創業融資は自己資金なしで受けられる?利用する前に確認すべきこと

資金調達-創業融資

創業融資は自己資金なしで受けられる?利用する前に確認すべきこと

2023年3月4日

個人事業主として独立する場合、気になるのが資金面です。事業内容によっては初期費用が大きくなることも多く、必要な資金を自己資金でまかなえないことは決して珍しくありません。

このような場合、開業者は資金の調達を行なうことが一般的です。しかし自己資金が満足にない状況で必要な融資を受けられるのか、不安に感じる人も多いはずです。

そこで本記事では、創業のための融資を行う「創業融資」について、詳しく解説します。結論からいえば、創業融資は必ずしも自己資金が必要ではありません。場合によっては自己資金なしでも受けられるものです。

ビジネスの成功においては、商機を逃さないことが非常に重要です。適切な融資によって自分のビジネスをスタートさせましょう。

創業融資は自己資金なしでも受けられる!

一般的に開業資金の融資では、融資額の3割程度の自己資金が必要といわれています。資金の総額によって金額は変わってくるものの、3割程度の自己資金は場合によってはそれなりに高額になります。

しかし、ビジネスにおいては商機を逃さないことは何にも増して重要です。自己資金が不足しているからといって独立開業をためらっているようでは、せっかくのチャンスを逃してしまいます。
このような場合にあらためて確認するべきは、自己資金なしで受けられる融資です。

「融資を受けるためには自己資金が必要」と思いがちですが、融資の種類や条件によっては、自己資金は必ずしも必要ありません。事業内容と事業計画から、収益の見込みが十分にあると判断されれば、自己資金なしで創業資金を借りられるケースもあります。

また、そもそも自己資金の有無や金額が融資の要件に含まれていない融資制度も存在します。これらの活用によって、自己資金がない場合でも融資を受けることが可能です。

創業融資を自己資金なしで受ける方法

創業融資を自己資金なしで受ける方法には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは対象の融資制度について具体的に紹介します。

新創業融資制度

日本政策金融公庫が実施する新創業融資制度では、これから創業する人を対象に、自己資金なしで融資を行ってくれる場合があります。新創業融資制度は新規に事業を始める人を対象に、融資してくれる制度で、本来は自己資金が10分の1以上という要件が設けられています。

しかし新創業融資制度には例外の要件があり、こちらに該当する場合は自己資金なしで融資を受けることが可能です。

例外条件は下記の2つです。

例外条件

・現在勤務している企業と同じ業種の事業を始める人

・産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める人

現在勤めている企業と同じ業種で起業する場合、また自治体から認定特定創業支援等事業と認められた場合に限って、自己資金なしで融資を受けられます。

中小企業経営力強化資金

同じく日本政策金融公庫の実施する中小企業経営力強化資金では、融資のための自己資金の要件が設けられていません。そのため自己資金なしでも融資を受けられます。

ただし中小企業経営力強化資金の場合は、融資を受ける個人事業主や小規模事業者、中小企業に要件が設けられており、それを満たす必要があります。

たとえば個人事業主や小規模事業者の場合、下記の1と2の両方、または3と4の両方の条件を満たすことが必要です。

必要な要件

  • 1. 経営革新または異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓等により市場の創出・開拓(新規開業を行う場合を含む)を行おうとする人
  • 2. 自ら事業計画の策定を行い、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関による指導および助言を受けている人
  • 3. 「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」を適用している方または適用する予定である人
  • 4. 事業計画書を策定する人

挑戦支援資本強化特別貸付

日本政策金融公庫では、挑戦支援資本強化特例貸付という制度も実施しています。新規開業や新事業の開始を対象とした融資制度で、地域経済の活性化に関わる事業が対象です。

挑戦支援資本強化特例制度の特徴は、受けた資金が負債ではなく資本として計上されることです。資本性ローンと呼ばれるタイプの融資で、会計上は資本が増えたかたちになるため、ほかの融資の審査などで有利に働く場合があります。

また無担保・無保証人で融資を受けられるのも特徴の一つです。

自治体の制度融資

自治体の制度融資もチェックしておきたい融資の一つです。制度融資とは地方自治体が窓口となり、民間金融機関と連携して融資を行う制度です。創業時の融資となるため、基本的に信用保証協会の保証をつける信用保証協会付融資となります。これにより、創業時でも民間金融機関からの融資を受けやすいという特徴があります。

制度融資自体はさまざまな目的に応じて用意されるもので、対象要件は制度ごとに異なります。必ずしも創業を目的としたものがあるとは限りませんが、自治体によっては自己資金なしでの融資を行っている場合もあります。

融資を考え始めた段階で、まずは在住在勤の自治体の制度を一度チェックしてみるとよいでしょう。

不動産担保ローン

不動産担保ローンとは名前のとおり、不動産を担保して融資を受けるローンのことです。不動産を担保とするため、無担保と比べ金利が低いのが特徴です。

申し込み時には、事業計画や返済計画の審査に加えて、担保とする不動産評価が行われます。

創業融資を自己資金なしで受ける際に確認すべきこと

自己資金なしで創業融資を考える場合に、まず確認しておくべきことがあります。ここでは事前のチェックポイントについて解説します。

自己資金なしで申し込めるか

まず前提として、自己資金なしで申し込める融資制度かをしっかりと確認しましょう。また、自己資金なしで申し込める融資制度であっても、なぜ自己資金がないのか合理的な理由が必要なため、しっかりと説明ができるようにしておくことも重要なポイントです。その他、融資の要件は細かいものが多く、読み間違えてしまうとせっかくの準備が無駄になってしまいます。

さらに融資によっては、自己資金の条件をホームページ上で明記していないものもあります。このような場合、ネット上で流通している情報が必ずしも正しいとは限りません。事前のリサーチとあわせて、融資を行っている機関や団体に必ず確認しましょう。これらを自身で行えることが望ましいですが「時間がない」「融資が受けられるか不安」といった方はプロに相談することをおすすめいたします。

 

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自己資金として活用できるものがないか

融資では、自己資金を求められることの方が大半です。自己資金なしで融資を受けるために計画を進めても、実際には受けられない場合もあります。

このような場合は、自己資金を本当に用意できないのか、あらためて見直してみましょう。融資によっては、現金以外にも不動産や車、有価証券を自己資金と見なしてくれる場合があります。

またこのほかにも、国や自治体の補助金制度を活用する方法や、親類や知人から資金を借りるという方法があります。自身の所有物で売却して換金できるものは処分するなど、さまざまな方法がありえるでしょう。

自己資金があると、受けられる融資の選択肢が増えるほか、融資の条件もよくなります。あらためて自己資金が用意できないかチェックしてみましょう。

関係ない資金を自己資金に含めていないか

融資の審査では、自己資金が多い方が融資を受けやすくなります。そのため、自己資金を多く見せようとさまざまなお金をかき集めて自己資金として計上しがちです。

しかし何を自己資金とできるかは厳格に決まっており、疑義があれば資金の経路まで調べられます。意図したものでなかったとしても、関係ない資金を自己資金に含めると、虚偽の申告を行なったと扱われてしまいます。

大きく信頼を失うのに加えて、今後の融資にも影響する可能性があります。審査で申告できる自己資金には何が含まれるのかをしっかりと調べ、信頼を得られるクリーンな計上を行いましょう。

創業融資を自己資金なしで受ける際の注意点

自己資金なしで創業融資を受ける場合、いくつかの注意しておきたいポイントがあります。

金利が高くなる

融資を受ける場合、融資額などさまざまな条件をもとに融資の可否や金利が決定されます。融資のリスクが高いと判断されれば、その分金利が高くなりますが、その判断要素の一つに自己資金は含まれます。

自己資金がまったくない場合は、そのぶん金利の高さに反映されることになります。自己資金ありの場合と比べて1〜2%程度高くなることもあり、金利としては非常に大きな差です。

借り入れる側としても返済計画に影響してくるため、本当に実現可能なのかリスクをしっかりと検討するようにしましょう。

融資を受けられる金額は少なくなる

自己資金が少ない場合、融資額が少なくなります。これは担保となるための自己資金が少ないためで、融資の仕組みからも仕方のないところです。十分な融資額を得たい場合は、自己資金の用意を検討した方がよいでしょう。

また規定に記載されている融資額はあくまで規定上での限度額です。融資のリスクに応じて融資額は調整されるため、事前の過度な期待は禁物です。

見せ金は避ける

見せ金とは、大きな資金を持っているように見せかけるために、一時的に用意するお金のことです。たとえば審査前に親族や友人から一時的にお金を借り、審査後に返すという使われ方をします。

見せ金は実態と異なる資金力を偽装するもので、審査を欺くためのものです。適正な審査ができなくなるため、融資の審査担当者も振り込みの履歴や何の振り込みかを細かく確認します。

このように追求されていくと、見せ金であることはいずれ発覚します。大きく信用を落とすことになってしまい、もちろん融資は断られてしまいます。

資金を得られないという不安感に駆られて見せ金をするのは、絶対に禁物です。

自己資金として認められるもの

認められるもの

自己資金として認められるものとしては、まず退職金があります。起業前の会社からの退職金は、自己資金として認められます。

また、親族からの贈与金や相続金も自己資金に含まれます。ただし贈与金の場合は一度に多額のお金が口座に振り込まれるため、見せ金のように見えてしまう場合があります。審査担当者に見せ金でないことを示すために、贈与契約書を書いてもらっておくと安心です。

さらに、自身の資産などの売却益や生命保険の解約金なども自己資金に含まれます。

ほかにも、自己資金をすでに設備投資などに使ってしまった場合は、みなし自己資金として、それらの資金を資産として認めてもらえる場合があります。

認められないもの

自己資金として認めてもらえないものとしてまず挙げられるのが、タンス預金です。お金の流れがわからず、本当の自己資金なのか誰かから借りたものなのか判断ができないため、自己資金とは見なされません。

またほかの金融機関からの融資や親族や知人からの借入金も自己資金ではありません。借り入れているお金で返済が必要なため、対象からは除かれてしまいます。

創業融資以外でも資金を調達する手段

資金を調達する手段は、必ずしも融資だけとは限りません。創業融資以外の資金の調達手段には、次のようなものがあります。

出資者を募る

自身の新規開業を支援してくれる人を集め、出資を募ります。投資家へビジネスへの支援を依頼するほか、クラウドファンディングを使って資金を集めます。

ベンチャーキャピタルなどの投資家に支援してもらった場合、企業であれば出資分の株式を発行するのが一般的です。株式の割合に応じて経営への影響力を持たれてしまう点には注意が必要でしょう。

またクラウドファンディングは知らない人へ広く融資を募る方法なので、事業の内容や計画性、また出資者への返戻品などに説得力が必要です。ずさんな計画の場合はネットでの炎上につながり、支援を受けづらくなってしまうこともあります。

共同経営者を探す

共同経営者を探しサポートを受けるのも一つの方法です。ビジネスのヴィジョンに共鳴してくれる人がいれば、資金援助をしてもらう共同経営者として名を連ねてもらうことができるかもしれません。

ただしこの場合、共同経営者が探せる状況にあること、また見つかった共同経営者に貯蓄がある場合に限られます。

助成金・補助金をもらう

国や自治体では、創業者を対象とした助成金や補助金を用意しています。国では経済産業省や厚生労働省の所管で、複数の助成金や補助金があるので、支援を受けられないかチェックしてみるとよいでしょう。

地方自治体でも同様の支援は行なっており、いずれも金利や返済期間が創業者にとって有利に設定されています。

支援サービス会社に相談する

融資の支援サービス会社に相談するのも有力な方法です。専門に融資の相談事業を実施しているため、各種制度に精通しており、財務状況からより適切な支援制度などを紹介してくれます。

また場合によっては申請の支援までを請け負ってくれる場合があります。相談料などが生じますが、融資を受けられればそれを遥かに上回る資金を手に入れられます。

もしかすると、気づいていなかった制度を利用できるかもしれません。プロの手による着実かつ迅速な支援を希望する場合は、ぜひ支援サービス会社に相談してみましょう。

まとめ

自己資金は融資の審査材料としては非常に有効です。自己資金がなければ、融資の条件が厳しくなることも多く、なるべく自己資金を作った方がより有利に事業を進められます。

自己資金が少ない場合には、自己資金が少なくても受けられる融資を探しつつ、資金を作る方法はないかを今一度チェックしてみた方がよいでしょう。

また「自身で制度を調べることが難しい」「時間を有効に使いたい」といった場合は、資金調達サービスに相談することをおすすめします。資金調達サービス会社は、融資のプロといって過言ではありません。経営状況などに応じて、受けられる可能性のある融資を的確に教えてくれます。

ビジネスチャンスを逃さないためにも、資金調達サービス会社のサポートを受けて最大限のメリットとなる融資を獲得しましょう。

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ファイナンスアイでは、これまで8,000社以上の個人事業主、株式会社、合同会社などの様々な事業形態に併せて、日本政策金融公庫・信用保証協会付け融資・信用金庫・銀行融資などの相談に応じています。既に起業されている方もこれから起業される方も、皆様が創業融資などの資金調達を成功させられるように成功報酬でトータルサポートしています。企業再生を数多く手掛けてきたので、創業融資だけではなく、既に経営されている皆様の資金調達のお悩みにも対応できます。お気軽にご相談ください。

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記事・コンテンツの監修者

起業創業開業の資金調達コンサルタント

株式会社ファイナンスアイ 代表取締役
田中 琢朗(たなか たくろう)

これまで8,000社以上の経営者の資金調達の相談に応じ、現在も新規で毎月100社以上の起業家・経営者・個人事業主の悩み相談に対応しています。大手金融機関にて、上場企業・中小・ベンチャーまで様々な企業のファイナンス支援を実施。その後、金融企業の起業に参画。財務の専門家として上場企業の経営企画部も兼務し、ハードなM&A等のプロジェクトを歴任。事業計画の策定やネゴシエーションに強みがあり、様々な企業再生のプロジェクトに財務コンサルタントとして関わり、多くの企業再生を成功させる。起業家、経営者の多くがファイナンス分野で苦労している現場を目の当たりにし、これが企業の成長と継続のボトルネックの一つになっていると感じ、自身の知識・経験・ノウハウを活かして、日本の経済成長に貢献できるのではと考え、2014年に株式会社ファイナンスアイを創業。以来、日本全国の多くの起業家の創業融資、個人事業主や中小企業の経営者らの資金調達や融資等を活用した経営改善を実現している。ハンズオンで起業を支援した中には、創業から数年で年商5億円を突破する経営者も続出しており、日々起業家・経営者・個人事業主のために邁進しています。

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