国金とは?審査が厳しいって本当?融資を受けるための要件など

資金調達-創業融資

国金とは?審査が厳しいって本当?融資を受けるための要件など

2023年8月2日

これから起業したい、もしくは事業をはじめたばかりなど、事業を行うためには何かと費用が必要です。しかし、銀行や信用金庫などに相談をしてもさまざまな理由で断られ、費用を調達できずに困ったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

このように、事業資金調達にお悩みの方に融資を行うのが、国金と呼ばれる金融機関です。民間の金融機関で融資を受けられなかった人でも借入できることが特徴ですが、融資審査に合格することは、簡単ではありません。

本記事では、国金の概要や審査の厳しさ、審査で重視されるポイントなどについて、具体的に解説しています。ぜひ参考にしてください。

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国金とは

国金とは、国民生活金融公庫の通称です。国民生活金融公庫の機能は、平成20年10月1日に業務移管された「株式会社日本政策金融公庫」が担っているため、現在は存在しませんが、当時の名残で国金と呼ぶことがあります。

国民生活金融公庫は、国民生活金融公庫法に基づいて設立された特殊法人です。主な業務として、銀行などの一般金融機関から融資を受けるのが難しい事業主に対して、事業資金や教育資金の貸付を行っていました。

株式会社日本政策金融公庫に業務が移管された現在も、一部貸付対象の範囲が縮小されたものの、基本的な方針は変わらず引き継がれています。

たとえば、ホテル業や理容・美容業などの生活衛生関係営業者に対しては、施設や設備の設置・整備にかかる資金の貸付、養成施設の整備資金などの貸し付けなどを行っています。公庫の資本金は政府から全額出資されており、貸付には国のお金が使われます。

設立された背景

平成20年10月1日以前は、3つの公庫が存在していました。

環境衛生金融公庫
中小企業金融公庫
農林漁業金融公庫

環境衛生金融公庫は、飲食店や小売業などを営む人に対しての貸付、中小企業金融公庫は、小口の事業資金の貸付、農林漁業金融公庫は農林漁業関連の貸付を行っていました。

それぞれの公庫が、事業規模や用途に応じた貸付を行っていましたが、平成11年10月1日にこれら3つの機能が統合され、国民生活金融公庫が発足しました。

それぞれの公庫が統合したことで、小口の事業資金の貸付から環境衛生、農林漁業に対する貸付などの幅広い貸付業務が、国民生活金融公庫のみで完結できるようになりました。つまり、ワンストップで幅広いニーズに応えられるようになったのです。

国民生活金融公庫は、一般の事業主へのサポートだけではなく、銀行などの民間の金融機関の取り組みを補完することも大きな存在目的でした。そうすることで、災害時の貸付やライフラインを強化する狙いがあったためです。

その後、平成20年10月1日に国民生活金融公庫の業務は、株式会社日本政策金融公庫へと移管され、現在へと至っています。後身の日本政策金融公庫では、国民生活事業、中小企業事業、農林水産事業の3つの事業を設けることによって、かつての貸付業務を引き継いでいます。

日本政策金融公庫について

日本政策金融公庫は、株式会社日本政策金融公庫法に基づいて設立された株式会社です。平成20年10月1日に、国民生活金融公庫から業務移管されたことで、国民生活金融公庫が行っていた貸付業務を引き継いで行っています。

「株式会社日本政策金融公庫」と名前こそ株式会社の形をとっていますが、その実態は、いわゆる一般的な株式会社とは異なります。日本政策金融公庫は、政府から100%の出資を受けており、財務省が管轄する特殊会社です。いわば、政府公認の金融機関といえるでしょう。

政府公認の金融機関である日本政策金融公庫は、民間企業にはない潤沢な資金源を保有していることが最大の特徴です。

たとえば、2020年度は国民生活事業・中小企業事業・農林水産事業の3つの事業に対して、合計で5兆円近くの予算が割り当てられており、莫大な資金力を有しています。

役割と事業内容

日本政策金融公庫の役割は、民間の金融機関や関係機関の補完をしつつ、社会のニーズに対応して、政策金融を機動的に実施することです。具体的には、下記のような役割を担っています。

セーフティネット機能の発揮

自然災害、感染症の流行、経済環境の変化などに対して、中小企業や小規模事業者、農林漁業者などのセーフティネット機能を担い、あらゆる危機に対処できる体制を整備すること

日本経済の成長と発展への貢献

国の政策に基づき、新たな事業の創出や事業再生、脱酸素などの環境・エネルギー対策、DXの推進などを後押しすること

地域活性化への貢献

地域の実情をとらえ、商工会議所・商工会・税理士会などの関係機関と連携して地域の活性化を支えること

日本政策金融公庫は、潤沢な資金源を活用して、銀行など民間の金融機関の業務を補完することを目的としています。

たとえば、経営が赤字続きのため銀行から借り入れができない方や、低所得を理由に民間の金融機関では融資が受けられなかった方でも、日本政策金融公庫なら条件を満たせば融資を受けられる可能性があります。

さらに、民間の金融機関では初回の契約者に対して最大金利を適用するのが一般的ですが、日本政策金融公庫の場合は経営状況や希望をヒアリングしたのち、貸付利率が決定されます。

民間の金融機関と比べて、金利が圧倒的に低いことも特徴で、状況次第では無利子無担保で借りられるケースもあります。

このような好待遇が実現できるのは、日本政策金融公庫が営利目的で運営されているわけではないからです。銀行や信用金庫などの民間の金融機関は、営利目的で運営されているため、将来にわたり安定的に返済される見込みがなければ、融資を受けられません。

一方で日本政策金融公庫は、中小企業や小規模事業者にとってのセーフティネット機能を担う役割を持っています。民間の金融機関で融資を受けられなかった方たちを救済する目的があるため、条件を満たせば、あらゆる方が融資を受けられる可能性があるでしょう。

融資制度の種類

日本政策金融公庫は、国民生活金融公庫から業務内容を引き継いでおり、移管された現在においても3つの事業を軸に融資を行っています。

近年では、新型コロナウイルス感染症の流行によって一時的に経営状態が悪化している方に向けた特別な貸付なども行っており、政府系金融機関として社会情勢を考慮した、機動的な対応を行っています。

国民生活事業

地域の身近な金融機関として、事業資金の融資や教育資金の融資などを行う事業です。具体的な事業内容は、次のとおりです。

国民生活事業の事業内容

  • 小口の事業資金融資
  • 創業支援
  • 事業再生支援
  • 事業承継支援
  • ソーシャルビジネス支援
  • 海外展開支援
  • 国の教育ローン
  • 恩給・共済年金などを担保とする融資

国民生活事業では、新たに事業を始める、または事業を始めてから税務申告を2期終えていない人を対象に、無担保無利子で融資を受けられる「新創業融資制度」や、入学や在学中に必要な資金を融資する教育資金貸付などを行っています。

中小企業事業

中小企業事業では、地域経済を支える中小企業・小規模事業者の成長と発展を金融面から支援しています。具体的な事業内容は次のとおりです。

中小企業事業の事業内容

  • 中小企業への長期事業資金の融資
  • 新事業支援
  • 事業再生支援
  • 事業承継支援
  • 海外展開支援
  • 証券化支援
  • 信用保証協会が行う債務の保証に係る保険引受等
  • ビジネスマッチングなどによる経営課題解決支援

中小企業事業では、先の計画が立てやすい固定金利で5年を超える長期的な融資を行うことで、大企業に比べて資金調達力に劣る中小企業者を支援しています。

農林水産事業

農林水産事業では、さまざまな支援事業を通じて、国内農林水産業の体質強化や、安全で良質な食料の安定供給をサポートしています。具体的には下記のとおりです。

農林水産事業

  • 農林水産業者向け融資
  • 食の安全の確保、食農連携を支える加工流通分野向け融資
  • コンサルティングやビジネスマッチングなどの経営支援サービス

森林の育成に50年ほどの年月が必要であり、資本の回収に時間がかかる林業などに対しては、伐採までに必要な超長期の資金を供給するなど、分野に応じた柔軟な融資制度を設けることで、農林水産業者を支援しています。

新型コロナウイルス感染症関連

新型コロナウイルス感染症の発生によって影響を受けた方を対象に、貸付を行うことで、事業の継続を後押ししています。

新型コロナウイルス感染症関連

  • マル経融資
  • 生活衛生改善貸付
  • セーフティネット貸付
  • 新型コロナウイルス感染症特別貸付
  • 生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付
  • 新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付
  • 新型コロナウイルス感染症にかかる衛生環境激変特別貸付

新型コロナウイルス感染症関連の制度では、それぞれ条件が異なるものの、どの制度も15年や20年などの余裕を持った返済期間で借りられるため、新型コロナウイルス感染症の影響で事業に影響が出ている事業者にとって、大きな助けとなる制度となっています。

新創業融資制度について

新創業融資制度は、日本生活金融公庫が設けている創業者向け融資制度のひとつです。我が国が発展し続けるためには、大企業だけでなく中小企業や個人で起業する人が増加して、経済が持続的に活性化することが不可欠です。

しかし、大企業に比べて中小企業や個人での起業は資金調達力に乏しく、貸し倒れのリスクもあることなどから、民間の金融機関からの融資が受けられないケースも多く存在するでしょう。

しかし国は、新しい企業の育成に力を注ぐべきと考えています。政府公認の金融機関である、日本政策金融公庫の新創業融資制度は、これから起業しようとする人や起業して間もない人たちを積極的にサポートするための融資制度です。

新創業融資制度を利用するためには、所定の条件を満たしたうえで、審査に合格しなければなりません。所定の条件の内容は次のとおりです。

新創業融資制度の所定条件

  1. これから創業する人、または創業してから税務申告を2期終えていない人であること
  2. 創業資金総額の10分の1以上の自己資金があることを確認できること

新創業融資制度を利用するには、上記の条件の両方を満たす必要があります。創業資金総額の10分の1以上の自己資金がないとしても、事業をはじめようと考えている業種で通算5年以上の勤務経験が認められれば条件を満たしたこととなり、それほど高度な条件は設けられていません。

長く働いていれば誰でも条件を満たせるようになっているぶん、融資実行については厳しい審査が行われる点は留意しておきましょう。

ファイナンスアイ
ファイナンスアイ

制度上の条件と”リアルな融資審査の現場”では実情が異なります。自己資金無し、立ち上げる事業での経験が不足している場合は、非常に厳しいです。さらに、事業経験が十分でも自己資金が少ない場合は、厳しい状況です。一度審査に落ちると半年程度は期間を空けた方が良いので、自分だけで公庫などから融資を受けようとするのではなく、まずは8,000社以上の経営者の融資相談に対応してきた弊社にご相談ください。

特徴

新創業融資制度は、事業をはじめたての人や事業をはじめてから税務申告を2期終えていない人など、資金力が不安定になりがちな創業期を手厚くサポートする制度です。条件を満たせば非常に好条件で融資を受けられることから、多くの事業主に利用されています。

無担保・無保証で融資可能

民間の金融機関から融資を受ける場合、担保や保証人が必要です。創業間もない時期では、事業の実績がなく、金融機関からしてみれば貸し倒れのリスクがあるためです。

一般的には信用保証協会に保証人になってもらいますが、信用保証協会に保証人となってもらう場合、保証料を支払わなければなりません。

一方、新創業融資制度は、原則として担保や保証人が不要です。無担保・無保証人で融資を受けられるのは、営利目的ではなく起業家をサポートすることで、国全体の発展を目指している日本政策金融公庫ならではの特徴といえるでしょう。

融資限度額3,000万円

新創業融資制度の融資限度額は3,000万円です。規定上は3,000万円となっていますが、実際には無担保で借りられるのは1,500万円程度が一般的で、それ以上の融資を受ける場合は担保が必要になるケースもあります。

返済に余裕を持たせられる<

新創業融資制度の借入金の返済期間は、併用する他の制度の返済期間に依存します。たとえば、新規開業資金と併用して利用する場合、新規開業資金の返済期間は設備資金が20年、運転資金が7年以内と定められています。

したがって新創業融資制度の借入金も、新規開業資金の借入金と同様の返済期間となります。日本政策金融公庫で提供している融資制度は、基本的に民間の金融機関のローンなどよりも返済期間が長く設定されていて、月々の返済の負担が少ないことが大きな特徴です。

融資までは約1か月

新創業融資制度の融資実行までは、約1か月程度の期間がかかります。内訳としては、審査が7〜10日程度、郵送で審査結果と契約書類が送られてきたのち、書類を返送してから実際に振り込まれるまで3日程度が必要で、合計で1か月程度かかるとされています。

担保を用意している場合は、さらに期間が延びる場合があります。融資がはじめてではなく、過去に利用したことがある場合は、1〜3週間程度で融資を受けられます。

他融資制度と併用しての利用

新創業融資制度は、単体での利用ができません。新創業融資制度を利用するためには、下記の制度などとの併用が必要です。

他融資制度との併用

  • 新規開業資金
  • 女性・若者/シニア起業家支援資金
  • 新事業活動促進資金など

なお、新創業融資制度の借入金の返済期間は、組み合わせたほかの融資制度の返済期間に準じます。

利用要件

新創業融資制度を利用するためには、対象者の要件と自己資金要件の両方を満たさなければなりません。

対象者の要件

新創業融資制度を利用できる方は、下記に該当する方です。

新創業融資制度の対象者

  1. これから新たに事業をはじめる方
  2. 事業開始後税務申告を2期終えていない方

新たに事業をはじめようとしている方なら、誰でも借りられるわけではありません。融資を受けるためには、新たに営もうと考えている事業について、適正な事業計画を立てていて、それが実行できる能力が十分にあると認められなければなりません。

自己資金の要件

新創業融資制度を利用するためには、自分である程度の自己資金が準備できなければなりません。日本政策金融公庫のホームページによると、準備すべき自己資金の金額は、創業資金総額の10分の1以上とされています。

申し込み自体は、創業資金総額の10分の1以上の自己資金があれば可能ですが、万全の状態で審査に臨むのであれば、借入額の2〜3割程度の自己資金を用意しておいたほうがよいといわれています。

また、自己資金の要件は、創業資金総額の10分の1以上を用意する以外にも、次の条件を達成すれば要件を満たしたと判断されます。

要件

  1. お勤めの経験がある企業と同じ業種の事業を始める方で、当該業種の企業に通算して5年以上お勤めの方
  2. 大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上お勤めの方で、その職種と密接に関連した業種の事業を始める方
  3. 創業塾や創業セミナーなどを受けて事業を始める方
  4. 民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方
  5. 技術・ノウハウ等に新規性が見られる方
  6. 新商品・新役務の事業化に向けた研究・開発、試作販売を実施するため、商品の生産や役務の提供に6か月以上を要し、かつ3事業年度以内に収支の黒字化が見込める方
  7. 「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」の適用予定の方

これらの条件に該当するために自己資金要件が満たされる場合であっても、自己資金は用意しておいたほうが賢明です。

自己資金の用意がないからといって、必ずしも審査に不合格となるわけではありませんが、事業への本気度を示す意味でも、借入額の2〜3割程度の自己資金を用意しておくことをおすすめします。

新創業融資制度以外に、自己資金なしで融資を受けられる可能性はあるのでしょうか。こちらの記事では、創業融資を自己資金なしで受ける方法を解説しています。

手続きの流れ

公庫から融資を受けるための手続きには、自分で申し込む方法と、認定支援機関を通して手続きを行う方法があります。

認定支援機関は、日本政策金融公庫から融資を受けるための知識に精通した専門家が在籍している機関です。こうした期間にサポートを依頼することで、書類作成のサポートをしてもらったり、面談に同行してもらったりできます。

一定の費用はかかってしまいますが、自分だけで活動するよりも、より有利な条件で融資を受けられる可能性が高まるメリットがあります。

たとえば、ファイナンスアイでは日本政策金融公庫から融資を受けるための事業計画の作成、面談の対策などを行っています。依頼にかかる費用は成果報酬制なので、万が一審査に通らなかったときも安心です。

ひとりで活動することが不安な場合には、こうしたサービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

一方、自分で申し込む場合は、次のような流れで進みます。

手続きの流れ

  1. 最寄りの日本政策金融公庫の支店を訪れて、借入申込書を提出します
  2. 創業計画書や本人確認書類などの必要書類を準備します
  3. インターネット経由もしくは郵送か直接持参して必要書類を提出します
  4. 公庫の担当者と30分〜1時間程度の面談を行います
  5. 公庫の担当者による現地調査や審査が行われます
  6. 審査に通過した場合には公庫から書類が送付されるため、記載して返送します
  7. おおむね3営業日後に融資が実行されます

審査に不合格となった場合、半年程度の期間を開けてから再申請を行うことになります。再申請に関するルールが定められているわけではないため、すぐに再申請を行うことも可能です。

しかし、不合格になる理由として、信用情報に傷がついている可能性が考えられます。そういった場合は、信用情報が回復するまで期間を空けなければ、同じ結果になってしまうでしょう。

したがって、審査に不合格となった場合は、半年程度の期間を開けてから再申請するとよいでしょう。

新規開業資金との違い

新規開業資金と新創業融資制度の大きな違いは、制度の利用方法です。新規開業資金は、単体での利用ができる一方で、新創業融資制度はほかの融資制度と組み合わせて利用します。

また、新創業融資制度は担保や保証人に関して通常問われませんが、新規開業資金では日本政策金融公庫と相談の必要があります。

審査で見られる項目

民間の金融機関のように営利目的ではないとはいえ、日本政策金融公庫も貸し倒れのリスクは回避したいと考えています。日本政策金融公庫から融資される費用は、もともとは国のお金であるためです。国のお金を融資して貸し倒れたとなれば、国民からの批判は免れません。

そのため、融資の可否を審査する際には、申請者の信用情報や事業の将来性など、さまざまな側面を総合的に判断して、融資の可否が決定されます。

信用情報や返済能力

税金や公共料金など、納めるべき費用をしっかり納めているかは重要なポイントです。たとえば、過去に支払いの遅れがなかったか、ローンの支払いが滞ってないかなどです。

具体的には、下記のようなポイントがチェックされるといわれています。

重要なチェックポイント

  • 債務整理、自己破産の経験がある
  • 今借りているローンの返済が滞ってないか
  • クレジットカードの支払いを滞納していないか
  • 携帯料金や家賃、公共料金等の支払いが遅滞していないか

融資の審査では、これまでしっかり返済してきたかどうかの実績が問われます。過去に支払いの遅滞や自己破産などがあると「もし融資をしたらお金を返してくれないのではないか」と判断されてしまう可能性があります。

明確な事業計画

日本政策金融公庫は、中小企業やこれから起業しようとする人を支援することで、地域の繁栄、ひいては国の経済が発展していくことを望んでいます。

そのため、誰にでも融資するわけではなく、事業の改善や拡大が見込める人や、将来性があると判断できる人にのみ融資を行います。

これから事業をはじめる人は、まだ事業の実績がないため、この事業計画の内容はとくに重要視される要素です。事業計画書に盛り込むべき内容としては、下記のとおりです。

事業計画に必要なポイント

  • 事業を興したい理由
  • これまでの経歴
  • どんなサービスを提供するのか
  • 取引先はあるのか
  • 借入の状況
  • 必要資金
  • 事業の見通し

日本政策金融公庫に将来性があると判断してもらうためには、事業計画を明確にしておく必要があります。融資を受けて事業をはじめたら売上げがいくらになり、利益がいくらになる見込みかといった、具体的な数値を説明できるようにしておきましょう。

自己資金の有無

自己資金が用意できるかどうかも、審査で見られるポイントです。自己資金とは、事業に使う予定のお金を指します。事業に使うつもりのないお金は、自己資金とはみなされません。

たとえば、新創業融資制度では融資にあたって自己資金の要件が定められており、創業資金総額の10分の1以上の自己資金が確認できることが、制度を利用するための要件となっています。

すべての制度に自己資金要件が設定されているわけではなく、自己資金要件が記載されていない融資制度もあります。そのため、自己資金がゼロの人でも融資を受けるための申し込みが可能です。

しかし、人からお金を借りるにも関わらず身銭を1円も切らないとなれば、事業への本気度が疑われる可能性もあります。事業への本気度を示すためにも、可能であれば借入希望額の2~3割程度の自己資金を確保しておくことが望ましいでしょう。

また、制度によっては「これからはじめようとする事業の業種で、通算5年以上の勤務経験があれば自己資金の要件を満たしたとみなす」などの条件を設けている制度もあります。

こうした制度を利用する場合も、要件さえ満たしていれば自己資金がなくても申し込みできますが、できる限り自己資金は用意しておいたほうがよいでしょう。

自己資金の有無は、審査で見られるポイントであることをご説明しましたが、注意点もあります。

見せ金は犯罪行為に問われるおそれもあるため注意

見せ金とは、自己資金があるように見せかけるために、審査の間だけ一時的に第三者からお金を借り、審査が終わったらお金を返す行為です。日本政策金融公庫の審査では、通帳の原本を確認しお金の流れを確認するため、こうした行為は通用しません。

それだけでなく、見せ金は日本政策金融公庫を騙すことにもなり、悪質な行為として詐欺罪に問われる可能性もあるため、絶対にやめましょう。

半年以上前からの預金残高の推移を見られる

融資の審査では預金通帳の原本を提出します。このとき、半年以上前にさかのぼり、預金残高が順調に増えているかを確認することがあります。

半年間で預金額が減っていたり、増えていなかったりすると、計画性がないと判断されて、審査に通らない傾向が高いでしょう。

開業したい業種の経験

開業したいと考えている業種の経験がまったくない状態では、審査に通る可能性は低いでしょう。事業はただ商品やサービスを販売すればよいわけではなく、その業界ならではの独自の技術やノウハウが必要になることも少なくありません。

たとえば、飲食店で働いた経験がまったくない状態で「飲食店を開業したいのでお金を貸してほしい」とお願いしても、説得力がなく将来性も不透明な状態では、誰もお金を貸してくれないでしょう。

1,000万や2,000万といった高額の融資を希望しているのであれば、なおのこと実績が求められます。

日本政策金融公庫に実績をアピールするには、開業したいと考えている業種で通算5年程度の勤務経験があることが望ましいです。年数が不十分な場合でも「店長をしていた」などの経営経験があれば、実績としてアピールできる可能性があります。

直近で開業する業種で働いていることが理想ですが、過去のアルバイト経験などが考慮されるケースもあります。過去を振り返り、複数のアピールポイントを準備しておきましょう。

許認可の取得状況

事業を行うために必要な許認可が得られていない場合、審査が不合格となる可能性があります。事業を行うには、さまざまな許認可の取得が必要です。

たとえば、飲食店を営むのであれば保健所関係の許認可、リサイクルショップを営むのであれば古物商の許認可が必要になるといったように、事業内容に応じた許認可を得る必要があります。

日本政策金融公庫の審査を受ける場合、事業に必要な許認可をすでに得ている、もしくは融資の審査と同時に許認可の申請を進めていることが、審査合格のための大前提です。

融資を受けても、許認可が取れていなければ営業できません。営業ができなければ、売上げが立たないため融資の返済が滞ります。こうした事態を避けるため、日本政策金融公庫の融資担当者は、事業のための許認可が取得できているかを確認します。

許認可が得られていない場合、審査は不合格となる可能性が高いです。融資の申し込みと同時に許認可の申請を進めている場合は、審査に合格したとしてもすぐには振り込まれず、許認可が取れた段階で融資開始となります。

審査に通るためのポイント

日本政策金融公庫の融資審査が不合格となった場合、すぐに再申請しても結果は変わりません。審査を通過するためには、審査が不合格となった原因を検討し、原因を解消しなければなりません。この章では、審査に通るためのポイントを解説します。

信用情報に注意する

過去5年程度の信用情報が照会されるため、信用情報をクリアな状態にしておきましょう。ローンなどの借入金があること自体は、直接審査に影響はありません。

しかし、返すべきお金を返していない、納めるべき費用の納入が遅れているなどは、審査においてマイナス要因です。未納や放置している借入金がある場合は、なるべく早く処理しておいたほうがよいでしょう。

創業計画書、事業計画書を作りこむ

融資担当者に、将来性や事業の拡張性があることを分かってもらう必要があります。そのためには、創業計画書などの資料をいかに細かく作り込むかが大切です。

どのようなサービスを提供し、毎月どのぐらいの売上げが見込めるのかといったことを、具体的な数値を含めて資料を作り込むことで説得力が増し、融資担当者も将来をイメージしやすくなるでしょう。

計画書の作成に自信がない場合は、認定支援機関などの助けを借りることも有効な手段です。認定支援機関は、書類の作成や面談の対策などにおいて、心強い味方となってくれるでしょう。

適切な希望額を設定する

事業内容に見合った適切な融資希望額を設定しましょう。とくに事業を立ち上げるときなどは、今後の不安から希望額を多くしてしまいがちです。

融資審査の担当者は、日頃から多くの人の事業計画書を読んでいるプロですから、事業内容に対して不自然に多い額を借り入れようとすると、お金の使い道や資料の説得力について疑念を持たれかねません。融資希望額は、事業で本当に必要な金額を設定するようにしましょう。

自己資金を多めに用意する

自己資金は、多ければ多いほどよいでしょう。自己資金がなくても応募はできますが、制度によっては、一定割合以上の自己資金を保有していることが制度利用の条件となっているものもあります。

自己資金の条件がない場合でも、借入希望額の2〜3割ほどの自己資金を持っていた方がよいと一般的にいわれているため、なるべく準備することをおすすめします。

開業する業種の経歴をアピールする

その業種に関わった年数など、開業したい業種に通じる経歴をアピールしましょう。事業で活かせる技術やノウハウを持っていることを示すことで、事業で売上げが出せるという説得力が増し、融資担当者も事業の将来的なビジョンをイメージしやすくなるでしょう。

必要書類を欠かさない

融資を受けるためには、借入申込書や事業計画書など、さまざまな書類の準備が必要です。書類に不備がある場合、審査に悪影響があるばかりか、再提出が必要になる可能性もあります。

「計画性のない人である」と思われないようにするためにも、必要書類を確認して、しっかりと準備して提出しましょう。

コンサルタントのサポートを受ける

審査の通過率を高めるためには、コンサルタントのサポートを受けることが確実です。日本政策金融公庫からの融資を受けるにあたっては、認定支援機関のサポートのもと、書類作成や面談対策を行うことで、融資を受けられる可能性が大きく高まるでしょう。

まとめ

本記事では、日本政策金融公庫から融資を受けるための要件や、審査を通過するためのポイントなどについて解説しました。

日本政策金融公庫からの融資は、条件を満たせば、事業をする誰もが受け取れる可能性があります。しかしそのぶん厳しい審査が行われるため、事前にしっかりとした準備が必要な点を留意しなくてはなりません。

ファイナンスアイでは、融資を受けたいと考えている方のために、事業計画の作成や面談対策などのお手伝いをしています。何からはじめていいかわからない、できる限り審査の通過率を高めたいとお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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記事・コンテンツの監修者

起業創業開業の資金調達コンサルタント

株式会社ファイナンスアイ 代表取締役
田中 琢朗(たなか たくろう)

これまで8,000社以上の経営者の資金調達の相談に応じ、現在も新規で毎月100社以上の起業家・経営者・個人事業主の悩み相談に対応しています。大手金融機関にて、上場企業・中小・ベンチャーまで様々な企業のファイナンス支援を実施。その後、金融企業の起業に参画。財務の専門家として上場企業の経営企画部も兼務し、ハードなM&A等のプロジェクトを歴任。事業計画の策定やネゴシエーションに強みがあり、様々な企業再生のプロジェクトに財務コンサルタントとして関わり、多くの企業再生を成功させる。起業家、経営者の多くがファイナンス分野で苦労している現場を目の当たりにし、これが企業の成長と継続のボトルネックの一つになっていると感じ、自身の知識・経験・ノウハウを活かして、日本の経済成長に貢献できるのではと考え、2014年に株式会社ファイナンスアイを創業。以来、日本全国の多くの起業家の創業融資、個人事業主や中小企業の経営者らの資金調達や融資等を活用した経営改善を実現している。ハンズオンで起業を支援した中には、創業から数年で年商5億円を突破する経営者も続出しており、日々起業家・経営者・個人事業主のために邁進しています。

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経営者・個人事業主・起業家の融資確度を上げる【日本政策金融公庫・信用保証協会・銀行融資等に対応】補足説明6

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