創業計画書の必要性や書き方を徹底解説!その他揃えるべき必要書類も紹介

資金調達-創業融資

創業計画書の必要性や書き方を徹底解説!その他揃えるべき必要書類も紹介

2023年4月20日

事業を始めるにあたって必要なのが「創業計画書」です。しかし、記載する項目が多く、事業計画書と内容が似ている部分もあるため、いまひとつ必要性がわからない方も多いのではないでしょうか。

自己資金のみで事業を始めるなら、創業計画書が不要なケースもありますが、事業を始めた後に失敗や後悔しないためにも作成する必要があります。

この記事では、なぜ創業計画書が必要なのかを解説し、書き方についても記載例を紹介しながらお伝えしていきます。事業を始めたいと考えている方は、参考にしてみてください。

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創業計画書とは

創業計画書は、事業を始める前の資金調達時に提出を求められる「事業計画書」のひとつです。
創業計画書には、ビジネスのアイデア、市場分析、競合分析、財務計画、マーケティング戦略など、ビジネスを始めるうえで必要な情報が含まれています。

創業計画書を作成することで、ビジネスのアイデアを詳細に検討し、問題点や機会を洗い出すことができます。また、市場や競合を分析することで、自社の強みや弱みを把握することができます。

財務計画やマーケティング戦略を策定することで、事業の将来を見通すことができます。これにより、必要な投資や人材、資金調達などを適切に計画することができます。

創業計画書は、自分自身やパートナー、投資家、金融機関などに自社のビジネスを説明する際にも役立ちます。緻密な計画があることは、信頼性や信用性を高め、投資家や金融機関からの資金調達の成功率を高めることができます。

総じて、創業計画書は起業する際に不可欠なものであり、ビジネスを成功させるためには欠かせないものです。

では、事業計画書とどういう点が異なっているのか、以下で詳しく解説していきます。で事業を始めようと思っている方は、違いについて学んでおきましょう。

事業計画書との違い

創業計画書と事業計画書の違いについて、作成時期と書くべき内容に分けて解説していきます。

創業の際の融資を受ける場合、融資の内容や申し込み先によっては、創業計画書のほかに事業計画書の作成が必要になるケースもあります。そのため、どちらの計画書についても理解しておくことが大切です。

作成時期

創業計画書は、まだ事業を始めていない段階で、融資を受けるために作成します。一方、事業計画書は、事業を始めた後に、主に融資などの資金調達が必要になったときに作成する書類です。

事業計画書は事業を始めた後なので、経営の状態や業績、手掛けている事業の内容をまとめる形で作成します。そのため、資料や帳簿などが管理されていれば、スムーズに作成できるでしょう。

しかし、創業計画書は、まだ事業が始まっていない段階で作成するため、提出する担当者や日本政策金融公庫などの機関を納得させる根拠を揃えなくてはなりません。

書くべき内容については次項で詳しくお伝えしますが、作成する前から情報収集や実績づくりを行い、融資が通るだけの根拠がある創業計画書を作成する必要があります。

また、融資を受けずにすべて自己資金で事業を開始する場合も、創業計画書を作成しておくのがおすすめです。なぜなら、始める事業の内容などを整理でき、もし融資が必要になったときにでも対応できるというメリットがあるためです。

書くべき内容

創業計画書と事業計画書には、以下の項目について書く必要があります。

創業計画書 ・事業を始める理由
・事業を始める方(経営者)の経歴
・想定している取引先
・提供する商品やサービス
・事業を始めるために必要な資金
・事業の収支計画
・資金の調達方法
・雇用する予定の従業員
・事業資金以外の借り入れの有無
事業計画書 ・経営者や経営に関わっている方の経歴
・会社の理念やビジョン
・事業を行う目的
・行っている事業の内容
・競合との関係性など市場について
・取引先や取引の内容
・これまでの売上や利益
・現状の資金や今後の資金計画

創業計画書は、事業を始める前に作成するため、事業を始める理由や経営者の経歴などが重要視されます。融資する側は、問題なく返済可能かを創業計画書によって判断する必要があるため、データなどの具体性のある根拠に基づいて作成しなければいけません。

これまでに事例がないようなサービス・商品を提供する事業であれば、どれほど売上が見込めて、滞りなく返済が可能であることを証明する必要があります。担当者や創業計画書の作成に詳しい方にアドバイスを受けながら、融資に通る書類を作成していきましょう。

一方、事業計画書はすでに事業が始まっている状態なので、売上や利益についても記載します。融資だけではなく、事業を拡大したり、新しい事業を始めたりする際にも必要です。

事業の拡大や新規事業をしても問題がないと判断されるために、現状の売上・利益があることを具体的に記載し、想定される競合他社についてもリサーチしておきましょう。

創業計画書の必要性

記載する項目が多く、作成が難しく感じてしまう創業計画書ですが、以下のような場面で役立つので、事業を始める場合には必須となります。

創業計画書が役立つポイント

  • 事業の内容や特徴を整理できる
  • 自社の強みと弱点を整理できる
  • より多角的な視点を持てる
  • 資金調達には作成が必須となる

創業計画書のほかにも、いくつも用意する書類があり大変ですが、事業計画を進めるために作成しておきましょう。

事業の内容や特徴を整理できる

想定している事業のイメージを具体的に融資担当者や取引先に伝える際に、創業計画書が役立ちます。

創業計画書が役立つポイント~事業内容の整理

  • どういう事業なのか
  • 取引先にとってのメリットは何か
  • 確実に売上をあげられる事業なのか

融資担当者や取引する側の方は、上記のような点を知ったうえで、融資すべきか、または取引すべきなのかを判断するため、根拠に基づいた創業計画書の存在が重要です。事業を始める側のイメージだけでは、融資や取引の判断が困難となります。

また、イメージがあっても「具体的には?集客数の見込みは?」と詳細に質問されると、答えられないこともあるでしょう。行いたい事業の内容や特徴を伝えるためだけでなく、事業内容を整理してブラッシュアップするためにも、創業計画書は必要となります。

自社の強みと弱点を整理できる

創業計画書を作成する際、競合となりうる企業やサービス・商品を洗い出して、自社と競合との差別化を図るため、自社の強みと弱点を整理できます。

始めたい事業で提供する内容が、他社がすでに提供している商品・サービスと似ている場合、差別化を図らなければいけません。

競合他社にブランド力があり、長い間サービスや商品を提供し続けてきたのであれば、融資や取引をする側は「売上が見込めないのでは?」という不安をもちます。

そうしたマイナスポイントまで先回りして対策を練り、自分の頭のなかだけでなく、融資や取引をする側にも自社の強みと弱点、弱点への対策を適切に伝えられるようにしておくことが大切です。

創業計画書を作成する際は、競合となりうる企業やサービス・商品をリサーチしたうえで、自社の強みと弱点を整理していきましょう。

より多角的な視点を持てる

事業を始めるだけでなく、事業を続けていくためには、創業の時点でより多角的な視点を持っておくことが大切です。

しかし、まだ事業を始めていない時点では、イメージだけで事業開始に向けて動かなければいけないため、視野が狭くなってしまいます。

事業を長期的に続けていくためには、サービス・商品を提供してお金をいただく、集客が多ければ多いほど儲かるなどシンプルなことだけでなく、資金繰りや従業員の管理など、細かい部分まで考慮しなければいけません。

創業計画書を作成しておけば、事業を始める前に、融資の担当者や起業の専門家などからアドバイスがもらえます。

自分が重要だと思っている部分以外に、適正な従業員数の設定や仕入れ先の見直しが必要な点など、ひとつの事業に対して、別の角度からの意見・評価が得られるのが創業計画書のメリットです。

また、経営者として身につけておくべき知識や能力を養うきっかけにもなるので、事業を始める前には創業計画書の作成をしましょう。

資金調達には作成が必須となる

創業資金を調達するためには、創業計画書が必須です。事業を始める前は、返済能力があると証明できるだけの事業実績がありません。そのため、創業計画書を作成し、詳細な事業計画を提示することで、事業自体の可能性について説得力を持って伝えることができ、融資を受けられる可能性を高めることが可能です。

必要な書類は融資の依頼先によって異なりますが、一般的には創業計画書の添付が必須となっているため、依頼先で用意された書式に沿って作成しなければいけません。

創業計画書の内容によっては融資ができないと判断され、資金調達ができないケースもあるため、事前に完成度を上げる必要があります。

希望する額の資金が調達できるよう、内容を熟考し、作成を進めていきましょう。

創業計画書のテンプレートと書き方

事業を始める方が創業計画書の作成を進めていけるよう、ベースとなるテンプレートと書き方について解説していきます。一通り必要な項目を確認した後、自分自身と事業開始を検討している内容に置き換えて書き出してみましょう。

テンプレート

創業計画書の書き方を解説していく前に、記載していくベースとなる日本政策金融公庫のWEBサイトにアップされている「創業計画書」の雛型をダウンロードして、内容をチェックしましょう。

創業資金の融資を依頼する先によって、細かい書式は異なるケースがありますが、創業資金で利用するのは「日本政策金融公庫」である場合が多いです。

日本政策金融公庫|国民生活事業|各種書式ダウンロード|創業計画書(PDF)

Excelデータは、下記のページの「創業計画書Excel」よりダウンロードしましょう。

日本政策金融公庫|国民生活事業|各種書式ダウンロード

なお、上記ページ内には洋風居酒屋や美容業など、業種ごとに「創業計画書記入例」が用意されています。当てはまるものがあれば、該当業種の記入例についてもダウンロードしておきましょう。

創業の動機

創業計画書の1番はじめに位置している「創業の動機」は、どうして事業を始めようと思ったのかを簡潔に、かつ内容を濃く伝える必要があります。

事業を始めるうえでの熱意が、創業計画書の1番最初の段階で伝わるかどうかで、創業の動機以降の項目にも信憑性が増します。そのため、最重要項目として具体的に記入しましょう。

創業の動機は最重要項目

  • 事業を始めようと思ったきっかけ
  • 提供したいサービスや商品への思い
  • 創業に至るまでのストーリー
  • 今、創業する理由

上記のような内容を、自分の言葉で伝えましょう。日本政策金融公庫の創業計画書の雛型では、創業の動機は4行用意されていますが、書ききれない場合は別紙で用意しても構いません。

しかし、長すぎても伝えたいことがまとまっていない、とマイナスな判断をされてしまいます。書きたいことをすべて書き出したうえで、伝わりやすいように、簡潔にまとめていきましょう。

創業への真剣度をアピールする

創業の動機の欄では「本気で事業を成功させたいと思っていること」をアピールしてください。事業を始めるために、これまでどういう苦労をしてきたのか、どれほど注力してきたのかを記載しましょう。

また、具体的な期間を記載内容に含めると時系列がわかりやすくおすすめです。たとえば「前から準備を重ねてきて」と書くよりも「3年前より準備を重ねてきて」と具体的に言われた方が、費やしてきた時間が正確に伝わり、プラスの印象となるでしょう。

何度も見直して「事業のことを真剣に考えている」という印象を与えられる文章を考えていくことが大切です。

経営者の略歴等

創業計画書は、事業を始める前に作成するため、事業全体ではなく、経営者の経歴や実績が重要視されます。

事業に関連する経験を見られる

始める事業に関して、同様の職種の経験があるのかが見られます。たとえば、洋風居酒屋を開業する場合、飲食店での勤務経験の有無を見られるため、経験がある場合は必ず記載しましょう。

審査でプラス評価を得るためには、一般的に3年以上の事業に関連する経験があることが必要です。事業を始めたいと考えはじめた段階で、関連した実務経験を積めるように、逆算して行動するのもよいでしょう。

知識や資格の有無を問われている

事業を始めるにあたって、事業に関連する知識・資格だけでなく、税や会計などの経営者として必要な知識も審査項目のひとつになります。これまでに店長やエリアマネージャーなど、従業員をまとめた経験があれば、忘れずに記載しましょう。

また、金融機関などで、起業に必要な知識を学べるセミナーや講習会が開催されているケースもあるので、税や会計の知識に触れたことがない場合には、参加しておくのがおすすめです。

取扱商品・サービス

事業で取り扱う商品やサービスを記載しましょう。商品やサービスの内容だけでなく、以下の項目についても触れる必要があります。

取扱商品・サービス

  • 提供するエリア
  • 狙っているターゲット層
  • 提供する商品やサービスの市場規模

提供する商品やサービスが、提供するエリアとマッチしていない場合、提供方法によっては売上が見込めません。売上が見込めない場合、提供するものを見直すか、提供方法やエリアを考え直す必要があります。

不明確な項目や、十分な売上が見込めないと判断される内容であった場合、再度検討することになってしまいます。十分な市場調査をしたうえで、記入するようにしましょう。

集客方法の見通しなども記入する

商品・サービスを提供するためには、提供するエリアや、設定したターゲット層に合わせた集客方法を考える必要があります。

どのように集客をする見通しなのか、数値や市場調査をした結果を効果的に用いて、詳細に記入しましょう。また、集客で利用する媒体についても記載してください。

集客方法の見通し

  • WEBサイト
  • 紙媒体(ポスティング等)
  • SNS
  • DM

どの集客媒体をメインにしていくのか、集客のためにかかる費用についても触れておくと、具体的な内容を伝えることができます。これまで広告に携わってきた経験がある場合は、経験を踏まえ、集客率や見込まれる集客数を数値化してまとめましょう。

競合と差別化は図れているか

集客方法などを具体的に記載しても、競合と差別化が図れていない場合は、集客ができない可能性が高いと判断されます。提供するサービス・商品の想定される競合を書き出し、どういう点で差別化を狙っていくのかを記載しましょう。

記載するにあたって、差別化ができる根拠となるデータや事例があると信用が増します。他業種などのケースを踏まえながら、差別化が可能であり、集客が見込めると判断してもらえる内容にしてください。

取引先・取引関係等

集客ができても、商品・サービスを提供できる体制が整っていなければ、事業は成り立ちません。

取引先・取引関係等

  • BtoB:仕入れ先や販売先
  • BtoC:ターゲット顧客の具体的なデータ

以下では、に、上記2つの事業パターンに分けて、記載する内容を解説します。

BtoB:仕入れ先や販売先

サービス・商品を提供するために仕入れが必要になる場合や、企業に向けて提供する場合は、仕入れ先・販売先の確保が不可欠です。

たとえば、飲食業で働いていた際に知り合った仕入れ先とつながりがあるなど、想定・確保している仕入れ先や販売先の名称や住所のほかに、仕入れ先との関係性についても記載しましょう。

事業内容や集客方法が適切でも、仕入れ先や販売先が具体的に記載されていないと、サービス・商品を十分に提供できないと判断されてしまいます。

問題なく継続的に提供ができると判断してもらえるよう、創業計画書を提出する前に、仕入れ先・販売先と連絡をとっておくのがおすすめです。

BtoC:ターゲット顧客の具体的なデータ

ターゲット顧客に対してサービス・商品を提供する場合、以下のような具体的なデータが必要です。

ターゲット顧客の具体的なデータ

  • 購入するタイミング
  • 購入する方の職業や年齢
  • 顕在ニーズ
  • 潜在ニーズ

「継続して売上を出すことができる」と思ってもらうためには、上記のデータに基づき、顧客から選ばれ続ける仕組みと根拠がなければいけません。

提供するサービス・商品が選ばれるプロセスや、競合ではなく自社が選ばれる根拠を伝えられるよう、ターゲット顧客のデータを収集しましょう。

従業員

経営者以外に従業員を雇う必要がある場合は、以下の内容を詳しく記載しましょう。

ポイント

  • 従業員数
  • 業務内容
  • 雇用形態(正社員やパート・アルバイト等)

正社員である必要はないため、パートやアルバイトで雇う予定の従業員人数も記載してください。

新創業融資制度の「雇用創出」に関わる

従業員を1人以上雇用する前提で進めていけば、新創業融資制度の「雇用創出」の要件を満たすため、特別利率で融資が受けられる可能性があります。

利率を通常よりも低くできれば、それだけ返済金額を抑えられるので、従業員を雇う予定があれば必ず記載しましょう。

お借入の状況

創業する時点で、事業資金の融資以外で借入があるかを記載しましょう。

記載が必要な借入の例

  • 自動車ローン
  • カードローン
  • 住宅ローン

各ローン会社の契約書類などを確認しながら、借入残高と年間の返済金額を正確に記載してください。

申告内容は正直に記載する

借入が多ければ多いほど審査は厳しくなるため、実際の借入額よりも少ない金額を記載してしまう方もいるかと思いますが、申告内容は必ず正直に記載しましょう。

融資をする側も、記載した内容に誤りはないかをチェックするため、偽りの記載をしても後に判明してしまいます。正直に記載しなかったことで信用を失い、審査が通らないおそれもあるので、必ず正しい情報を記載してください。

必要な資金と調達方法

事業を始めるための資金と、継続していくための資金を計算し、それぞれの資金の調達方法を記載しましょう。審査をする融資額に関わる部分なので、詳細な金額を試算する必要があります。

運転資金は半年分ほど計算する

事業を始めてから安定して売上をあげられるようになるまでは、一般的に半年ほどかかるといわれています。そのため、運転資金の欄は半年分を試算して記載しましょう。

半年分を試算して記載しますが、半年分すべての融資が受けられるわけではありません。融資の対象となるのは、事業開始直後の2〜3ヶ月ほどの運転資金になります。

融資を受けるための創業計画書を作成する過程の計算ではありますが、事業を始めるにあたって「事業として成り立つのか」を判断できる大切な項目でもあります。自己資金とあわせて計算してみて、半年後も問題なく事業が続けられるのか、数値に基づいてチェックしましょう。

運転資金に含めるべきでないものに注意

運転資金の欄には家賃や仕入れにかかる費用などを記載しますが、すべての支出を記載するわけではありません。以下に記載する項目と、記載すべきではない項目をまとめていきます。

記載する項目 ・家賃
・人件費
・水道光熱費
・消耗品
・広告宣伝費
・通信費(光回線や事業用スマホ契約費)
・税金 等
含めるべきではない項目 ・経営者の生活費
・店舗の内装や建物等の設備資金
・賃貸の敷金・保証金・権利金
・申し込む融資以外の借入金の返済 等

事業を始めるにあたって購入・依頼する「店舗の内装や建物・土地・機械・車両等の購入費用」は、運転資金には該当しません。

また、有形資産ではないものの、広告宣伝のために作成したWEBサイトや、システム構築にかかった費用も運転資金には含めるべきではないので注意しましょう。

自己資金なしでの融資は通りにくい

資金の調達方法の欄には「自己資金額」を記載する項目がありますが、自己資金が0円である場合は融資が通りにくいです。一般的には、必要な資金の3割以上を自己資金で運転していくことが求められます。

自己資金がまったくない場合は「計画性や返済能力がない」と判断されるおそれもあるので、事前に自己資金を用意しておきましょう。

事業の見通し(月平均)

運転資金のほかに、事業を開始した後の収支の見通しを計算して記載しましょう。

事業の見通しの欄は、融資側にとって確実に返済可能かを判断する重要な項目です。ざっくりとした数字ではなく、事例や数字に基づいた根拠のある計算をしてください。

「中小企業の経営等に関する調査」を参考にする

事業の見通しを作成するにあたって、根拠となる事例として「中小企業の経営等に関する調査」を確認するのがおすすめです。

日本政策金融公庫|中小企業の経営等に関する調査

業種や企業の規模、働き方などの条件が異なるケースの売上や年収のデータが掲載されています。昨今増えている働き方であるフリーランスを例に見てみると、事業から得ている年収は、全体の約40%が200万円未満と回答し、1,000万円以上なのはわずか2%ほどです。

このような数値化されたデータがあれば「自分ひとりで年間1,000万円以上の売上をあげるには、業務効率化を実現するシステムの導入が必要である」などの対策を考えることができます。

これまでの実績・知識だけでなく、第三者が見て納得できるようなデータを参考にして、信頼性が高い事業の見通しを作成しましょう。

参考元:日本政策金融公庫|2018年3月22日|「フリーランスの実態に関する調査」

前項「必要な資金と調達方法」と整合性をとる

「必要な資金と調達方法」の項目で記載した金額と、整合性がとれているかをチェックしましょう。

事業見通しの金額に問題がなくても、必要な資金として計算した金額と比較して少なく計算されていた場合「経営が成り立たないのでは?」と判断されます。どちらも同じデータに基づいた計算をして、誤りがない金額を記載してください。

内容が共通する「資金繰り計画書」も作成する

「事業の見通し」で計算していく内容は、資金繰り計画書と共通しているため、あわせて資金繰り計画書も作成しましょう。

資金繰り計画書は、発生する現金の出入りを記載する書類です。たとえば「支払い時に現金が不足する」など、収支に関するトラブルを防ぐために必要です。売上が十分にあっても、売掛金の状態が長く続けば、手元の資金が不足し、黒字倒産となるケースもあります。

手元の資金が不足して倒産することは、融資する側にとって返済してもらえない状態を指すので、資金繰り計画書を必ずチェックして、返済可能かを判断しなければいけません。

創業計画書とあわせて作成しておけば、仕入れへの支払いや売上の入金のタイミングを事前に検討できます。

資金繰り計画書も融資の際に必要な書類のひとつなので、創業計画書と相違がないよう、作成しておきましょう。

自由記述欄

創業計画書の最後には「自由記述欄」があります。以下の内容を記載しておきましょう。

自由記述欄のポイント

  • アピールポイント
  • 事業を行ううえでの不安や悩み
  • 希望するアドバイス

これまでお伝えしてきた創業の動機などのほか、実績や経歴など、アピールしたい項目があれば自由記述欄に記載してください。

また、創業計画書を作成する時点で、解決しておきたい事業の不安や悩みがあれば記載し、多くの事業者とやり取りをしているプロにアドバイスをもらいましょう。

融資を受けるとき揃えるべきその他書類

融資を受けるには、創業計画書のほかに以下の書類が必要です。

必要な書類

  • 身分証のコピー
  • 借入申込書
  • 見積書
  • 資金繰り計画書
  • 履歴事項全部証明書の原本
  • 推薦書または振興事業に係る資金証明書
  • 許認可証のコピー
  • 不動産の登記簿謄本または登記事項証明書

融資の依頼先によっても揃えるべき書類は異なるので、ホームページや店頭で確認しましょう。

身分証のコピー

顔写真と現住所を確認できる、運転免許証やパスポートのコピーが必要です。運転免許証の交付時から住所が変わっていて裏書きがされている場合は、両面をコピーしてください。

借入申込書

融資を申し込むにあたって、必要な基本情報を書き込む書類です。融資を依頼する先によって指定の書式があるので、ホームページや店頭で確認してください。

見積書

建物や内装、機械など設備資金として使う金額がある場合は、費用が記載された見積書を不動産会社や工事・購入会社に作成してもらいましょう。創業計画書にも記載する金額となるため、記載金額の根拠となります。

資金繰り計画書

現金の出入りを記載した資金繰り計画書は、指定の書式に沿って作成してください。借入申込書と同様、融資の依頼先のホームページなどでダウンロードできます。

履歴事項全部証明書の原本

融資を申し込むのが法人である場合は、履歴事項全部証明書という、登記記録が記載された書類の原本が必要になります。

履歴事項全部証明書は、法務局に行って申請をする方法のほか、登記・供託オンライン申請システムで申請する方法があります。

登記・供託オンライン申請システム

推薦書または振興事業に係る資金証明書

融資の金額が500万円超である場合、事業を始める店舗がある所在地の都道府県知事による推薦書が必要になります。

また、美容店や飲食業で創業する場合、振興事業に係る資金証明書を提出し、認められることで貸付利率を低くできるため、事前に発行を依頼しましょう。

なお、振興事業に係る資金証明書を発行してもらうには、生活衛生共同組合員に属している必要があるため、加入についても事前に準備が必要です。

許認可証のコピー

始める事業の職種によっては、指定された機関へ事前に申請をして、許可・認可を得る必要があります。

業種 申請先
飲食業 保健所
保育園 都道府県庁
美容・理容業 保健所

許可・認可が必要な事業を始める場合は、融資の申し込みをする前に申請をして、許認可証のコピーを創業計画書に添えて提出しましょう。

不動産の登記簿謄本または登記事項証明書

融資を申し込む際には、返済ができなかった場合に融資側へ渡す担保が必要になります。不動産を担保として設定する場合、登記簿謄本または登記事項証明書が必要です。

法務局に行って申請をする方法のほか、登記・供託オンライン申請システムを使って申請する方法があります。

登記・供託オンライン申請システム

面談のときに揃えるべき書類

面談のときに揃えるべき書類は、以下のとおりです。

面談時に揃えるべき書類

  • 創業計画書や資金繰り計画書の計算資料
  • 預金通帳
  • 自己資金の額や蓄積状況がわかる書類
  • 各種ローンの支払明細
  • 賃貸借契約書(賃貸の場合)
  • 前職の源泉徴収票

融資の面談から申し込みまでスムーズに進むように、しっかりと準備をしておきましょう。また、書類を不足なく用意するのはもちろん、面談時の言動も十分に注意すべきです。

面談時のNGワードについて、こちらで解説しています。

創業計画書や資金繰り計画書の計算資料

創業計画書や資金繰り計画書に記載した金額などの計算資料を準備する必要があります。不明点があった場合にすぐ対応できるよう、見やすく資料をまとめておくのがおすすめです。

預金通帳

面談の日から半年分の明細が記帳された預金通帳を用意して、借入金の返済などのお金の出入りがわかるようにしましょう。

借入金の有無は、創業計画書に記載する必要がある項目でもあり、同時に整合性を確認する目的もあります。

自己資金の額や蓄積状況がわかる書類

預金以外に不動産や有価証券などの資金がある場合は、資金の額がわかる書類を準備してください。融資する金額に対する自己資金の割合が大きいほど審査でプラスとなるので、漏れのないよう、事前にチェックしておきましょう。

各種ローンの支払明細

自動車や住宅のローンを返済している途中であれば、支払明細がわかる書類を準備してください。昨年度の確定申告用に送付された控除証明や、契約時に受け取った明細が対象となります。

支払いがある各種ローンのすべてで支払明細が必要になるので、不足がないように注意しましょう。

賃貸借契約書(賃貸の場合)

事業を始めるにあたって、不動産を契約して店舗や事務所として使う場合、賃貸借契約書を提出しましょう。月々の家賃や契約時にかかる敷金・礼金を創業計画書の内容と照合するためです。

前職の源泉徴収票

すでに退職している場合は、前職の源泉徴収票、または現在会社員などで働いている場合は現職の源泉徴収票を提出しましょう。預金通帳とあわせて、お金の出入りについてチェックするために必要な書類になります。

まとめ

創業計画書は、事業を始める前に作成する「融資を受けるための書類」です。事業計画書のひとつではありますが、事業を始めた後に作成するのではなく、事業を始める前に作成するため、売上や仕入れなどの項目は、具体的な数値や事例に基づいて記載します。

なぜ創業したいのかという動機のほか、無理なく返済が続けられるのかという事業の見通しなどを記載していくため、自分の事業を具体的に分析しなければいけません。

個人が単独で十分な書類を揃えるのは難しいため、金融機関や資金調達のプロなどに相談しながら、審査に問題なく合格できる創業計画書を作成しましょう。

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記事・コンテンツの監修者

起業創業開業の資金調達コンサルタント

株式会社ファイナンスアイ 代表取締役
田中 琢朗(たなか たくろう)

これまで8,000社以上の経営者の資金調達の相談に応じ、現在も新規で毎月100社以上の起業家・経営者・個人事業主の悩み相談に対応しています。大手金融機関にて、上場企業・中小・ベンチャーまで様々な企業のファイナンス支援を実施。その後、金融企業の起業に参画。財務の専門家として上場企業の経営企画部も兼務し、ハードなM&A等のプロジェクトを歴任。事業計画の策定やネゴシエーションに強みがあり、様々な企業再生のプロジェクトに財務コンサルタントとして関わり、多くの企業再生を成功させる。起業家、経営者の多くがファイナンス分野で苦労している現場を目の当たりにし、これが企業の成長と継続のボトルネックの一つになっていると感じ、自身の知識・経験・ノウハウを活かして、日本の経済成長に貢献できるのではと考え、2014年に株式会社ファイナンスアイを創業。以来、日本全国の多くの起業家の創業融資、個人事業主や中小企業の経営者らの資金調達や融資等を活用した経営改善を実現している。ハンズオンで起業を支援した中には、創業から数年で年商5億円を突破する経営者も続出しており、日々起業家・経営者・個人事業主のために邁進しています。

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