中小企業の資金調達にも大きく影響する法案として、平成28年7月1日に施工された「中小企業等経営力強化法」について今回はご説明致します。
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■中小企業等経営強化法の制定・施行に至った背景や目的は?
日本において経済が継続的に発展していくためには、個人消費の活性化が必要です。このためには、企業において賃上げが行える経済構造にしていき、働いている方々の給与が増えて、消費に振り向けれる環境を作っていく必要があります。
しかし、人口減少・少子高齢化の進展に伴う労働力人口の減少や、国際競争の激化等により、中小企業・小規模事業者を取り巻く事業環境は厳しさを増し、大企業が成長している中、中小企業・小規模事業者は停滞状況にあり、その格差は広がるばかりです。この状況を打開するために、中小企業・小規模事業者の方々が労働生産性を高めることを主眼とし、「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」を改題して、「中小企業等経営強化法」が制定されました。
■「中小企業等経営強化法」でどのような施策が展開されるの?
「経営力向上計画」を作成し国の認定を受けることで、
- 生産性を高まるために機械装置を取得した場合、3年間の固定資産税を1/2に軽減することができます。
- 計画に基づく事業に必要な資金繰りを融資や信用保証等により支援してもらうことができます。
ここでは、「2」の『計画に基づく事業に必要な資金繰りを融資や信用保証等による支援』について深く触れたいと思います。
当該支援は
- 商工中金による低利融資
- 中小企業信用保険法の特例
- 中小企業投資育成株式会社法の特例
- 日本政策金融公庫によるスタンドバイ・クレジット
- 中小企業基盤整備機構による債務保証
- 食品流通構造改善促進機構による債務保証
の6種類があります。
次に個別の制度について確認していきます。
1:商工中金による低利融資
経営力向上計画を策定した場合、商工中金の独自の融資制度により低利融資を受けられます。
2:中小企業信用保険法の特例
中小企業者は、経営力向上計画の実行にあたり、民間金融機関から融資を受ける際、信用保証協会による信用保証のうち、普通保険等の別枠の追加保証や保証枠の拡大が受けられます。
通常枠 | 別枠 | |
普通保険 | 2億円(組合4億円) | 2億円(組合4億円) |
無担保保険 | 8,000万円 | 8,000万円 |
特別小口保険 | 1,250万円 | 1,250万円 |
新規事業開拓保険 | 2億円⇒3億円(保証枠の拡大) |
3:中小企業投資育成株式会社法の特例
経営力向上計画の認定を受けた場合、通常の投資対象(資本金3億円以下の株式会社)に加えて、資本金が3億円を超える会社(中小企業者)も中小企業投資育成株式会社からの投資を受けることが可能になります。
4:日本政策金融公庫によるスタンドバイ・クレジット
経営力向上計画の認定を受けた中小企業者(国内親会社)の海外支店または海外現地法人が、日本公庫の提携する海外金融機関から現地通貨建ての融資を受ける場合に、信用状を発行して債務の保証を実施できます。
- 保証限度額:1法人あたり最大4億5000万円
- 融資期間 :1~5年
5:中小企業基盤整備機構による債務保証
中堅クラスの企業等、信用保険法の特例が措置されていない中小企業者以外の者が、経営力向上計画を実施するために必要な資金について、保証額最大25億円(保証割合50%、保料料率:有担保0.3% 無担保0.4%)の債務の保証を受けれます。
6:食品流通構造改善促進機構による債務保証
食品製造業者等は、経営力向上計画の実行にあたり、民間金融機関から融資を受ける際に信用保証を使えない場合や巨額の資金調達が必要となる場合に、食品流通構造改善促進機構による債務の保証を受けられます。
資金調達に影響する「中小企業等経営力強化法」のまとめ
上記の制度について、公的融資または公的債務保証の判断は個別に行われますので、経営力向上計画の認定をもって、公的融資や公的債務保証を受けることができる保証とはなりません。しかし、中小企業等経営強化法に基づく認定は皆様の信用の向上に期するものであることは間違いないものであると考えております。
ファイナンスアイは、中小企業の皆様の経営力強化に向けた認定と公的融資・公的債務保証を通した資金調達を全面的にバックアップして参ります。いつでもお気軽にご相談下さい。
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