銀行で個人融資を受ける方法!流れや個人の限度額を解説

資金調達-創業融資

銀行で個人融資を受ける方法!流れや個人の限度額を解説

2023年4月15日

 お金が足りないときには銀行から融資を受けることを検討するのが、事業を営んでいる人の常識でしょう。会社、個人事業主は銀行からさまざまな事業用融資を受けられます。しかし、それは、銀行が毎月事業で利益を出して、そこから返済できることが確定申告書や試算書で確認できるからです。

 それらの書類を提出できない、普通の会社員や公務員、アルバイト、主婦の方などは銀行から融資を受けられるのでしょうか?事業用の運転資金、設備資金以外の個人的な用途で融資を受けることができたら、さまざまな場面で助かることが多いはずです。

 今回は、個人が資金で銀行から融資を受ける際の流れなどについてポイントを押さえて紹介します。

 まず銀行の個人融資とは?

まず個人で融資を受けられる銀行の融資には、どのような種類があるのか紹介します。

個人が受けられる融資にはさまざまな種類がありますが、そのなかでも銀行で受けられる個人融資は以下になります。

融資の種類 内容
住宅ローン 融資は1回のみ。金利は低く1%以下。住宅ローン控除あり。購入した住宅に担保が設定される。元利均等返済が基本。
カーローン 融資は1回のみ。金利は2%〜5%以下。控除はない。購入した住宅車に担保が設定される場合とされない場合あり。元利均等返済が基本。
教育ローン 融資は1回または複数回。金利は3%以下。無担保の場合10年、有担保の場合20年〜25年融資可能。元利均等返済だが在学中は利息のみ返済。学生支援機構の奨学金に似た制度。
カードローン 借入限度額の範囲内なら、何度でも借入可能。金利は3%〜14%程度、融資額が多くなると下がる。銀行のカードローンの場合、総量規制は適用されないが、銀行の内部規定で限度額が同等になることが多い。
フリーローン 融資は1回のみ。金利は4%〜14%。担保の設定可能。融資の用途は問わない。元利均等返済が基本。銀行のフリーローンの場合、総量規制は適用されないが、銀行の内部規定で限度額が同等になることが多い。

上記の融資なら事業を行っていない個人でも借りることが可能です。

比較的審査が通りやすい銀行の個人融資は?

個人向け融資の中でも、住宅ローン、カーローン、教育ローンは最初から目的が決まっています。住宅を購入しない人に住宅ローンは融資されません。また、教育ローンの場合、日本学生支援機構の奨学金を借りた方が有利なケースが多く、足りない部分を教育ローンで補うのが一般的かもしれません。

個人が、自分の私的な用途で融資を申請し、かつ比較的審査が通りやすい銀行の融資の種類としては

  • カードローン
  • フリーローン

の2つが挙げられます。

この2つの個人向け融資は、金利はそこそこ高いのですが、資金の使い道は自由で、審査もそこまで厳しくないケースが多いです。金利も消費者金融の同じようなカードローンやフリーローンに比べると低く、信用情報に融資の事実が記載されても、マイナス評価になることは少ないです。

消費者金融の場合、融資の事実そのものが大きなマイナス、信用を下げる評価になりかねません。一方、銀行からのカードローンやフリーローンはそこまでのマイナスにはなりません。

また年収の3分の1までしか借りられない「総量規制」は消費者金融を規制する「貸金業法」なので、「銀行法」が規制するものではなく、適用されないことも押さえておきましょう。

個人融資を行っている銀行4選

非事業用の個人向け融資を受けたい場合、どの銀行窓口に行けばよいのでしょうか?個人向け融資の種類を提供している代表的な銀行を紹介します。

三井住友銀行

 3大メガバンクの1つ三井住友銀行の個人向け融資です。種類としては、住宅ローンや教育ローン、カーローン、カードローン、フリーローン、さらに「リバースモーゲージ型住宅ローン」があります。

リバースモーゲージ型住宅ローンは自宅を担保に資金を融資し、毎月利息のみを返済する。亡くなった時に自宅を売却し元金を返済する「終活」向けの個人融資です。

三井住友銀行の個人向け融資の特徴をまとめると

三井住友銀行の個人向け融資の特徴

  • 用途がある程度自由
  • 結婚式や車の修理のためでも審査が通る
  • 24時間申し込みが可能
  • 審査内容により金利は左右する

になります。

みずほ銀行

 同じくメガバンクのみずほ銀行でも個人向け融資があります。個人向け融資の種類が豊富で住宅ローンや教育ローン、カーローン、カードローン、フリーローン、さらに「住宅改修のための「リフォームローン」、「ホームエクイティローン」(資産活用のためのローン)、「みずほ リ・バース60」(三井住友銀行の「リバースモーゲージ型住宅ローン」と同じ)があります。

特徴をまとめると以下になります。

みずほ銀行の個人向け融資の特徴

  • 住宅ローン、カードローン、リフォームローン、教育ローンなど融資の種類が豊富
  • カードローンは24時間いつでも借り入れ可能
  • 無担保のローンもある
  • 最長10年融資してもらえる

より細かい目的別の個人向け融資の種類があるのがポイントです。

PayPay銀行

 ソフトバンク系列のネット専業銀行です。QRコード決済としてPayPayを利用している人も多いはずで、そのPayPayアプリ上から申し込みできます。

 種類は、個人向けカードローンのみですが、すべてスマホ上で手続きできます。実際に銀行窓口へ行くことなく気軽に融資の申し込みができます。

 PayPay銀行の個人向け融資の特徴は以下になります。

PayPay銀行の個人向け融資の特徴

  • ネット銀行なのでローンが気軽に申し込める
  • 主婦やアルバイトでも申し込み可能
  • 返済は月1,000円〜と安価に設定できる
  • スマートフォンでも申請可能

融資までの利便性は圧倒的であり、少額の融資を希望する際にはメガバンクから借りなくても済みます。

りそな銀行

 3大メガバンクに次ぐ規模を持つりそな銀行の個人向け融資です。店舗が少なく、申し込む機会がないのでは?と思われるかもしれませんが、オンライン申し込みが進んでいて、三井住友銀行やみずほ銀行の個人向け融資よりも手軽に申し込めます。

 融資の種類としては住宅ローン、教育ローン、カーローン、カードローン、フリーローン、リフォームローン、「多目的ローン」があります。

 フリーローンと多目的ローンは似ていますが、多目的ローンは文字通り目的(住宅、車、教育以外)が決まっている融資で、金利がフリーローンより低くなっています。多目的ローンが使えない場合、金利が高いフリーローンを考えることになります。

 りそな銀行の個人向け融資の特徴は以下です。

りそな銀行の個人向け融資の特徴

  • スマートフォンでも申請可能
  • アプリで残債を確認できる
  • ローンでポイントが貯まる
  • 基本無担保、保証人不要

このように、メガバンク系の個人向け融資と差別化され、ネット銀行に近い使い方ができます。

銀行の個人融資を受ける流れ

銀行から個人向け融資を受けたい場合どのような流れになるのでしょうか?ポイントをまとめました。銀行によっても異なる場合がありますのでご留意ください。

銀行のホームページにて見積もりをする

事前にシミュレーションできる銀行もあるので、その場合は先に見積もりをしておくと良いでしょう。借入額、毎月の返済額(元金+利息)、何回払いになるのか、などおおよその見当がつきます。

この時点で大体の返済計画を考えておくことが大切です。

個人融資を申し込む

次に実際に窓口で申し込みを行います。銀行の実店舗は年々縮小しています。ネット銀行の場合は、店舗がないのでオンライン上での手続きになります。

場合によっては必要書類を求められるので、用意して銀行に持っていきましょう。ネット銀行の場合は資料をPDF化しデータを送ることになります。

審査

必要書類とともに審査が開始され、1週間〜1ヶ月程度で審査結果が届きます。事業を営んでいる方の住宅ローンや教育ローンの場合、確定申告書や決算書が審査対象になりますが、会社員など給与所得者の場合は、安定して収入があること、勤務先の今後の見通しなどが重視されます。

公務員が融資に強いイメージがあるのは、会社倒産やリストラがなく、今後の収入見通しが立てやすく返済計画がわかりやすいからです。

一方で、芸能関係などの今は収入が高くても今後どうなるかわからない職業の場合、ローンの審査が下りない可能性があります。個人向け融資は、数年、数十年にわたり安定して収入があり、そこから返済できることが重要です。

融資金額の振り込み

融資の結果について問題がなければ、正式に融資契約が取り交わされます。

同意後、融資金額が指定の口座に振り込まれますので、目的に応じて利用することができます。

個人融資の返済スタート

融資後一定の「据置期間」のあと、個人融資の返済が始まります。融資の返済一覧表、返済予定表にある期日には口座に返済額が必ずあるようにしてください。

返済日に口座にお金がない、あるいは自分で銀行へ返済し忘れることがあると、「返済事故」となり、信用情報に事故情報が登録される、いわゆる「ブラックリスト」となります。信用を失いかねないので注意が必要です。

銀行で個人融資を受ける際のよくある質問

銀行で個人融資を受ける際によく聞かれる質問をまとめましたので参考にしてください。

個人融資の限度額は大体どれくらい?

基本的に「年収の3分の1」か「自己資金の2倍」が目安だと言われています。年収300万円なら100万円が限度額、自己資金が100万円なら200万円まで融資してもらえると考えたほうが良いでしょう。

 銀行融資は消費者金融融資ではないので、「年収の3分の1までしか借りられない総量規制」の対象外です。したがって、年収相当を借りることも法的にできる場合もありますが、銀行側の自主規制で総量規制相当の基準にしているところが多いです。

 ただし、この自主規制はカードローンやフリーローンについてであり、住宅ローンや教育ローンであれば長期にわたって返済するので、年収の数倍借りられます。

銀行融資には何が必要?

個人の場合は大きく分けると「身分証明書」「年収や収入の証明」「振込先の通帳」の3点が必要です。

例として、ある銀行のフリーローン申し込みに必要な書類を紹介します。

申し込みに必要な書類

  1. 本人確認資料
    運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、健康保険証+住民票のいずれか原本
  2. 所得証明資料:融資金額が50万円を超える場合は必ず提出

    1:給与所得者の方(勤続年数が1年以上の場合)
    前年の源泉徴収票、確定申告書(第一表・第二表)のいずれか

    2:給与所得者の方(勤続年数が1年未満の場合)
    現在の勤務先へ入社してから現在までの給与明細書、賞与明細書すべて

    3:自営業者の方
    前年の確定申告書(第一表・第二表)または納税証明書その1・2(税務署発行分)

  3. 返済予定の普通預金口座通帳

その他事業計画書や返済計画書、印鑑証明書を求められる場合もあるので各銀行に事前に確認しておきましょう。印鑑証明書が必要な場合、事前に自治体へ印鑑登録が必要になります。

銀行の個人融資で起業できる?

事前に用途をしっかり話しておけば可能な場合もありますが、個人事業主向けのビジネスローンにするように注意される可能性もあります。基本的に起業のための融資は「創業融資」の枠組みで行います。その方が、金利も低く、自治体からの補助などもあるため有利な可能性があります。

不安があれば開業届を出しておき、個人事業主用のローンに申し込んだほうがいいでしょう。事業者向けの融資の方がさまざまな公的サポートが期待できます。

銀行の個人融資についてまとめ

 銀行の個人向け融資は、種類こそ少ないものの、消費者金融のカードローンやフリーローンに比べると金利も低く、信用情報がマイナスにならない点で大きなメリットがあります。

 総量規制の対象外ですが、銀行で規制されているので、ローン地獄に陥る可能性も低いです。リスクが大きい消費者金融へ行く前に、まず最寄りの銀行で個人向け融資がないか確認してみましょう。

 起業資金として考えている場合は、もっと金利が低く公的サポートが期待できる枠組みがあります。そのあたりも銀行の担当者が教えてくれるはずです。

 みなさんご自身の資金繰り改善について、銀行の個人向け融資はしっかり対応してくれるので安心してください。

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記事・コンテンツの監修者

起業創業開業の資金調達コンサルタント

株式会社ファイナンスアイ(経済産業省M&A支援機関登録済)
代表取締役 田中 琢朗(たなか たくろう)

大手の金融機関・上場企業の財務部門責任者などを歴任し、2014年にファイナンスアイを創業。業界歴30年・創業10年のベテラン。中小企業・個人事業主・起業家と一緒に、現場で泥臭く汗をかいて靴をすり減らして財務を軸に経営者を支援し続け、のべ10,000人以上の圧倒的な実戦経験を持つ。ノウハウを「ファイナンスアイ式メソッド」として確立。中小にはびこる悪質なM&Aの被害をなくすために、M&A支援も本格化。売手・買手のいずれの立場からも真のM&Aを提供。現在も毎月150件以上の新規相談に対応し、毎週セミナーも開催中。日本経済のために今日も邁進しています。

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