期間が過ぎても市場価値が高い固定資産」がある場合、銀行評価が高まります。
例)
・中古市場でもニーズがある産業機械や重機
・特許権や商標権などの知財
・既に買付申請がされた不動産
■銀行融資を受けられる決算書7 累積欠損でも代表者に個人資産があるか
通常、会社に融資する場合の保証人は、代表者個人になります。
そのため、決算書上では累積欠損になっていても、代表者に個人資産があれば融資を得られる可能性があります。
不動産等の担保物件というのは一般的ですが、実は「役員報酬額」も個人資産として考えられます。
役員報酬額が個人資産と評価されるには?
会社の規模(売上/利益)に見合った報酬額であり、今後も長期的に資産形成できる報酬額と判断される必要があります。
■銀行融資を受けられる決算書8 仮払金・立替金・仮受金・預り金が少ない
「仮払金」、「立替金」、「仮受金」、「預り金」はそれぞれ意味が異なります。
しかし共通点として、いずれも現時点において処理項目が決定していない仕訳項目になります。
この事から、銀行等金融機関から見ると、「使途不明金」と同じように解釈されます。
決算書の「仮払金」、「立替金」、「仮受金」、「預り金」が少ないと、堅実に経営をしていると評価されます。
■銀行融資を受けられる決算書9 貸付金がない
決算書に「貸付金」があると、銀行はマイナス評価をします。
何故なら、「融資を受ける前に、それを回収しなさい。」と考えられるからです。
起業したベンチャーや中小企業の経営者にとって、心当たりがある貸付金としては、代表者や経営者に対する「役員貸付金」があります。
■銀行が融資したい決算書10 売掛金が少ない
通常、100万円の売上は、クライアントと契約書を結んでいても、クライアントに納品が完了していても、入金があるまでは売掛金で処理されます。
店舗等の現金商売をしていない限り、決算時には売掛金があるのは当然です。
この売掛金を減らす努力が認められれば、銀行評価は上がります。
銀行は、業種業態別の支払サイトをある程度把握しています。
そのため、決算書を見た時に、「支払サイトが短く調整した努力」をして、売掛金が少なくなっていれば評価されます。
※このように、「売掛金・買掛金の管理は重要」です。代金回収能力の高さを、銀行は評価します。
■銀行が融資したい決算書11 月次勘定科目内訳書を用意する
「勘定科目内訳書」は、決算書の主要な勘定科目毎の詳細を記載した書類であり、「法人税申告書」に添付する決算書類の一つです。
この「勘定科目内訳書」があれば、入出金明細の詳細が確認でき、決算書の信憑性が高まります。
融資を依頼する場合、前3期分の決算書類と月次勘定科目内訳書を求められる場合があります。
これは、月次勘定科目内訳書があれば、決算時に帳尻合わせをするような事がない(少ない)という事になり、決算書の信憑性が高まり、銀行の評価が高まるからです。
■銀行が融資したい決算書12 棚卸資産の金額が妥当であるか
売上に見合わない過剰在庫を抱えている場合、これらの在庫は「棚卸資産」になります。
過剰在庫による棚卸資産があると当然、銀行からの評価は悪くなります。
■棚卸資産に計上される項目
1:商品・製品
2:半製品
3:仕掛品
4:原材料
5:貯蔵品
工場等であれば、受注を受けていても、製造途中段階か製造前かというのは、「2~5」の在庫状況を見れば分かります。
銀行は、業種業態別の棚卸資産の目安を持っており、この在庫状況から実際はどうというのが判断できます。
■銀行で融資・資金調達できる決算書をつくるために
ここで紹介したように、銀行は様々な視点で御社の決算書を見て評価しています。
上記以外にもまだまだ注意するポイントはあります。業種業態・業績・市場動向などでも決算書の見え方は変化します。
融資で資金調達をするためには、税理士に任せきりにした決算書では銀行から評価されないケースが多々あります。
これは、多くの税理士先生の思考ベクトルが、”経営財務”ではなく、”税務”に向いているためです。(税理士なので当然ですが。)