日本政策金融公庫(公庫)や信用保証協会などの創業融資を受けるポイント

資金調達-創業融資

日本政策金融公庫(公庫)や信用保証協会などの創業融資を受けるポイント

2023年3月3日

創業時などに融資を受ける場合、日本政策金融公庫(公庫)と信用保証協会の二つを検討する事が多いと思います。今回は、この二つの機関から創業融資を受けるためのポイント等を解説します。

日本政策金融公庫と信用保証協会の創業融資

日本政策金融公庫・信用保証協会

創業時に使える融資枠組みとして以下の2つがあります。それぞれの枠組みの要件等を見てみましょう。

日本政策金融公庫の創業融資制度

信用保証協会の創業融資制度

創業時という事業に対する信用が少ない状況にも関わらず、どちらの枠組みを利用しても原則、無担保で借りることが可能です。

なお、日本政策金融公庫の『新創業融資制度』等を活用した場合、代表者の保証も不要です。

日本政策金融公庫とは?特徴や銀行との違いをわかりやすく解説

創業融資制度は、日本政策金融公庫および信用保証協会の2つの枠組みがあることをご説明いたしました。今回は、日本政策金融公庫の創業融資制度について詳しく説明をしていきます。

日本政策金融公庫とは、どのような金融機関でしょうか。(以下 日本政策金融公庫の2022年~2024年の基本理念・経営方針・業務運営計画から抜粋)まず、日本政策金融公庫は、基本理念として、「政策金融の実施」と「ガバナンスの重視」があり、日本政府が行う金融政策を実施する窓口として活動を行う金融機関となります。

金融政策の実施として、コロナ関連の融資を取り扱いしており、ご利用された経営者も多くいらっしゃると思います。

経営の方針は、「セーフティネット機能の発揮」、「日本経済の成長・発展への貢献」、「地域活性化への貢献」等があり、成長分野へ重点的な資金供給を行うことを目的とし、創業期における融資支援を行っています。

当記事では、日本政策金融公庫の特徴や事業内容を解説していきます。日本政策金融公庫が気になる人は、借入先の候補を決める判断材料として参考にしてみてください。

日本政策金融公庫の特徴~国が株式を保有している

日本政策金融公庫の特徴に、国が株式を保有している点があります。日本政策金融公庫は株式会社ですが、株式公開等をしておらず、国が株式の100%を常時保有する旨が法律により定められており、民間の株式会社とは異なります。

日本政策金融公庫は「株式会社日本政策金融公庫法」という法律に基づき設立された、財務省所管の特殊会社です。そして、日本政策金融公庫は日本に5つある政策金融機関(政府系金融機関)のひとつに含まれます。

分かりやすく言えば、日本政策金融公庫は政策を具体化させることを目的とした金融機関です。民間の金融機関の支援が届かない部分を補うことも目的としており、日本政策金融公庫は、利益を出すことを第一目的としている民間の銀行や信用金庫と役割や存在意義が異なると言えるでしょう。

日本政策金融公庫の特徴~前身は3つの特殊法人

日本政策金融公庫の前身は、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫という3つの特殊法人で、発足年月日となる平成20年10月1日以降は、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫が担っていた業務を引き継ぎ、現在、3つの事業があります(「国民生活事業」、「農林水産事業」、「中小企業事業」)。

国民生活金融公庫 昭和26年設立
国民生活金融公庫法に基づく政策金融機関たる特殊法人。通称は「国金(こっきん)」。
農林漁業金融公庫 昭和28年設立
農林漁業金融公庫法に基づく農林水産省と財務省所管の特殊法人及び政策金融機関。
中小企業金融公庫 昭和28年設立
中小企業金融公庫法に基づく政策金融機関たる特殊法人。略称は「中小公庫(ちゅうしょうこうこ)」。

国民生活金融公庫は国金(こっきん)とも呼ばれ、その名残から、今も日本政策金融公庫のことを国金と呼ぶ人もいます。

日本政策金融公庫の3つの役割

日本政策金融公庫の経営方針にも記載されている通り、政策を具体的に実施する金融機関としての役割があります。公式サイトにある「日本公庫をはじめてご利用の方へ」には、日本政策金融公庫の役割とその概要が記載されています。

【日本政策金融公庫の役割とその概要】

セーフティネット機能の発揮 自然災害や経済環境の変化などによるセーフティネット需要に機動的に対処
日本経済成長・発展への貢献 新たな事業の創出、事業の再生、海外展開および農林水産業の新たな展開などのニーズに適切に対応
地域活性化への貢献 民間金融機関と連携し、地域プロジェクトに参画するなどの地域活性化に貢献

日本政策金融公庫では、これらの役割を担うために業務を行っています。

事業内容は3つ

日本政策金融公庫の事業内容は、国民生活事業、農林水産事業、中小企業事業の3つです。そして、業務内容はそれぞれの事業により異なります。

国民生活事業(国民一般向け業務)
  • 小口の事業資金融資
  • 創業支援、事業再生支援、事業承継支援、ソーシャルビジネス支援、海外展開支援
  • 国の教育ローン、恩給・共済年金などを担保とする融資
農林水産事業(農林水産業者向け業務)
  • 担い手を育て支える農林水産業者向け融資
  • 食の安全の確保、農食連携を支える加工流通分野向け融資
  • コンサルティングやビジネスマッチングなどの経営支援サービス
中小企業事業(中小企業者向け業務)
  • 中小企業への長期事業資金の融資
  • 新事業支援、事業再生支援、事業承継支援、海外展開支援
  • 証券化支援
  • 信用保証協会が行う債務の保証に係る保険引受など
    ビジネスマッチングなどによる経営課題解決支援

たとえば、国民生活事業では、小規模事業者や創業前、創業間もない企業を対象にした事業資金融資に加え、入学資金や学費などの教育資金融資(国の教育ローン)を行っています。また、農林水産事業では、農林漁業や食品産業を営む方々を対象に融資しています。
日本政策金融公庫は事業ごとに融資制度が異なるため、借入先として日本政策金融公庫を検討中の人は、まずはどのような融資制度があるかを確認してみましょう。

日本政策金融公庫の融資制度や支援制度は、様々な融資の種類を準備することで、銀行や信用金庫よりもきめ細かなサポートを行える仕組みになっています。

ただし、「適用金利」「融資限度額」「融資期間」などの利用条件は、それぞれの融資制度により異なります。また、種類もいろいろあるため、自身の状況を踏まえて、日本政策金融公庫の公式サイトにある「融資制度一覧から探す」を確認してみましょう。

新型コロナウイルス感染症関連の融資制度について

日本政策金融公庫には、新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に業況悪化をきたしている方を対象とした「新型コロナウイルス感染症特別貸付」があります。

新型コロナウイルス感染症特別貸付の概要

制度概要

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、最近の売上が一定程度減少している方または債務負担が重くなっている方にご利用いただける融資制度です。
災害により被害を受けた方がご利用いただける災害貸付と同様に、ご融資利率が低減され、長期でご返済いただけます。
ご融資限度額は、日本公庫の既存の融資制度を適用した貸付残高にかかわらず別枠で、8,000 万円です。このうち 6,000 万円(日本公庫の既存融資のお借換部分も含みます。)を限度として、当初3年は災害発生時の融資制度に適用される基準利率から 0.9%低減した利率が適用されます。3年経過後は災害発生時の融資制度に適用される基準利率となります。

ご利用頂ける方

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一時的な業況悪化を来している方であって、次の1または2のいずれかに該当し、かつ中長期的に業況が回復し、発展することが見込まれる方。

  1. 最近1ヵ月間の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高が前5年のいずれかの年の同期と比較して5%以上減少している方
  2. 業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合等は、最近1ヵ月間の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高(業歴6ヵ月未満の場合は、開業から最近1ヵ月までの平均売上高)が次のいずれかと比較して5%以上減少している方
     ア)過去3ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高
     イ)令和元年12月の売上高
     ウ)令和元年10月から12月の平均売上高
  3.  債務負担が重くなっている方
資金のお使いみち 新型コロナウイルス感染症の影響に伴う社会的要因等により必要とする設備資金、運転資金
融資限度額 8,000万円(別枠)
利率(年) 基準利率
ただし、6,000万円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%(注2)、4年目以降は基準利率
ご返済期間 設備資金 20年以内(うち据置期間5年以内)
運転資金 20年以内(うち据置期間5年以内)
担保・保証 担保:無担保
保証:要相談

注意ポイント

審査結果によっては「希望する金額を借りられない」「融資を受けられない」といった場合もあります。

新型コロナウイルス感染症特別貸付が気になる人は、日本政策金融公庫の公式サイトにある「店舗案内」から最寄りの支店窓口を検索し、担当者に問い合わせてみることを検討してみましょう。

※新型コロナウィルス感染症特別貸付のQ&A:
https://www.jfc.go.jp/n/finance/saftynet/pdf/covid_19_faq.pdf

まとめ

ただし、日本政策金融公庫から融資を受けるには、所定の審査に通る必要があります。また、書類提出や面談があるため、日本政策金融公庫から融資を受けたい人は事前準備が必要です。

事前準備や審査に不安がある人は、当社株式会社ファイナンスアイにお気軽にご相談ください。資料作成や面談対策など、一連の流れをサポートいたします。

また、当社は信用保証協会を利用した民間金融機関からの融資のサポートも引き受けています。まずはお問い合わせいただき、今後の資金調達計画を一度ご相談ください。

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ファイナンスアイでは、これまで8,000社以上の個人事業主、株式会社、合同会社などの様々な事業形態に併せて、日本政策金融公庫・信用保証協会付け融資・信用金庫・銀行融資などの相談に応じています。既に起業されている方もこれから起業される方も、皆様が創業融資などの資金調達を成功させられるように成功報酬でトータルサポートしています。企業再生を数多く手掛けてきたので、創業融資だけではなく、既に経営されている皆様の資金調達のお悩みにも対応できます。お気軽にご相談ください。

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記事・コンテンツの監修者

起業創業開業の資金調達コンサルタント

株式会社ファイナンスアイ 代表取締役
田中 琢朗(たなか たくろう)

これまで8,000社以上の経営者の資金調達の相談に応じ、現在も新規で毎月100社以上の起業家・経営者・個人事業主の悩み相談に対応しています。大手金融機関にて、上場企業・中小・ベンチャーまで様々な企業のファイナンス支援を実施。その後、金融企業の起業に参画。財務の専門家として上場企業の経営企画部も兼務し、ハードなM&A等のプロジェクトを歴任。事業計画の策定やネゴシエーションに強みがあり、様々な企業再生のプロジェクトに財務コンサルタントとして関わり、多くの企業再生を成功させる。起業家、経営者の多くがファイナンス分野で苦労している現場を目の当たりにし、これが企業の成長と継続のボトルネックの一つになっていると感じ、自身の知識・経験・ノウハウを活かして、日本の経済成長に貢献できるのではと考え、2014年に株式会社ファイナンスアイを創業。以来、日本全国の多くの起業家の創業融資、個人事業主や中小企業の経営者らの資金調達や融資等を活用した経営改善を実現している。ハンズオンで起業を支援した中には、創業から数年で年商5億円を突破する経営者も続出しており、日々起業家・経営者・個人事業主のために邁進しています。

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